ジャック=ルイ・ダヴィッド
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ルイ16世注文の《ホラティウス兄弟の誓い》(1784年)は王室から注文を受けて制作された最初の作品だが、サロンに出品された際に同時代の画家が「ダヴィッドこそ今年のサロンの真の勝利者である」と述べたほど大きな評判を集め[1]、ダヴィッドの代表作の一つとなった。

1789年フランス革命が勃発するが、このころのダヴィッドは、ジャコバン党員として政治にも関与していた。《球戯場の誓い》を描いている他バスティーユ牢獄襲撃事件にも加わっており、1792年には国民議会議員にもなっている。1793年には革命家マラーの死を描いた《マラーの死》を制作している。1794年にはロベスピエールに協力し、最高存在の祭典の演出を担当、一時期国民公会議長もつとめている。1793年までに、芸術委員会のメンバーとして、ロベスピエールを通じて多くの権力を獲得したダヴィッドは事実上フランスの芸術の独裁者となり、また王立アカデミーを即座に廃止したことで「筆のロベスピエール」とも呼ばれた。その後ロベスピエールの失脚に伴い、ダヴィッドの立場も危うくなり、一時投獄された。この時、自画像(未完成)と唯一の風景画を残している。

1795年の恩赦の後、ダヴィッドは革命と政治にそそいでいたエネルギーを若い画家へ教えることに切り替え、何百人もの若手画家の指導に専念した。

1797年にナポレオン・ボナパルトをスケッチしているが肖像画を完成させるには至らなかった。1799年の軍事クーデターのあと第一執政に就任したナポレオンは、ダヴィッドにフランスの勝利を記念する絵を複数枚描くように依頼する。また1800年にはレカミエ夫人による依頼で肖像画を依頼され、《レカミエ夫人像》を制作したが未知の理由で未完成のままに終わった(ダヴィッドの仕事が遅すぎると思ったレカミエが、1802年に代わりに同様の肖像画を描くようにと彼の生徒の一人フランソワ・ジェラールに依頼したため仕上げる機会を失ったともいわれている)。その後、ナポレオンの庇護を受けて、1804年にはナポレオンの首席画家に任命されている。縦6.1メートル、横9.3メートルの大作《ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠》は1806年から1807年に描かれたものである。1808年「帝国における騎士ダヴィッド」(Chevalier David et de l'Empire)の爵位を与えられた。1815年のナポレオンの失脚後、ダヴィッドはまたも失脚し、1816年ブリュッセルへ亡命し、9年後の1825年に同地で時代に翻弄された77年の生涯を終えた。

ルイ16世の処刑に賛成票を投じたことが災いし、彼の遺体はフランスへの帰国を許されなかったが、心臓が現在ペール・ラシェーズ墓地に埋葬されている。
脚注^ 鈴木杜幾子『画家ダヴィッド』晶文社、1991, pp. 92-97)

ギャラリー

《アンティオコスとストラトニケ(フランス語版)》
1774年
120x155cm
エコール・デ・ボザール(パリ)

ヘクトールの遺体
1778年
124x172.5cm
ファーブル美術館

パトロクロス
1780年
122x170cm
トマ=アンリ美術館

《施しを乞うべリサリウス》
1781年
312x288cm
リール美術館

ホラティウス兄弟の誓い
1784年
275x203cm
ルーヴル美術館

マラーの死
1793年
165x128cm
ベルギー王立美術館

ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠
1805-07年
629x929cm
ルーヴル美術館

《書斎のナポレオン(フランス語版)》
1812年
205x125cm
ワシントン・ナショナル・ギャラリー

《テルモピュライのレオニダス(フランス語版)》
1799-1803年, 1813-14年
395x531cm
ルーヴル美術館

《ヴィーナスと三美神に武器を取り上げられるマルス(フランス語版)》
1822-24年
308x262cm
ブリュッセル王立美術館

ソクラテスの死
1787年
129.5x196.2cm
メトロポリタン美術館

サビニの女たち
1799年
385x522cm
ルーヴル美術館

《レカミエ夫人の肖像(フランス語版)》
1800年
173x243cm
ルーヴル美術館

《クピードーとプシューケー(フランス語版)》
1817年
184.2x241.6cm
クリーブランド美術館

《アキレスの怒り(フランス語版)》
1819年
10.53x14.5cm
キンベル美術館

参考文献

鈴木杜幾子『画家ダヴィッド 革命の表現者から皇帝の首席画家へ』(晶文社、1991年) ISBN 978-4-7949-6062-7

デーヴィッド・アーウィン(鈴木杜幾子訳)『新古典主義』(岩波書店、2001)ISBN 4000089293

ケネス・クラーク高階秀爾訳)『ロマン主義の反逆 : ダヴィッドからロダンまで13人の芸術家』(小学館、1988)ISBN 4093580316

ヒュー・オナー(白井秀和訳)『新古典主義』(中央公論美術出版、1996)ISBN 4805503149

デーヴィッド・ブレイニー・ブラウン(高橋明也)『ロマン主義』(岩波書店、2004)ISBN 4000089781

高階秀爾編『ロマン主義』(『世界美術大全集:西洋編 20』小学館、1993) ISBN 4096010200

画集・図録

リュック・ド・ナントゥイユ(木村三郎訳)『ダヴィッド』(美術出版社、1987)ISBN 978-4-5681-6056-7

鈴木杜幾子編『新古典主義と革命期美術』(『世界美術大全集:西洋編19』小学館、1993)ISBN 4096010197


論文

貴傳名 暁子「"フランス革命期における政治と美術 : ジャック・ルイ・ダヴィッドの活動を中心に"」(京都女子大学『史窓』61, 2004年, pp. 113-130)

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先代
ジョルジュ・クートン国民公会議長


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