シーシェパード
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シエラ号はキプロス船籍ではあるものの、日本の大洋漁業とノルウェーのForeningsbankenの共同所有であり、ノルウェー人船長と日本人乗組員の下、国際捕鯨委員会による規制を逃れて操業し、鯨肉を日本の国内市場で流通させていたためターゲットとなった[19]。翌年、修理された同船はリスボン港に係留中に何者かによって爆破、沈没させられた。ポール・ワトソンはすでにポルトガルを離れていたが、「これでシエラ号はもう捕鯨できないだろう。われわれはシーシェパード号のためにやったのだ」という匿名の声明文がUPI通信社に届けられた[19]
2006年

南氷洋において、抗議船ファーリー・モワット号が日本船籍の補給船オリエンタルブルーバード(Oriental Bluebird)に体当たりし、側面に打撃を与えた[20]。これに対して、日本の調査捕鯨に批判的なオーストラリア環境相イアン・キャンベル(Ian Campbell)とニュージーランド環境相クリス・カーターが、暴力的な抗議手法を非難した[21][22]
2007年

2月9日、調査捕鯨母船日新丸に対して抗議船2隻を接近させ、直撃すれば失明する恐れのある有害の
化学物質である酪酸入りの瓶を投げ付けた。乗組員のうち1人は瓶の破片で、もう1人は液体が目に入り、船内で治療を受けた。尚、日新丸のスクリューに縄を絡ませようとした高速ボートが接近しすぎ沈没、オーストラリア人とアメリカ人の活動家2人が行方不明となった。 水産庁によると、同団体は妨害活動を中止し、約3時間後に日本側に救助要請。日新丸も救助活動に参加、連絡が途絶えてから約7時間後に同団体が、不明の2人を救助した。ジョニー・バシック会長はこの件に関し、「日本の捕鯨船には感謝しているが、今後も妨害活動は続けるつもりだ」と語った。

2月12日、抗議船を日本の目視調査船海幸丸に衝突させる。同団体は、海幸丸が抗議船を回避しようとして別の抗議船に衝突したと主張。その後、海幸丸はスクリューが破損したと訴え、遭難信号を出した。ニュージーランド当局も遭難信号を確認した。一方、抗議船は船体を損傷したが航行に支障はない。このことに関し、同団体のワトソンは、オーストラリアおよびニュージーランド当局が全力で捕鯨をやめさせるとの保証が得られるなら引き揚げると述べる一方、捕鯨妨害のため抗議船を捕鯨船の船尾に衝突させる(スクリュー、舵などの破壊の為)ことも辞さないと警告した。捕鯨船日新丸は、同年2月15日に船内において火災が発生し、乗務員である27歳の男性が焼死するという事故が発生した。

この頃からアニマルプラネットの『Whale Wars(鯨戦争)』の番組スタッフを同行させ取材させるようになった。

2008年

1月15日、日本の目視採集船
第二勇新丸に対し酪酸瓶を投げつけ、ワイヤーをスクリューに絡ませようとした。同日、同団体の活動家2名が同船船内に不法侵入し拘束された。不法侵入者2名は同月17日オーストラリアの船に引き渡されたが、同日中に別の調査船に酪酸瓶で襲撃した。

3月3日、スティーブ・アーウィン号が、捕鯨船日新丸に100本以上の酪酸瓶を投げつけるなどの襲撃を行い、海上保安官2名と捕鯨船員2名に軽症を負わせた。外務副大臣小野寺五典は、同団体が船籍を置くオランダの駐日特命全権大使外務省に呼んで抗議した。同省の小田部陽一経済局長は、同団体の船が実質母港としているオーストラリアの駐日特命全権大使を呼んで抗議した。これら日本側の抗議に対して、オーストラリア連邦政府は一切応じないことを発表した。

3月7日、スティーブ・アーウィン号が、捕鯨船日新丸に4回にわたって異常接近し酪酸瓶を投げつけ、海上保安官が手投げ式音響警告弾を投擲し警告した。ポール・ワトソンは、この音響警告弾に関して、あらかじめ防弾チョッキに仕込んでおいた銃弾を用いて「捕鯨船に銃撃を受けた」と同乗したテレビクルーにアピールした。

3月9日、国際捕鯨委員会(IWC)において、全会一致で同団体の暴力行為に対する非難声明が採択された[23]

8月18日、警視庁公安部は、公海上での海賊行為などで損害を受けた船舶の船籍国に捜査権を認めている「海洋航行不法行為防止条約」を初めて適用し、2007年2月の妨害行為について威力業務妨害容疑で同団体のメンバーであるアメリカ国籍とイギリス国籍の男性ら3人の逮捕状を請求した。警察庁は国際刑事警察機構を通じて国際指名手配する[24]

2009年

1月6日、調査捕鯨船が行方不明の乗組員を捜索する為に発信した救難信号で居場所をつきとめ、無灯火で近づき衝突を試みたが調査船に回避された。同団体は即座に行方不明者の捜索への協力と弁解したが、調査捕鯨船から無灯火の航行、他船への意図的な異常接近などの不法行為を指摘されると、行方不明者を捜索中の調査船団に対し、約4時間にわたって幾度も衝突を試み、執拗に行方不明者捜索の妨害をおこなった。また、日本側の同団体対策として人間に不快な周波数の音波を放射する
音響兵器が使用された。同団体は、この装置により、妨害活動に集中することが困難になったことを認めざるを得ないとの声明を出し、日本側の同団体対策が功を奏したことが明らかになった[25]

2月6日、スティーブ・アーウィン号が第三勇新丸の左舷後方に船体を激しく衝突させて押し続け、第三勇新丸の船体が大きく傾き非常に危険な状態となった[26][27]

2010年

1月6日、妨害活動を行っていた、同団体の
アディ・ギル号と日本の監視船第2昭南丸が公海上で衝突する。アディ・ギル号が進路に割り込んできたという第2昭南丸側の主張に対し、完全に停船していたところにぶつかってきたと同団体は主張した。アディ・ギル号は船首部分が大破し船員の1人が肋骨を折ったが、第2昭南丸側の船員に被害はなかった。第2昭南丸は同団体に対する監視船で、捕鯨船は別行動のため日本の調査活動には影響はなかった。同団体はこの事件の直前まで、ロープを使用した危険な航行妨害や、異臭を放つ袋を甲板に投げ込む、目に当たれば失明のおそれがあるレーザー光線を照射する[28] などの直接的な攻撃行動を行っており、第2昭南丸側も放水などでこれに対抗していた。事件後、同団体は証拠として衝突の瞬間のビデオを公開し、オーストラリア政府に海軍による保護を要請したが受け入れられなかった。これに応じる形で第2昭南丸側から撮影されたビデオも、財団法人日本鯨類研究所の公式ホームページより、条件付きコピーレフトで公開された[29]


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