無性生殖器官は特にない。ゼニゴケ類では無性芽を特別な構造で作る例が多く、近縁なヒメジャゴケも無性芽を作るが、本種はそのようなものを生じない。もちろん葉状体が分かれて増えることはあるが、それだけである。 有性生殖については、雌雄異体で、雄は雄器托、雌は雌器托を作る。それらは葉状体の先端に作られる。 雄器托
有性生殖
雄器托
雌器托が伸び始めたところ
雌器托が伸びきったところ
雌器托
は円錐形で、秋に形成されるが、春早くに成熟して、この時に長い柄を伸ばして立ち上がり、キノコのような姿となる。柄は白くて透明感があり、みずみずしい。その側面に一本の溝がある。先端の雌器托は褐色、円錐形で先端は鈍く尖り、すぼめた傘のような形をしている。その傘の内側からは成熟したさく(胞子嚢)のほぼ全体がはみ出す。さくは楕円形で真っ黒く表面は滑らか、先端側から数個に裂け、中から胞子と弾糸が見えるようになる。胞子は径70-90μm、褐色から緑色を帯び、球形で表面には大小二形の小突起が密生する。弾糸は短め、太さは様々で3-5本の螺旋模様が入る。なお、弾糸の螺旋は一般に左巻きであるが、ジャゴケのものは多くが左巻きながら少し右巻きのものが混じる。これは後述のヒメジャゴケと共に、苔類中の例外とされている[3]。
雌器托からさくがはみ出している。
胞子と弾糸(顕微鏡写真)
また、雌器托が胞子の成熟時に急に伸びるのはゼニゴケ目では例外的で、普通ははじめから柄が伸びて、そこで受精も行われる。またゼニゴケ科では雄器托も柄がある。ちなみに他の苔類では雌器托でなく、さくそのものの柄が、やはり胞子の成熟時に一時的に伸びるが、すぐにしおれる。 湿ったところに生える。きれいな小流のわきの岩の上、と言ったところによく見かける。人家周辺でも見られ、また平地から亜高山帯にまで見られる。 日本全国に分布し、国外では北半球に広く分布する。 直接的な利害はない。庭園などではコケを愛でる例もあるが、本種を含むゼニゴケ類は総じて可愛くないので嫌われる[要出典]。 この種は日本のみならず広い範囲で見られるが、それらを同一種と見なすかどうかには議論もあるらしい。現時点では普通は一種と見なされている。日本では同じ属にもう1種、ヒメジャゴケ
生育環境
分布
利害
分類
出典^ 以下、特徴等は主として岩月・安藤(1972)による
^ 古木(1997)、p.142
^ 岩月(2001)、p.28
参考文献
岩月善之助・安藤美穂子『原色日本蘚苔類図鑑』(1972年、保育社)
岩月善之助編『日本の野生植物 コケ』(2001年、平凡社)
牧野富太郎『牧野 新日本植物図鑑』、(1961年、北隆館)
中村俊彦・古木達郎・原田浩『野外観察ハンドブック 校庭のコケ』、(2002年、全国農村教育協会)
古木達郎「タイ類」、『朝日百科 植物の世界 第12巻』(1997年、朝日新聞社)
Size:9297 Bytes
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef