シーシェパード
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1979年7月、ポール・ワトソンはポルトガル沖でシーシェパード号で体当たりした際、捕鯨船シエラ号の42名の乗組員の生命を脅かし、また、定員をはるかに下回るたった3名の乗組員でシーシェパード号を出航させた容疑でポルトガル当局に逮捕された[18]

2010年6月23日には国際刑事警察機構(ICPO)が日本の要請を受けて、ポール・ワトソンを「青手配(犯罪に関連していないか追加情報の提供を求める)」で国際指名手配した。2012年5月13日、ポール・ワトソンはコスタリカのサメ漁船に対する航行妨害の容疑で出ていた日本の手配とは別の逮捕状に基づき、フランクフルトドイツ当局に逮捕されたが[99][100]、保釈中に逃亡した。このため、2012年9月14日にICPOは「赤手配(国内法で可能ならば即時の逮捕・拘束を求める)」に格上げをしてポール・ワトソンを国際指名手配した[101][14]。その後、ポール・ワトソンは、2013年秋にアメリカに逃亡して9ヶ月間滞在したあと、2014年夏にフランスに逃亡し2015年時点まで滞在しているが、フランス政府は日本からのポール・ワトソン引渡し(犯罪人引渡し)要請を無視し続けている[102]
ピーター・ベスーン詳細は「ピーター・ベスーン」を参照

2010年2月15日、抗議船アディ・ギル号の船長ピーター・ベスーンが監視船「第2昭南丸」に不法侵入し身柄を拘束され、その後、海上保安庁に逮捕され[103]、懲役2年・執行猶予5年の判決が下され、退去強制処分となった。
米国のシーシェパード

2011年12月、調査捕鯨を実施している日本鯨類研究所が、シーシェパードの調査捕鯨に対する危険な妨害行為や接近行為を差し止めるようワシントン州連邦地方裁判所(連邦地裁)に提訴(本訴)すると共に仮処分を要求した[104]

2012年3月、連邦地裁がこの仮処分の申し立てを棄却したので、同年4月に日本鯨類研究所は第九巡回控訴裁判所(連邦高裁)に仮処分棄却の再審理を求めて上訴し、同年12月にこれが認められ妨害行為差し止めの仮処分命令が発出された[104]

2013年2月、連邦地裁は連邦高裁の結審まで連邦高裁の仮処分命令以外の提訴(本訴)手続きを凍結した。また、この仮処分に違反してシーシェパードが南極海で妨害行為を行ったため、同月に日本鯨類研究所は連邦高裁に対してシーシェパードの法廷侮辱罪を申し立てた。同月には連邦高裁が改めて妨害行為差し止めの仮処分を認めシーシェパードを「海賊」として認定した[12]。また連邦地裁判事の交代を命令し本訴を連邦地裁に差し戻した。2014年12月、連邦高裁がシーシェパード、ポール・ワトソン、6名のシーシェパード理事の法廷侮辱罪を裁定し、原告(日本鯨類研究所)の訴訟費用と妨害により受けた損害を弁済するよう命令した[104]

2015年4月、連邦高裁の法廷侮辱罪の裁定を不服としたシーシェパードらが合衆国最高裁判所に上告するも、同年6月、最高裁が上告を却下し、連邦高裁がシーシェパードらに下した法廷侮辱罪が確定した。これにより示談となり、シーシェパードは仮処分違反を認める形で255万ドル(3億1千万円)の賠償金を日本鯨類研究所に支払った[104][105][106]。仮に引き続き妨害行為を繰り返せば、さらなる賠償金の支払い義務が生じることになる[105]

2016年8月、日本側が賠償金として受け取った3億1千万円の一部(金額非公開)を和解金としてシーシェパード側に支払い、シーシェパードは永久的に妨害を行わないことで両者が合意したことが日本鯨類研究所から発表された。この調停結果は米国のシーシェパードのみに効力を発揮しオーストラリアのシーシェパードには効力が及ばないため、豪州シーシェパードは従来通り妨害行為を続けると主張しているが、米国シーシェパードから豪州シーシェパードへの資金提供を行うことができなくなるため日本鯨類研究所は抑止効果が期待できるとしている[107][108]
活動の手法
懸賞金

シーシェパードは、クジラ、アザラシ、サメなどを殺害した者を逮捕・有罪に導く情報や環境保護活動家の殺人事件解決に導く情報提供に対して、最大25,000アメリカドルの懸賞金を出すとしている[109]
共同密漁取締

シーシェパードは南米エクアドルのガラパゴス諸島で、現地の海保当局と共同で密漁取締を行ってきた[110]。2011年、ミクロネシアパラオジョンソン・トリビオン大統領が、サメの密漁船対策にシーシェパードの支援を取り付けたと報道されたが、後にトリビオンが翻意し支援は反故になった[111]
メディアを駆使した資金集め

シーシェパードは、活動資金の大半を各界の著名人をはじめとする支持者や支援企業からの寄付で賄っており、2010年度の収入1,140万米ドル(約8億7,600万円)のうち84%は個人からの寄付で、残りはTシャツなどの商品販売で得ているという[112]。日本の捕鯨やイルカ漁を妨害することによって寄付収入を増やし、それを元手に2009年以降抗議船2隻、撮影用ヘリ1機、攻撃用ゴムボート少なくとも4艘を購入するなど設備増強を行った[113]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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