ジャガイモ
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毒性はそれほど強くはないが、小児は発症量が10分の1程度[48]と成人より少なく、保育園小学校の自家栽培による発育不良の小芋は、特にPGAの量が多いため中毒例が多い[48][44]。芽を大量に食べて死亡した事例もある。

対策としては、芋を太陽光に当てないで、冷暗所で保存し[49]、芽や緑色になった皮の部分を完全に取り除く[27]。PGAは水溶性のため、皮をむいて茹でたり水にさらすことである程度除くことはできるが、粉吹き芋で中毒した例が報告されているように、除ききれない場合がある。「ソラニン」および「ステロイドアルカロイド」も参照
栽培ジャガイモ畑(フランス北部)

誰でも比較的育てやすい野菜で、春に種芋を植え付けて夏に収穫する春作と、夏に植え付けて秋に収穫する秋作があり、3月から7月までの春作の方が栽培しやすい[50]。土がたくさん入る比較的大きなプランター(コンテナ)でも栽培することができる[51]。生育期間は約3 - 4か月で、他の芋類と比べて短いのが特徴である[52][39]。収量も多いので、デンプン質作物としては最も生産効率が高く、輪作上も有利とされる[52]。原産地は高冷地で乾燥しており、栽培適温は15 - 22で他の芋類よりも低く、冷涼な気候を好み、高温に弱い性質を持つ[50][52][39]連作を嫌うため、ナス科の野菜を3 - 4年作っていない畑で、堆肥と元肥を入れて耕してから作付けする[50]。土壌酸度はpH 7.0の中性を好むが、pH 5.5の酸性土壌でもよく育つ[53]
種芋の準備と植え付け

一般的な栽培をする場合、ジャガイモは「種芋」を植え付け培土して育成する[50]。植え付けに行う種芋は、ウイルスに罹病していない専用に育成されたものが使われる[40][52]。種芋の数を意図的に増やすために、一般的には種芋は、芋に適度な温度と光を当てて発芽させ[40]、芽を中心にして適度な大きさ(半分 - 数個程度)に切り分け、芋の腐敗を防ぐために切断面を数日乾かすかなどを塗布し、切断面を下に向け地面に置き、土をかぶせる[50][54][55]。秋作では種芋を切ると腐敗しやすいため[39]、種芋を小さく切らずに一片のみ切り取って芋に刺激を与えた状態で[41]、あるいは切らずに丸のままの種芋をそのまま植え付ける[53]。植え付けるときに切り口を下向きにするのは、雨水が地表から地中へしみ込む際に、切り口を下向きにした方が種芋の腐敗を防げるからである[53]。種芋を植え付ける畑は堆肥を入れて耕して高を作り、株が畝の中央に30 cm間隔になるようにする[56][57]
芽かき・土寄せから収穫まで

植え付け後、一つの種芋から多くの芽が出るため、芋を充実させるために太い芽を2本(秋植えの場合は1本)ほど残して抜き取る芽かきを行う[41][51][58][42]。種芋から出る芽を3芽以上にすると収量は上がるともいわれるが、芋は小さなサイズばかりが多くなる[53]。イモとなる地下茎は種芋より上(地表に近い位置)にできるため、日光に当たって新しいイモが緑化していないように、また高く土を盛ることでイモがつく場所を確保して収量が上がるようにするため、株元の土を盛り上げる土寄せ(培土という)が行われる[41][58][40][52]。土寄せは、芽が伸びて高さ5 - 10 cmくらいのときと、高さ30 cmのとき2回行って、最終的に畝の高さ30 cmほどのかまぼこ形になるようにする[57]。花が咲き始めるころから肥料の吸収が盛んになり、追肥が行われる[41]。種芋の植え付けから4か月後、葉が黄色くなって新しい芋が大きくなっていたらジャガイモの収穫期で、まわりから掘って、株ごと引き抜いて収穫する[41][59][57]。掘ったイモは半日ほど天日干しして、傷があるものは腐るので取り除き、涼しい場所に保存する[59]。葉が緑のうちに収穫した芋(新じゃがいも)は長期保存が利かないため早めに食べる必要があるが、地上部の茎葉が黄色く枯れるまで土中に置いた芋は、長期保存が可能な芋になる[41]。大面積の耕作地では、収穫にハーベスターが使われ、土ごと芋が拾い上げられて、上部の選別台で大きさごとに選別される[40]。収穫後は、芋の水分蒸散防止や病原菌進入防止のための表面処理が行われたあと、低温貯蔵庫で一時保管してから出荷される[40]
病虫害葉を食害するコロラドハムシの幼虫

冷涼な気候や硬く痩せた土地にも強い反面、病害や虫の被害を受けやすく連作障害も発生しやすい[60]。そのため、ナストマトピーマンなどのナス科野菜との連作や、近い場所での植え付けをしないように気をつける必要がある[60]。ジャガイモの地下茎は水分と栄養が豊富なため、病原菌が繁殖しやすく、保存状態の悪い種芋や、収穫から漏れて地中へ残された芋は病害の原因となる。そのため、日本では植物防疫法の指定種苗となっており、種芋の売買が規制されている。

疫病は生育後半に発生して急速に広がり、塊茎の肥大や貯蔵性に悪影響を及ぼす[61]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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