スポンサーは三洋電機が「サンヨーカラーテレビ劇場」と銘打って一社提供を行い、自社製品であるカラーテレビ購買需要を喚起する番組として活用した[26]。アニメ版放送当時は漫画連載から10年以上経過しており、かつテレビアニメ黎明期であったため「俗悪番組」との批判を避ける必要性が強かったことから、『鉄腕アトム』と同じく手塚漫画の中では「よい子」の代表格であるレオに白羽の矢が立った[27]。レオの理想主義は教育者の支持を得て、日本PTA全国協議会、教育者懇談会の推薦番組に、番組向上委員会の青少年向け推奨テレビ番組に選定された。1966年第4回テレビ記者会賞特別賞、1966年厚生省中央児童文化財部会年間優秀テレビ映画第1位、1966年厚生大臣児童福祉文化賞を受賞している。
予算は1話250万円、総額1億2000万円の制作予算が組まれた[28]。オープニングには1話分の制作費が投入され、局側の反応も上々だったという[29]。並行して放送する『鉄腕アトム』は外注プロダクションを多く使うことにし[30]、『ジャングル大帝』には虫プロダクション生え抜きの主流スタッフを投入、虫プロの社員スタッフで制作されることになった[31]。ただし、手塚は制作現場から外された原作者という立場に過ぎず、『鉄腕アトム』や『W3』のような手塚のチェックは入っていない[32]。これはプロデューサー主導による予算管理に基づく制作体制を取ることで、虫プロが赤字体質から脱却することを意図した広告代理店出身の穴見薫虫プロ常務による改革の一環だったと言われる[33]。 音楽は音響監督の田代敦巳の推薦で、冨田勲に決定。音楽にはミュージカルの要素を組み入れて総制作費の4分の1から3分の1をかけ、1話ごと画面に合わせ新たに作曲、録音する工程が取られた[34]ため、『鉄腕アトム』と比較すると音楽予算は5倍になった。輸出先のアメリカの担当者も音楽を絶賛したという[35]。 本作のレコードは朝日ソノラマと日本コロムビアが発売し、ソノシート、EPレコードのほか、主題歌・挿入歌集『ジャングル大帝 ヒット・パレード』とレコード化に向けて新たに曲を書き下ろした『子どものための交響詩 ジャングル大帝』の2枚のLPレコードが発売された。 当時は朝日ソノラマのソノシートが全盛期だったが、日本コロムビア専属歌手だったポップス歌手弘田三枝子がエンディング主題歌「レオのうた」を歌い、収録盤SCS-1は10万枚以上[36]のヒットを記録した。日本コロムビアの公式サイトではSCS-1を「アニメソングのコロムビアの原点となった」[37]としている。挿入歌集『ジャングル大帝 ヒット・パレード』と『子どものための交響詩 ジャングル大帝』の2枚のLPレコードについては、これが日本で最初の主題歌集とアニメの交響曲のLPだと言われている[38]。 小学校の音楽授業の鑑賞教材にも使えるレコードという発想で制作された『子どものための交響詩 ジャングル大帝』は1966年の第21回芸術祭の音楽部門に参加し、奨励賞を受賞した。1976年に再プレスされて発売された他、2001年に音楽CD化されている。さらに、この音源にアニメーションを付けたOVA版としてVHSやLDやDVDが作られた。2009年には冨田勲自身による再編曲と新演奏の録音である改訂版の「交響詩ジャングル大帝?白いライオンの物語?」が発売されている。 オープニングテーマ『ジャングル大帝のテーマ』およびエンディングテーマ『レオのうた』は、『ジャングル大帝』のレオがマスコットキャラクターの埼玉西武ライオンズのチャンステーマとしても使用されている。 2005年4月27日には、「ANIMEX 1300 Song Collection No.1:ジャングル大帝」がコロムビアミュージックエンタテインメントより発売された。 『鉄腕アトム』での経験を活かして、テレビアニメ版は当初からアメリカ輸出を意識して製作された。アメリカでは既にカラー放送が主流になっていたことからカラーで制作。原作の漫画は大河ドラマであったのに対して、アニメ版ではどんなエピソード順に並べても大丈夫なようにするためと、万が一アメリカの放送コードに引っ掛かって放送できない回があった場合に備え、主人公レオの成長物語ではなくなり、基本は1話完結のエピソードとなっている[39]。特に黒人の描写には充分注意を払い、登場させる際には漫画的なカリカチュアライズした表現は使わない、悪役にはしないなどの配慮が取られた[40][41]。そのような妥協の甲斐もあって、『鉄腕アトム』に続き、アメリカの3大ネットワークの一角であるNBCが購入し、番組販売形式で『Kimba the White Lion』として放送された[42]。
声の出演
レオ - 太田淑子
ライヤ - 松尾佳子
パンジャ - 小池朝雄
エライザ - 新道乃里子
トミー - 明石一
ココ - 田村錦人
マンディ - 勝田久
トット - 加藤精三
ディック - 川久保潔
ボウ - 熊倉一雄
ケン一 - 関根信昭
マリー - 山本嘉子
ヒゲオヤジ - 千葉順二
音楽
アメリカ輸出
評価
富野由悠季
当時、虫プロに在籍していた富野由悠季は、大卒者であったために本作へ関われず、鉄腕アトムのアニメ版の演出を続けていたが、「鳥の勝井」と呼ばれた勝井千賀雄
スタッフ
監督:山本暎一、八村博也
作画監督:勝井千賀雄
撮影監督:清水達正
美術:伊藤信治
音響:田代敦巳、内田かほる、明田川進
音楽:冨田勲 (注:字幕上の表記では「富田」となっているが、正しい人名は「冨田」である)
指揮:森田吾一
録音・効果:岩田廣一
特殊技術:田崎茉沙夫、橋爪朋二、安田隆亘
美術監督:松本強
動物監修:小原秀雄
編集:島田羨子、尾形治敏、古川雅士
現像:東洋現像所
資料制作:清水武彦、野崎欣宏
作画制作:小山暉
アイディアマン:久米みのる
作画技術:沢井裕之
チーフディレクター:林重行
プロデューサー:山本暎一
制作担当:もり・まさき
制作:虫プロダクション、山本暎一
主題歌
オープニングテーマ - 「ジャングル大帝のテーマ」
作詞 - 石郷岡豪 / 作曲 - 冨田勲 / 歌 - 平野忠彦コロムビア版を歌う「三浦弘」は平野忠彦の変名である[注釈 1]。映像は一貫して不変だったが、第13話までは歌ありバージョンで、スタッフクレジットのテロップは小さめ、また映像ラストでは、歌が続いたまま「提供 SANYO」のクレジットが出され、途中で「SANYO」が反転して「三洋電機」のクレジットに変わった。第14話からはスタッフクレジットは大きめのテロップに変更、提供クレジットも省かれ、曲はヴォカリーズバージョンに変更したが、後に歌ありバージョンが復活した(時期不明)。後年の地上波再放送ではヴォカリーズ・提供無しバージョンを使用、日本映画専門チャンネルの「手塚治虫アニメシアター」で再放送された時も、ヴォカリーズ・提供無しバージョンを使用した。