ジャゴケ
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なお、植物体に含まれる精油の成分のために、手でもむと松葉マツタケの臭いがする[2]
生殖器
無性生殖

無性生殖器官は特にない。ゼニゴケ類では無性芽を特別な構造で作る例が多く、近縁なヒメジャゴケも無性芽を作るが、本種はそのようなものを生じない。もちろん葉状体が分かれて増えることはあるが、それだけである。
有性生殖

有性生殖については、雌雄異体で、雄は雄器托、雌は雌器托を作る。それらは葉状体の先端に作られる。

雄器托

雌器托が伸び始めたところ

雌器托が伸びきったところ

雄器托は無柄で、葉状体の表面に乗ったような形で作られる。楕円形で、やや盛り上がり、表面には細かな凹凸がある。

雌器托は円錐形で、秋に形成されるが、春早くに成熟して、この時に長い柄を伸ばして立ち上がり、キノコのような姿となる。柄は白くて透明感があり、みずみずしい。その側面に一本の溝がある。先端の雌器托は褐色、円錐形で先端は鈍く尖り、すぼめた傘のような形をしている。その傘の内側からは成熟したさく胞子嚢)のほぼ全体がはみ出す。さくは楕円形で真っ黒く表面は滑らか、先端側から数個に裂け、中から胞子と弾糸が見えるようになる。

胞子は径70-90μm、褐色から緑色を帯び、球形で表面には大小二形の小突起が密生する。弾糸は短め、太さは様々で3-5本の螺旋模様が入る。なお、弾糸の螺旋は一般に左巻きであるが、ジャゴケのものは多くが左巻きながら少し右巻きのものが混じる。これは後述のヒメジャゴケと共に、苔類中の例外とされている[3]

雌器托からさくがはみ出している。

胞子と弾糸(顕微鏡写真)

また、雌器托が胞子の成熟時に急に伸びるのはゼニゴケ目では例外的で、普通ははじめから柄が伸びて、そこで受精も行われる。またゼニゴケ科では雄器托も柄がある。ちなみに他の苔類では雌器托でなく、さくそのものの柄が、やはり胞子の成熟時に一時的に伸びるが、すぐにしおれる。
生育環境

湿ったところに生える。きれいな小流のわきの岩の上、と言ったところによく見かける。人家周辺でも見られ、また平地から亜高山帯にまで見られる。
分布

日本全国に分布し、国外では北半球に広く分布する。
利害

直接的な利害はない。庭園などではコケを愛でる例もあるが、本種を含むゼニゴケ類は総じて可愛くないので嫌われる[要出典]。
分類

この種は日本のみならず広い範囲で見られるが、それらを同一種と見なすかどうかには議論もあるらしい。現時点では普通は一種と見なされている。日本では同じ属にもう1種、ヒメジャゴケ (C. japonicum (Thunb.) Grolle) がある。特徴はジャゴケに似るが、葉状体の幅が2-3mmとはるかに小さいことや、薄手で光沢がなく、柔らかく見えるなどの違いがある。秋になるとその縁に沿って多数の無性芽を生じ、そのために縁がフリルのようになる。ジャゴケ以上に普通種で、都市部にも出現し、日本全国、東アジアからヒマラヤにかけて分布する。
出典^ 以下、特徴等は主として岩月・安藤(1972)による
^ 古木(1997)、p.142
^ 岩月(2001)、p.28

参考文献

岩月善之助・安藤美穂子『原色日本蘚苔類図鑑』(1972年、
保育社)

岩月善之助編『日本の野生植物 コケ』(2001年、平凡社)

牧野富太郎『牧野 新日本植物図鑑』、(1961年、北隆館)

中村俊彦・古木達郎・原田浩『野外観察ハンドブック 校庭のコケ』、(2002年、全国農村教育協会)

古木達郎「タイ類」、『朝日百科 植物の世界 第12巻』(1997年、朝日新聞社)


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