ジャン=リュック・ピカード
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2387年までにピカードは宇宙艦隊大将に昇格し、超新星爆発に見舞われたロミュラン帝国の母星、ロミュラスの崩壊(『(スター・トレック (2009年の映画)』)からロミュラン人を救うため、提督として副官のラフィと共に救出作戦を指揮する。しかし、2年前に起こった人工生命体による火星襲撃により、宇宙艦が不足している事を理由に、仇敵であったロミュランの救出に対し10以上の連邦加盟国が反対したために、惑星連邦はロミュラン人の救出から撤退する。ピカードは再三にわたり救出作戦の続行を訴えたものの認められず、これに抗議して辞職する。退役後は、ロミュラン出身のラリスとジャバンと共に生家のワイナリー「シャトー・ピカード」に隠棲する。

2399年、火星襲撃を受けて連邦では人工生命が禁止される中、殉職したデータ少佐を基に作られた人工生命の女性、ダージが「シャトー・ピカード」に現れ、ピカードに助けを求める。しかしダージはロミュランの諜報機関タル・シアーの中の秘密組織ジャット・ヴァッシュに暗殺されてしまう。ダージが双子であり、もう一人の存在ソージがいることを知ったピカードは、不治の難病とされるイルモディック症候群を抱えながらも、旧知のつてを辿り、フリーランスの貨物船長クリストバル・リオスの小型宇宙船「ラ・シレーナ」で、かつての副官ラフィ、護衛役でロミュランの修道僧「クワト・ミラット」のエルノア、人工生命研究者のアグネス・ジュラティとともに地球を離れる。道中、元ボーグでU.S.S.ヴォイジャー(『スタートレック:ヴォイジャー』)のクルーだったセブン・オブ・ナイン、30年前に助けたボーグ・ドローンのブルー、かつてのエンタープライズ時代の仲間ディアナ・トロイウィリアム・T・ライカーらに助けられる。そして、ロミュランの支配下にある休眠ボーグ・キューブでソージに出会う。ピカードたちは人工生命を憎むジャット・ヴァッシュが火星襲撃を引き起こし、人工生命の禁止を招いたことを知り、かつてデータを製作したヌニエン・スン博士の子息で人工生命研究者のアルタン・イニゴ・スンにより、ソージのような人工生命たちが製作されて住んでいる惑星コッペリウスに向かう。ソージら人工生命は「高度な人工生命」に接触して有機体に対する破滅的な戦争を始めようとするが、ピカードの説得により断念する。ジャット・ヴァッシュ率いるタル・シアーの艦隊が追撃して来るが、復職したライカーが指揮する宇宙艦隊を前にして引き下がる。ピカードは一連の行動で無理が祟り、持病のイルモディック症候群が悪化して病死してしまうが、スンとアグネス・ジュラティによってその意識を新しい人工の体に移植され、人工生命体に生まれ変わる。その際、量子シミュレーションに保存されていたデータの意識と再会する。データのシミュレーションは彼が求めた人間らしさの象徴として死を望み、ピカードは彼の望みを叶える。

