ジャスティファイ・マイ・ラヴ
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ビデオは「La Baie des Anges」のジャンヌ・モローへのオマージュでもあった。2013年、マドンナは自身のお気に入りのミュージックビデオに本曲を挙げた[17]
内容

ビデオは1960年代のヨーロッパのアートフィルムのスタイルで粒子の粗い白黒で撮影された。シルエットでしか見られないキャラクターなど、影のあるフィルム・ノワールの要素もいくつかある。撮影は様々なライフスタイルのカップルに対応しているように見え、エレガントなホテルで行われた。マドンナ(または彼女が演じているキャラクター)は、廊下を自分の部屋に向かって歩いているが、様子は疲れて苦しんでいるように見える。そこで彼女はトニー・ウォードが演じる謎の男とロマンチックな流れになる。他の部屋への扉のいくつかは半開きで、 BDSMの衣装(革、PVCのTシャツ、ラテックス下着、コルセット)を着て性に貪欲なさまざまなカップルを垣間見ることが出来る。

次にマドンナは露出度の高いレースの下着とガーターベルトとストッキングを身に着けてベッドで転がり、そこをさまざまな人物が行き来する。モデルのウォリス・フランケンが演じるトップレスのドミナトリックス・タイプの女性(胸を部分的に覆っているサスペンダーを着用している)が現れ、彼女が縛られた男性の髪をつかんだ際にはサスペンダーから胸が露わになる(ビデオが放送禁止になった一因でもある)。彼女の衣装は物議を醸した映画『愛の嵐』でシャーロット・ランプリングが着用したアンサンブルを模している(映画とビデオの両方がサドマゾヒズムの要素を共有している)。両性具有のテーマはマドンナの恋人によく似た女性がペンシル型の口ひげを生やした紳士服で登場した際にも軽く仄めかされている。全体的なビデオのプレゼンテーションはシュールで、意図的にあいまいにされている。ビデオに登場する奇妙なキャラクター達は、マドンナの想像力から生まれた本物または単なる空想かもしれない。そして元気を取り戻したマドンナが笑いながらホテルの部屋から飛び出してビデオは終わる。
物議と放送禁止

ビデオはMTVから性的に露骨すぎると見なされ、ネットワークでの放送を禁止された[18]。マドンナは禁止に対して、「なぜ人々は誰かが理由もなく吹き飛ばされる映画を観に行くのに、2人の女の子がキスをし2人の男性が寄り添うのは見たくないというのか?」と応じた[19]。1990年12月3日、ABCの番組『ナイトライン』がビデオを放映し、フォレスト・ソイヤーがマドンナにビデオの性的コンテンツと検閲について生中継でインタビューした。彼女はMTVが検閲に関してダブル・スタンダードであると非難し、なぜ放送局がこのビデオを放映禁止したのにもかかわらず、女性への暴力と堕落を含むビデオは定期的なオンエアを続けることが出来るのか理解出来ないとも述べた。続けて彼女はビデオを取り巻く論争は意図して計画したものではなかったとし、MTVの放映拒否によりVHSでビデオシングルをリリースすることを決定したと述べた[20][21]

ビデオはカナダのMuch Musicでの定期的な放映も禁止されたが、論争とその後のMitsouによるビデオの放映禁止を受けてMuch Musicは物議を醸すミュージック・ビデオをあえて放映し、それと同時にビデオについての討論を行う新しいシリーズ「Too Much 4 Much」を立ち上げた[22]。2002年にビデオはMTVで放映された中で最も物議を醸したビデオをランキングする特別番組の一環として、初めて完全版がMTV2で放映された。この番組は深夜に放送された[23]

多くの苦情が寄せられたものの、ビデオはオーストラリア放送協会の人気ミュージックビデオ番組『Rage』で制限なく放映された。これはABCが公共放送であるため分類ガイドラインに従う義務が無いからである[24]
発売

