ジャイアントパンダ
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乳頭の数は4個[4]生まれて間もないジャイアントパンダ。体重は150gほど。ジャイアントパンダ(フェイフェイ)の左前肢の骨。国立科学博物館の展示。右前足で竹をつかんで食べるジャイアントパンダ(アドベンチャーワールドにて)2021年5月撮影ジャイアントパンダ(トントン)の骨格標本(国立科学博物館所蔵)
体長・体重
頭胴長(体長)120 - 150センチメートル[5]。体重オスは100キログラム、メスは90キログラム(飼育個体ではオス120キログラム、メス100キログラム)[4]。立ち上がると170cm程度になる。
体毛
全身は分厚い体毛で覆われる[4][5]。眼の周り、耳、四肢、背中の両肩の間の毛が黒く、他の部分は白色(クリーム色)である[8][9][4][6][7]。種小名 melanoleuca は「黒白の」の意。この模様や色使いは「単独行動が維持できるように近すぎる距離での遭遇を回避するのに役立っている[10][11]」「周りの景色に溶け込んで外敵の目から逃れるためのカモフラージュの役割を果たしていた[12]」等と考えられている。色彩は古くは捕食者から輪郭をごまかすのに役立ったり積雪地域での保護色だったとする説もあるが、現在では人間以外の捕食者はほとんどおらず雪もあまりない環境で生活している[7]。ジャイアントパンダの毛は軟らかそうなイメージがあるが、軟らかいのは生後約1年くらいまでであり、成獣の毛は豚毛ブラシに近く、比較的硬い[9][13]。毛皮は、硬くて脂ぎっている[9]

2?3頭身の乳幼児体型で大きい。また目・鼻・口は顔の下半分に集中している。堅い竹を噛み潰す必要上、筋肉が頭蓋骨の上方に位置するため額も広い[14]

尾長10 - 15センチメートル[4]。尾はほとんど成長しないため、成獣では目立たない[8]。ジャイアントパンダのぬいぐるみ人形キャラクターグッズなどのなかには、尾を黒く塗った商品を見かけるが、汚れなどによる誤解や思い込みに基づいて色付けされており、本種の尾の色は正しくは白色(クリーム色)である[8][9][15]
幼少期
生まれた直後は毛が一切生えておらず、薄いピンク色をしている[5][13]。生後約1週間から十日程で毛根の色が透けるため白黒模様が見え始める[9][13]。生後1か月ほど経つと親と同じような模様の毛が生え揃う[5][13]。出産直後の幼獣は体長15センチメートル[5]。体重85 - 140グラム[7]

通常、クマは前肢の構造上、物を掴むという動作ができない。しかし、唯一ジャイアントパンダは竹を掴むことができるように前肢周辺の骨が特殊に進化している[16]。第一中手骨親指)側にある撓側種子骨と第五中手骨(小指)側にある副手根骨が巨大化して指状の突起となっており、その突起を利用して物を押さえ込む。撓側種子骨は人間の親指のように見えることから「偽の親指」や「第六の指」と呼ばれている[9][13]。ジャイアントパンダは撓側種子骨があることで物を掴めると長い間考えられてきたが、実際に竹のような太さの棒状の物体を掴むには撓側種子骨に加え、「第七の指」副手根骨が必要であることが、遠藤秀紀ら (1999) [17]によって示された。パンダがこれら2つの骨を使って物を掴む仕組みは、論文の中で「ダブル・ピンサー」、すなわち「パンダの掌の二重ペンチ構造」[18]と紹介されている。

眼の周りの模様が垂れ目のような形をしているが、実際の眼は小さく上がり気味で鋭い目付きである[13][19]視力はあまりよくないと考えられていたが、研究によって2000年代灰色と様々な色合いを区別できることが確認された[20]
内臓
消化器官の構造はクマやアザラシ等、他の肉食動物と大変似ている。犬歯は大きく、奥歯も大きく平らな臼歯で人間のおよそ7倍の大きさである[9][13]盲腸草食性としては短い構造がデメリットとなり、セルロースを多く含む竹などの食物を食べた場合、栄養摂取の効率が低く、それを量で補うため、ジャイアントパンダは一日の大半を竹を食べることに費やしている[9][13]。また、陝西省仏坪県の自然保護業務関係者は、三官廟一帯で秦嶺の野生のパンダが牛の足の骨をかじった跡を確認している。

ジャイアントパンダはこれまでアルビノの個体が確認されておらず、その姿や存在を実証する術もなかったことから「存在し得ないもの」と見られていたが、2019年4月中旬に四川省・臥竜国立自然保護区にて真っ白な毛色のジャイアントパンダが歩行している様子を山中に設置されたカメラが捉えており、目が赤く足の部分の毛も白いことから、同地管理局では紛れもないアルビノの個体であるとされている。さらに同管理局によれば、専門家は「外部の特徴からこのパンダは遺伝子上の異常が原因で白化した」と分析しているという[21]
分類

1869年3月11日博物学に長けたフランス人宣教師アルマン・ダヴィドが、現在の中華人民共和国四川省西部宝興県にて地元の猟師が持っていた白黒模様のパンダの毛皮を欧米人として初めて発見した。後日、パリ国立自然史博物館毛皮などを送った[22][23][24][25][26]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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