ノンアルコール飲料について、ボンドは紅茶を避け、「泥」と呼んで大英帝国の没落の原因だとしている。彼は代わりに濃いコーヒーを飲むことを好む[35]。 イングランドにいて仕事をしていない時は、ボンドはフレミング同様、グリルしたしたびらめ、シャードエッグ、ポテトサラダと冷たいローストビーフなどの簡単な食事をする[36]。しかしながら任務中には、ボンドはより贅沢な食事をする[37]。これは、1953年に『カジノ・ロワイヤル』が発表されたとき、イギリスではまだ多くの食品が配給されていて 、ボンドは「イギリスの戦後の緊縮、配給、力が失われたという迫り来る予感に対する理想的な解毒剤」だったためである[38]。読者のほとんどが海外に旅行していなかった時代、ボンドが海外でエキゾチックな地元の食べ物を食べていると、豪華さゆえに同時代の読者からさらなる注目を浴びた[39][40]。 1958年4月1日、フレミングは『マンチェスター・ガーディアン』に自作を擁護すべく投稿を行い、この新聞に掲載された『ドクター・ノオ』の批評に言及した[9]。ボンドの食品とワインの消費を「ギミック」と呼びながら、フレミングは「これが不幸にも特徴になってしまっているのです。私自身、ワインや食べ物への男のこだわりといったものは嫌いです。 私の好きな食べ物はスクランブルエッグです[9]」 と嘆いている。フレミングはスクランブルエッグのこととなると非常に熱心だったので、短編小説「 007 in New York 」を使って料理のお気に入りのレシピを提供した。この物語ではフレミングの友人であるアイヴァー・ブライスの家政婦メイのレシピが使われており、ボンド自身の家政婦の名前がここからとられている[41]。研究者のエドワード・ビダルフは、フレミングは全シリーズで70もの料理をしっかりと描写しており、その多くはスクランブルエッグやステーキなど共通するものを使っている一方、それぞれが異なるものとして描かれていると指摘した[42]。
料理
喫煙
ボンドはヘビースモーカーであり、1日に70本のタバコを吸っていた時期すらあった[43]。タバコをモーランド・オブ・グロブナー・ストリートでカスタムメイドし、バルカンとトルコのタバコを混ぜた通常より高いニコチン含有量のタバコを持っている。 タバコのフィルターに3本の金の帯がある[44]。タバコは、50本収納できる幅広の砲金製のシガレットケースに入れている。 彼はまた、表面の金属を黒くいぶしたロンソンライターを使う[45]。1930年代以来、モーリングでタバコを購入していたフレミングと同じタバコだった。