本格的に導入されたのは明治維新後で、北海道の開拓に利用された。アメリカ合衆国でウィリアム・スミス・クラークに学び、後に「いも判官」と呼ばれた、初代根室県令湯地定基により普及した。川田龍吉男爵はアメリカからアイリッシュ・コブラーという品種を導入し、自身の農場で栽培をして普及させた。この品種は川田の爵位に因み「男爵いも」と呼ばれることになった。明治期の当初は西洋料理の素材としての需要であったが、洋食の普及とともに、徐々に肉じゃがなど、日本の家庭料理にも取り入れられるようになっていった。 多年草[16]。直立する地上茎は50センチメートル から1メートル 程度の高さにまで生長する。葉は奇数羽状複葉。葉の付け根から花茎が長く伸び、先端に多数の花をつける。花は星形で黄色い花心
植物としての形態・生態
晩春の花が咲き始めるころに、土中では新しい芋ができ始める[41]。芋は根のように土中の水分や養分を吸収する機能はなく、地下にある茎が肥大したもので塊茎ともいい、日中に葉で光合成された養分が、夜になって地下の茎に蓄えられてできたものである[40]。塊茎は、地中に埋められた種芋の上から伸びた茎の第6 - 8節から発生した匍匐(ほふく)分枝した茎(ストロン)の先が、次第に肥大して芋になる[42][39]。昼夜の気温差が大きいほど、養分の移行がスムーズになり、芋のデンプン量が多くなる[40]。塊茎の肥大は、昼温約20度、夜温10 - 14度が適温であり、20度を超えると塊茎は形成されにくくなる[42]。
地上部
花
果実
地下部、根の中央にある親芋(種芋)とその周囲に新しくできたた子芋
毒性光に当たって緑色に変色したジャガイモは、ソラニンなどの有毒なアルカロイドを多く含む。
ジャガイモは、ポテトグリコアルカロイド (Potato Glycoalkaloids; PGA) として総称されるソラニンやチャコニン(カコニン、英: α-chaconine)、ソラマリン、コマソニン、デミツシンと有毒なアルカロイド配糖体を含む。これらはジャガイモ全体に含まれるが、品種や大きさによりばらつきがあり[43][44]、特に緑色になった皮の部分や芽、果実に多く含まれる[27]。毒性が強いため、葉及び塊茎(芋)を除いた茎は食用にならない。また、果実は、芽ほどではないにせよ、塊茎と比べPGAの含有量が高いため、食用に向かない[45]。例外的に塊茎(芋)の部分にはPGAは含まれていないことが多いが、原種ならびに一部の品種には芋にもPGAが含まれているものがあり、これらは食用とされない。
食べる際には芽や緑色を帯びた皮は取り除き、長期保存された芋では、皮を厚く剥いて調理した方がよい[46][47]。
PGAは、加熱による分解が少ない[46][48]。PGAをたくさん食べたときの中毒症状は、めまい、吐き気、下痢などの症状を引き起こす[27]。毒性はそれほど強くはないが、小児は発症量が10分の1程度[48]と成人より少なく、保育園・小学校の自家栽培による発育不良の小芋は、特にPGAの量が多いため中毒例が多い[48][44]。芽を大量に食べて死亡した事例もある。
対策としては、芋を太陽光に当てないで、冷暗所で保存し[49]、芽や緑色になった皮の部分を完全に取り除く[27]。PGAは水溶性のため、皮をむいて茹でたり水にさらすことである程度除くことはできるが、粉吹き芋で中毒した例が報告されているように、除ききれない場合がある。「ソラニン」および「ステロイドアルカロイド」も参照
栽培ジャガイモ畑(フランス北部)
誰でも比較的育てやすい野菜で、春に種芋を植え付けて夏に収穫する春作と、夏に植え付けて秋に収穫する秋作があり、3月から7月までの春作の方が栽培しやすい[50]。土がたくさん入る比較的大きなプランター(コンテナ)でも栽培することができる[51]。生育期間は約3 - 4か月で、他の芋類と比べて短いのが特徴である[52][39]。収量も多いので、デンプン質作物としては最も生産効率が高く、輪作上も有利とされる[52]。原産地は高冷地で乾燥しており、栽培適温は15 - 22度で他の芋類よりも低く、冷涼な気候を好み、高温に弱い性質を持つ[50][52][39]。