大半のジップ・ガンの構造は金属製の短い筒に弾丸を込め、ファイアリング・ピンの役割をする釘などの細い物で弾丸の雷管を叩き、発砲する。他の銃器に見られる大半の部品を省いた単純な作りであるため比較的簡単に製造が可能である。
銃器メーカーが正規に製造した銃器に比べ性能は遥かに悪く、耐久性も低いため反復使用を想定していないが、作り方によっては銃に見えない外見にすることも出来るため隠匿性、携帯性に優れ、主に護身用、犯罪用、暗殺用などに使われている。中には懐中電灯や携帯電話などの日用品に似せて作られた物もある。
国家の対応詳細は「銃規制」および「国家別銃器所持取締法の概要」を参照
日本の武器等製造法を含め、多くの国で懲役刑などの重い刑罰が科せられる法律によって製造が禁止されている。
日本においては所持していた場合でも銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)違反などで取り締まりが行われ[6]、それ以外の一部の国においても銃の不法所持は禁止されている[7]。
アメリカで2016年から2020年の間に押収された製造番号の無い銃は、23,000丁以上であった[8]。
アメリカでは、簡単に銃が製造できるようになった今日に至り、2021年5月7日に火器の定義を1968年以来初めて見直して銃の部品にも規制をかける法案を発表した。それ以前は、プラモデルのようにキットを組み立てれば銃となる自作火器(ゴーストガン、PMF)や3Dプリンターの図面等は見逃されていたが、この法案によって部品の状態でも規制の対象となる[9]。 このような自作武器では、意図しないタイミングで発生する静電気でも反応してしまう黒色火薬が使用されたり、火薬の量を間違えたり、発射の爆発に耐えられない銃が製造されたりするため、使用者が大けがしたりなどの事故が発生する[10]。
注意
例
ペンガン
ペンガンは、ペン状の小口径単発銃である。一部のペンガンは、信号弾や催涙ガスなどを射出するようになっている[11]。
その他偽装銃
懐中電灯、携帯電話、杖、ライターなどに偽装するケースもある。
パイプガン
410番の散弾が使用可能なパイプガンパイプガンとは、鉄パイプを組み合わせて作られた銃器である。最初に使われたのは、太平洋戦争中のフィリピンとされる[12]。「paliuntod」というパイプで作られた即席ショットガンは、日本占領時期のフィリピンで、フィリピン人とアメリカ人の混成ゲリラによって使用された。以降もパイプガンは、フィリピンの反政府ゲリラや犯罪に利用されている[13][14]。1946年、フィリピンでのゲリラ戦を生き残った兵士イリフ・D・リチャードソン(Iliff D. Rich Richardson)によって米国で特許が取得された[12][15]。そして、「モデルR5・フィリピンゲリラガン」という12ゲージのショットガンが、リチャードソン・インダストリーズによって製造され、7ドルで販売された[12]。日本では2022年7月8日、鉄パイプを粘着テープで巻き付けて自作した銃で元内閣総理大臣の安倍晋三を背後から銃撃して死亡させた(安倍晋三銃撃事件)として、奈良市在住の元海上自衛官の男が逮捕された。警察が男の自宅を家宅捜索した際、同様の銃らしきもの数丁が見つかり押収。男は「2本の鉄パイプを粘着テープで巻き付けてつくった銃のほか、鉄パイプを3本や5本、6本にした銃を製造した。それぞれのパイプに弾丸を込めて発砲した。部品はネットで購入した」としている[16]。
改造銃
信号拳銃やエアガンなど、本来は実包を撃てないものを再利用するケースもある。
Luty
銃規制に反対し違法な武器製造の罪で捕まったイギリス人活動家フィリップ・ルティ