ジェノサイド
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1933年のナチ党の権力掌握から1945年のナチス・ドイツ崩壊までの間に発生した、ナチスによるユダヤ人などに対するホロコースト。「ジェノサイド」の用語はナチスによる大量虐殺を説明する用語として造られ、ニュルンベルク裁判の起訴状に使用された[19]
広島・長崎への原爆投下

ノーム・チョムスキーは「歴史上で最も酷い犯罪だ」と発言し、マイケル・シャーマーは、広島長崎への原爆投下が「非道徳的、違法、人類に対する罪でさえある」と主張する議論を取り上げている。
カンボジアの特別法廷詳細は「キリング・フィールド」および「カンボジア特別法廷」を参照トゥール・スレン虐殺犯罪博物館 犠牲者を撮影した写真

ポル・ポトタ・モク、その他の指導者が率いるクメール・ルージュは、カンボジア大虐殺を引き起こした。犠牲者の総数は、1975年から1979年の間に、奴隷労働による死亡者を含めて170万人と推定されている[20]

2003年6月6日、カンボジア政府と国際連合は、クメールルージュの最高幹部が犯した犯罪を裁く特別法廷 (ECCC) をカンボジア裁判所に設置することに合意[21]、裁判官は2006年7月初旬に宣誓を行った[22][23][24]

大量虐殺の容疑は、カンボジアのベトナム人チャム族の少数民族の殺害に関連しており、数万人、おそらくそれ以上の犠牲者がいると推定されている[25][26]

一部の国際法学者とカンボジア政府の間で、法廷で裁判にかけるべき人々について意見の相違があった。
ユーゴスラビア紛争における民族浄化

1990年代から2000年代までの旧ユーゴスラビアにおけるユーゴスラビア紛争。特にボスニア内戦時の民族浄化国際司法裁判所は、1995年7月13日より始まったVRS(ボスニアのセルビア人武装勢力)によるスレブレニツァにおける虐殺(スレブレニツァの虐殺)をジェノサイド条約2条上の集団殺害と認定した[27]。「旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷」を参照
ルワンダの虐殺

1994年春にルワンダで行われた虐殺。進行している虐殺がジェノサイドであると判断される場合は条約調印国全部に介入義務が生じるため、介入を避けようとしたアメリカほか調印国の抵抗により国連でその認定が遅れ、その際にジェノサイド的行為(act of genocide)が行われていると見解を発表するにとどまった。虐殺終了後に事後的にジェノサイドであると認定された。(ルワンダ紛争ルワンダ国際戦犯法廷参照)
ダルフール紛争における集団虐殺

2003年以降のダルフール紛争における集団虐殺。ジェノサイドであるとの正式な認定が国連で行われていないために強制的な介入は行われていない。
中国の少数民族政策

画像外部リンク
新疆ウイグル自治区ロプ県の強制労働施設に収容されている少数民族ウイグル族の男性達

チベット問題」および「ウイグル人大量虐殺」も参照

中華人民共和国による複数の少数民族に対する政策。アメリカ合衆国政府などがジェノサイドと批判し、中国政府は虚偽と反発している。

2008年のチベット騒乱時に、ダライ・ラマ14世中華人民共和国によるチベットでのデモ活動の鎮圧などを「文化的虐殺」と非難した。

2019年頃より、新疆ウイグル自治区イスラム教徒であるウイグル人が累計100万人が中国政府により「再教育施設」と呼ばれる施設に収容され、洗脳、虐待、強制不妊などが行われていると報道された[28][29][30][31]。2021年1月、アメリカのドナルド・トランプ大統領政権は、中国政府による新疆ウイグル自治区での少数民族ウイグル人虐殺を、国際条約上の民族大量虐殺である「集団殺害(ジェノサイド)」であり、かつ「人道に対する罪」に認定したと発表した[32][33][34]。2021年、バイデン政権もこの決定を引き継ぐと発表した[35]。2021年1月20日、在米の中国大使館がTwitter上で「過激主義を根絶する過程で、新疆のウイグル人の女性たちの心は解放された」、「彼女らはもはや子作りの機械ではなくなった」など書き込んだことで、アカウントを一時凍結された[36]。2021年1月26日、日本の外務省担当者は自民党外交部会で、この件について「中国のウイグル弾圧をジェノサイドとは認めていない」という認識を示した[37]

また1960年代から1970年代の中華人民共和国による内モンゴル人民革命党粛清事件を、楊海英は「ジェノサイド」と主張している[38]
その他の事例

ここまでに挙げた「ジェノサイド」は、要件を国家人種民族宗教などの集団構成員に対する破壊行為としている。これに対して、存在に対する抹消行為という意味での比喩的な意味(用法)として、以下のような文脈で用いられることがある。

文化的・宗教的な集団の文化的・宗教的・歴史的な存在等の全部または一部を破壊する意図をもって、1つの文化的・宗教的集団の構成員または文化的・宗教的・歴史的な資産に対して行われる行為を、「文化的なジェノサイド」(文化浄化)と言う。「文化的ジェノサイド」は、1946年の国際連合総会決議を受けて[39]、事務総局が作成したジェノサイド条約草案の中に取り入れられたが、後に委員会で削除された[6]


聖書信仰における聖絶(ヘーレム)を、ホロコースト、ジェノサイド、殲滅として解釈する説がある[注釈 1][40]

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 文語訳聖書では、通常「絶滅」などと訳される民数記21:3の「ホルマ」(ヘーレムの語根ハラムの派生語。新改訳聖書ではホルマがそのまま使われている)を「殲滅」と訳し、「ほろぼし」のルビを振っている

出典^ a b c d 西井正弘「ジェノサイド」『世界大百科事典 12 シ―シャ』平凡社、2007年9月1日 改訂新版発行、51頁。


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