2401年、ピカードは大将として宇宙艦隊に復帰し、宇宙艦隊アカデミーの総長に就任。ピカードを指名し助けを求める存在が空間異常から現れ、宇宙艦隊の要請でクリストバル・リオス大佐が指揮するU.S.S.スターゲイザー(NCC-82893)に乗り組み艦隊を率いて調査に赴く。すると空間異常から未知のボーグ船が現れ、ボーグ・クイーンがスターゲイザーに乗り移りコンピューターに接続。艦隊のコントロールを奪われる。ピカードは同化を防ぐため、スターゲイザーを自爆させる。その瞬間、Qが現れ、彼が「選ばれなかった道」と呼ぶタイムラインにピカードと仲間たちを送る。そこは歴史が変わり、惑星連邦の代わりに排外的な地球連合が存在しており、ピカード自身も他種族を征服・根絶する冷酷な将軍とされている。紆余曲折の後、「ラ・シレーナ」に集ったピカードらとボーグ・クイーンは歴史を元に戻すため、タイムワープを用いて分岐点である2024年に時間移動する。ラ・シレーナは地球に墜落し、ピカードは咄嗟に実家の「シャトー・ピカード」に不時着させる。そこでピカードは自身が長年封印してきた母に関する記憶と向き合うことになる。ピカードの母イヴェット・ジェサールは精神疾患を患っており、少年ジャン・リュックの目の前で首を吊った過去が明らかになる。ピカードらは歴史が変わった地点がエウロパ有人飛行計画に祖先で宇宙飛行士のルネ・ピカードが乗り組むか否かである事を特定し、Qの干渉やボーグ・クイーンの妨害を受けつつも、エル・オーリア人の旧友ガイナンや「宇宙大作戦」に登場した監査官、ゲリー・セブンの後継者で見た目がラリスそっくりな監査官タリンの協力を得て有人飛行計画を成功させる。アグネス・ジュラティはボーグクイーンと同化し、人間としての個性を備えた新たな存在となる。ピカードは寿命を迎えたQを友人と呼び、二人は別れを告げる。Qの力で25世紀に戻ったピカードは、スターゲイザーの自爆命令を取り消し、乗り移ったボーグ・クイーン(改変された時間軸から来たボーグ・クイーンとアグネス・ジュラティの融合体)に対して惑星連邦への暫定加盟を認める。ボーグ・クイーンは謎のトランスワープゲートを監視するためにその場に留まり、ピカードはシャトー・ピカードでラリスとの関係を始める。

2401年のその後、ピカードはビバリー・クラッシャーから暗号化された救難信号を受け取り、ライカーやセブンの協力で、U.S.S.タイタンでライトン星系に赴く。負傷したビバリーと、存在を知らなかった自分の息子で逃亡犯のジャックに会う。ジャックを狙う強大な戦艦シュライクと戦い、さらには艦隊内に可変種が浸透し支配しているとロー・ラレンに聞かされ、可変種が狙うジャックを守るためにタイタンで逃亡する。ウォーフジョーディ・ラ=フォージの助力を得て、デイストローム研究所から盗まれた兵器を探すため、新たに製作され研究所内に保存されていたデータを回収する。盗まれたのは自分の遺体だと知る。一時はタイタンを可変種に制圧されるも、データの力で奪い返す。自分の遺伝子がかつてボーグにより改変され、ジャックに伝えられ、イルモディック症候群と類似の症状を発現していたと知る。さらに自分の遺体から回収されたボーグの遺伝子は、可変種により転送装置を使うすべての艦隊員に埋め込まれている。フロンティア・デーの日、若く頭頂葉が未発達の艦隊員では発現してボーグに同化され、全艦船で反乱が勃発し、新システムで同期されていた艦隊全体も同化される。ピカードらはジョーディの案内で逃げ、艦隊ミュージアムで修復・保全されていた、新同期システムを装備されていないU.S.S.エンタープライズDに乗り込む。艦隊が地球を攻撃する間、木星に隠れたボーグ・キューブに入り、ボーグに同化され、他の同化された艦隊員を操る司令塔となっていたジャックを発見する。同化されて多くの人命を奪わされたトラウマを完全には克服出来ないまま23年間避け続けてきたボーグ集合体に自ら接続してジャックを説得して奪回する。エンタープライズがピカードらを救助し、ボーグ・キューブを破壊して艦隊の同化も解ける。

1年後、ジャックが少尉として乗り込むタイタンがエンタープライズ-Gと改名されたのを見届ける。
人物

趣味は考古学と乗馬で、休暇時に古代文明の発掘調査に行くほか、艦内にまで自分のを持ち込んでいる[2]。宇宙考古学の他にも哲学・歴史・芸術などに造詣が深く、よくウィリアム・ライカーウェスリー・クラッシャーに「宇宙考古学を勉強したまえ」等と言ったり、発掘調査で発見した遺物を嬉々としながら部下に見せたりする。艦長室の水槽ではリビングストンと名づけたミノカサゴを飼っている。

