ジュゴン目
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Procaviidae

テティス獣類

長鼻目

ゾウ科

海牛目

ジュゴン科

マナティー科










分子系統解析に基づく海牛目の系統的位置[11]

海生の哺乳類には、鯨類鰭脚類、絶滅した束柱目、本目であるカイギュウ類の4つの代表的グループがある [9](これらのほかに、ラッコなども海で暮らす哺乳類に数えられる。化石種では有毛目オオナマケモノ類に海生だったと思しき種が幾らか確認されている)。一見アザラシ類やイルカ類と姿が似ているが、カイギュウ類とこれら鰭脚類やクジラ類との間に系統的な類縁関係はなく [9]収斂進化である。

カイギュウ類は始新世のはじめに、近蹄類の1種から分岐したと考えられるが、同じく近蹄類から派生したと考えられるゾウ目(長鼻目)と近縁である[9]。ゾウ目、海牛目、束柱目は、テチス海周囲で初期の放散を開始したと見られ、「テチス獣類(テチテリア Tethitheria)」という上位クレードにまとめられる[9]

カイギュウ類の最古の化石は、ジャマイカの始新世の地層で発見されたペゾシーレン(ペゾシレン)Pezosiren である。ペゾシーレンは、水生に適応しながらも、四肢を持ち、陸上での体重負荷に耐える関節を残していたと見られる[12]

マナティー科のなかまは、中新世後期頃から、歯の水平交換を進化させた[9]。これは、食物とする淡水性顕花植物に多く含まれる二酸化ケイ素による歯の摩耗への適応である[9]。この水平交換は、ゾウのように限りのあるものではなく、一生続く[9]

カイギュウ類の分布域は主に熱帯から亜熱帯に限られており、進化史上あまり繁栄しなかった(中新世・鮮新世にはそれなりに多様化を遂げているが)が、これは、エサとするアマモ類の生息状況による制限があったためである[9]

そのような中、ジュゴン科のうちの1系列は、中新世以降の地球の寒冷化の際に、分布域が狭まったアマモ類から、増え始めたコンブ類などに食性を広げ、体を大型にすることで、冷たい海に適応した[9]。かつて北太平洋に分布したが、ベーリング海の一部海域まで分布域を狭めた末に乱獲によって1760年代に絶滅したステラーカイギュウは、このタイプのカイギュウ類の最後の1種であった[9]。脊椎動物の歴史において、海藻類という非常に歴史の古い豊かな蛋白源を積極的に利用するものは、この寒冷適応型のカイギュウ類以外、ほとんど知られていない[9](他にはウミイグアナがいる程度である)。なお、ステラーカイギュウの仲間は、歯の退化[9]や前足の指の消失などの、マナティー科にも他のジュゴン科にもない特徴を持っている。
日本での化石

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出典検索?: "海牛目" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2021年9月)

海牛目(海牛類)は、マナティーを指す「海牛(カイギュウ)」から来ている。「マナティー」の名が一般化した現在、現生のマナティーがこの名で呼ばれることはほとんどなくなったが、絶滅種のステラーカイギュウをはじめ、化石種の多くにも「○○○カイギュウ」の名が付けられ、これら絶滅種は「カイギュウ(類)」と呼ばれることが多い。

日本では約30か所でカイギュウ類の化石が発見されている。発見地の約20か所は北海道であり、ステラーカイギュウと同じ寒冷適応系のカイギュウ類が多い。
キタヒロシマカイギュウ
北海道石狩振興局管内北広島市から発見。世界でただ1体のステラーカイギュウ化石だったが、後に房総半島でもステラーカイギュウの化石が発見された。正式名称は、ステラーカイギュウ北広島標本。体長約7m。約100万年前。
ヤマガタダイカイギュウ
1978年8月、山形県西村山郡大江町用(よう)の最上川河底の岩盤から小学生が発見。体長約3.8m。約800万年前。学名:Dusisiren dewana。
アイヅタカサトカイギュウ
1980年、福島県喜多方市高郷町(旧・耶麻郡高郷村)塩坪の阿賀川畔で発見。体長約3.7m。約800万年前。ステラーカイギュウ亜科アイヅタカサトカイギュウ属、学名 Dusisiren takasatensis 。 
タキカワカイギュウ
1980年8月、北海道空知総合振興局管内滝川市を流れる空知川で発見。北海道のカイギュウ化石研究の嚆矢。後に道東地方でも同種の化石が発見されている。体長8m以上。約500万年前。
ピリカカイギュウ
1983年夏、北海道檜山振興局管内今金町美利河地区で、美利河ダムの建設工事に伴う取り付け道路から発見。復元されたものとしては、世界最大のカイギュウ化石。体長8m以上。約120万年前。ステラーカイギュウ属。
ショサンベツカイギュウ
1967年、北海道留萌振興局管内苫前郡初山別村で発見された、日本初のカイギュウ化石。ただし、その後地元小学校の理科準備室で長らく保管され、研究者によってカイギュウと確認されたのは1990年。非常に珍しい、出産直前の胎児を伴う妊娠個体の化石であった。また、カイギュウ発見地点としては国内最北だが、寒冷適応系ではなく、現生のジュゴンと同じく温暖な海に棲むカイギュウ類だった。母親約3.6m、胎児約1.5m。約1,100万年前。

2003年8月、札幌市南区砥山の豊平川河床から、1,000万年 - 750万年前のカイギュウ化石(肋骨と胸骨)が発見された。寒冷適応型カイギュウでは日本最古。後期中新世(1,100万年前-530万年前)。

画像

アメリカマナティー


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