ビデオはマドンナにとって最初のVHSビデオシングルとしてリリースされた。アーティストが米国でこの形態のシングルをリリースしたのはこれが初めてだった(英国ではクイーンがこの4年前にビデオシングルとして「Who Wants To Live Forever」をリリースしている)[25]。ビデオシングルの小売価格は9.98ドルだった。ビルボードによれレーベルの幹部と小売業者へのインタビューによれば、彼女がビデオシングルの値段が他と比べ例外であることには同意していると語った。のちにビデオシングルとして発売された「レイ・オブ・ライト」は、1998年に5.98ドルで販売されたが、当時通常のビデオシングルの価格は3.49ドルから3.98ドルが相場であった[26]。VHSでのみリリースされた北米のパッケージはステッカーが貼られた真っ黒なスリップカバーで、まるで怪しげなビデオのようだった。

ヨーロッパでは通常のカバーで販売され、1990年のMTVミュージック・ビデオ・アワードでの「ヴォーグ」のパフォーマンスも追加収録された。英国ではビデオにBBFCから「18」の証明書が与えられ、その年齢に満たない人は合法的にビデオシングルを購入したり見たりすることはできなかった[27]。ミュージック・ビデオは、2009年に『セレブレイション?マドンナ・オールタイム・ベストDVD』で初めてDVD化された。DVDに収録されたバージョンは女性のヌードを含むシーンが黒いバーなどで加工されている。オーストラリアではビデオは「M」と評価され、ニュージーランドではビデオはセックスシーンによって「R16」と評価された。
売上

ビデオはビルボードのトップ・ミュージック・ビデオチャートで2週間首位を記録し、チャートには39週登場した[28]。カナダではRPMの長編ミュージックビデオチャートで首位になった初のビデオシングルにもなった。高値にもかかわらず、アメリカの音楽店は発売から数日以内にビデオの記録的な売上高を報告した[29]。それに加えて伝記作家のニコール・クラロによると、ビデオは非常に早く売れたのでリリースから数日以内に店は追加の注文を行ったとしている[30]。発売から2か月後、1991年2月にはビデオシングルは米国で40万以上の販売でマルチプラチナ認定を受けた初めての短編ミュージックビデオになった[31]。4月にはこのビデオは50万の売り上げを達成し、平均的なビデオの販売数が50,000未満だったため、そのヒットはまさに異例であった[32]

発売後、VHSシングルは米国で約80万本から100万本を売り上げ、史上最も売れたビデオシングルとなった[33]。カナダではビデオは最初の週に20,000本を、売り上げた。イタリアでは1991年3月の時点で7,000本を販売。日本ではビデオは14,000本以上の売り上げを記録した。オーストラリアではオーストラリアレコード産業協会(ARIA)によって7,500本の出荷でゴールド認定を受けた。
収録曲

日本盤 3"シングル[34]
ジャスティファイ・マイ・ラヴ - 4:58

エクスプレス・ユアセルフ (1990) - 4:02

デジタル配信
ジャスティファイ・マイ・ラヴ (Qサウンド・ミックス) - 4:54

ジャスティファイ・マイ・ラヴ (オービット 12"ミックス) - 7:16

ジャスティファイ・マイ・ラヴ (ヒップ・ホップ・ミックス) - 6:30

エクスプレス・ユアセルフ (1990) - 9:30

ジャスティファイ・マイ・ラヴ (ビースト・ウィズイン・リミックス) - 6:10

ジャスティファイ・マイ・ラヴ (オービット・エディット) - 4:33

チャート


週間チャート

チャート (1990?1991年)最高位
オーストラリア (
ARIA)[35]4
オーストリア (O3 Austria Top 40)[36]9
ベルギー (Ultratop 50 Flanders)[37]9
カナダ シングル小売 (The Record)[38]2
カナダ コンテンポラリー・ヒット・ラジオ (The Record)[38]1
カナダ トップシングルス (RPM)[39]1
カナダ ダンス/アーバン (RPM)[40]3
チリ (IFPI)[41]1
ヨーロッパ (European Hot 100 Singles)[42]3
フィンランド (Suomen virallinen lista)[43]1
フランス (SNEP)[44]17


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