アールグレイ紅茶を好み、エンタープライズのフード・レプリケーターに「Tea Earl Grey hot.」と注文するシーンがよくある。このレシピは当初ライブラリに入っていなかったため、自分で作成した。また実家で醸造した「シャトー・ピカード(フランス語:Chateau Picard(シャトー・ピカール)」という銘柄のワインを特別な時に部下と飲む。

ホロデッキ(娯楽用の施設)では架空の私立探偵「ディクソン・ヒル」の役やシェークスピア劇を好んで演じ、部下に芝居の助言をした事もある[3]。読書は「PADD」(タブレット端末)ではなく、古典的な紙の本を好む。艦内のバー「テン・フォワード」で時折開催される演奏会では、レシクの笛[4]と呼ばれる古代文明の楽器を演奏することがある(ピカードは滅亡した古代文明「カターン」での一生を仮想体験した事があり、この笛は文字通り「一生の思い出の品」)。油絵など絵画を嗜むこともあったが、決して達者ではないようでデータに作品を酷評される。

苦手なものは小動物、子ども、Q、および部下の母親であるラクサナ・トロイであるとされている(子どもについては「カターン」での体験から苦手意識を克服したが、ラクサナ・トロイについては連邦大使という頭の上がらない役職に加えて、堅物のピカードに熱を上げたり「ジャン=リュック、また淫らな事を考えて」等とからかったりするなど奔放な性格を大の苦手としている)。

上陸任務を好む(もっとも、艦隊規則では基本的に艦長が上陸任務を行うのは禁止されている)。短距離ワープによって敵艦を撹乱する「ピカード作戦」を編み出すなど、冷静沈着で名指揮官と名高いが、頑固で融通の利かない所もある。兄嫁のマリー曰く、厳格で頑固なのはピカード家の血筋であるらしい。

髪型はスキンヘッドである。これは兄のロベールも禿頭なのでピカード家の遺伝の可能性があり、髪型については作品内でも度々ネタにされる。ピカード自身も血が繋がった息子と疑われた人物(実際は血縁関係なし)に対して将来髪が後退すると示唆したことがある。なお宇宙艦隊アカデミー在籍中はスキンヘッドであったが、少尉任官時には再び生えそろっており、スターゲイザー艦長時代までは頭髪は確認できる。

独身で通してきたが、親密な仲になった女性がいないわけではない。「一筋縄ではいかない」タイプの女性を好む傾向があるとされ、例としてはトレジャーハンターのバッシュや科学士官のダレン少佐らが挙げられるが、いずれの人物もピカードの艦長としての美学や責任感を交際の障害として別れる。ビバリー・クラッシャーとはプライベートではお互いをファーストネームで呼び合い、朝食を一緒に摂る間柄だが、友達以上恋人未満的な関係である。可能性の未来においては結婚した後別れている。

強情で折れにくく、不屈の精神を持っている。席から立ち上がるときに見せる制服の弛みを伸ばす仕草[5]はそうした性格の現れとして描かれている。堅物で過度にストイックな一面があり、休暇先に性に開放的なリゾート惑星を勧められた際にはひたすら辟易したこともある。

アンドロイドである部下のデータ少佐は、彼がより人間に近づくためのモデルの筆頭にピカードを挙げ、本人を慌てさせる。

セブン・オブ・ナインからも、物事を詩的に表現する才能に優れており、苛々する事もあるが、いつも見守られているように感じているとも表現されており、いつかはピカードのような、多くの人間が自然についてくる指揮官になりたいと尊敬されている。

戦闘、交渉ともに長けているが、本人は外交が主体の任務は好きではないとされ、「我々は探検家のつもりなんだが」と、こぼすこともある。年齢と実績の為に、何度も提督への昇進を打診され、宇宙艦隊アカデミーの校長ポストまで提示されたこともあるが、宇宙艦隊では英雄とされている23世紀のエンタープライズ船長ジェームズ・T・カーク同様、探検家を自認し船を指揮することを生き甲斐にしている為、辞退している。同年代には将官クラスや、艦長や法務総監などの大佐クラスが多く、上官である提督にもファーストネームで呼べるぐらいの友人がいる。


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