ドラムセットにおけるシンバルの役割は重要で、以下に用途別の名称を記載する。
名の由来:音を元に命名することが多い。
サイズ:6 - 24インチサイズが市販されているサイズ。
音質:シンバルは材料と口径・厚みの3要素が音質を作る基礎となる。それらに加え、ハンマリング・シェイピング・フィニッシュが細部を決定付ける。口径が小さいほど音量は小さくなり、音程は高くなる。厚みが増すほど音程は高くなり余韻がなくなる。
演奏:スティックを使用する他、マレットと呼ばれるフェルト状の布で先端がくるまれたバチを使用する。マレットの場合、スティックとは異なりアタック音が出ないため、純粋なシンバルの響きを引き出せる。
ハイハットハイハット
サイズ:13 - 15インチサイズが一般的。
形状:皿状。
セッティング:専用のハイハット・スタンドに載せ、縁を合わせるように対面させる。同径で上(トップハイハット)が薄め・下(ボトムハイハット)が厚めのものを組み合わせることが多い。
音質:口径が小さいため高い。ペダルを開閉させることで硬い音や響く音を出せる。
演奏:ドラム演奏の要ともいえるビートを刻む主人公。アクセントなどの味付けをする他のシンバルとは一線を画す。スタンドのペダルを踏み2枚のシンバルを閉じ合わせた「クローズ」状態で叩くことにより余韻のない音を奏でることができる。またペダルを緩めて叩くことによって2枚のシンバルが互いに擦れあいながら鳴る「オープン」音を奏でることができる。さらにオープン状態で発音してからペダルを踏むことにより余韻を途中でカットするなど多彩な表現ができる。ロック系の音楽などで音量がほしい場合にはクローズ状態から少しペダルを緩めた「ハーフオープン」を用いる場合もある。ペダルだけでリズムを刻むペダル奏法もあり、踵でペダルを蹴ればシンバルクラッシュ(クラシックのシンバル音)をすることも可能。
クラッシュ
名の由来:クラッシュ(衝突)が由来。
サイズ:14 - 18インチサイズが一般的。
形状:皿状。
セッティング:一般的にスタンドに載せる。
音質:余韻のある澄んだ音。ロックでは、厚めで余韻が長く高い音程のものが好まれ、ジャズでは薄く余韻が短く低い音程のものが好まれる。
演奏:曲の流れにアクセントを付け目的で使用される。ビバップやモダンジャズではアクセントとしてBass Drumと同時に使われる事が多く、構成とは別にリズム全体を高揚させるために使われる。
ライド
名の由来:「ライド・ビート(ビートを乗せる)」ドラムセット創成期におけるjazzにおいて、このシンバルを鳴らしてリズムパターンを演奏していたため。「ライド(Ride)=乗った」というのは有名な誤解による間違いである。
サイズ:18 - 24インチサイズが一般的。
形状:皿状。カップ(中央部の盛り上がり)のサイズは決まっておらず、小さいものや、ないものもある。薄く音程の低いライドを好むジャズでは、聴覚上の音量を上げるために穴を空けて金属鋲を取り付けたモデル(リベット付き、sizzle付きと言う)もある。取り付け位置の決まりはない。
セッティング:一般的にスタンドに載せる。
音質:ロックでは高音で歯切れのよい音のものが好まれ、ジャズでは音程が低く奏法次第で様々な音の出せるものが好まれる。ライドはクラッシュシンバルと比すると音は前に出ない。
演奏:ビートを刻む目的で使用する点でハイハットシンバルに通じる。特徴的なのはカップ(日本での通称。正式にはBell:ベル)と呼ばれる中心の盛り上がった部分で力強いビートが刻める点。
クラッシュライド
名の由来:クラッシュとライドの両用として作られたことから。
サイズ:16 - 22インチサイズが一般的。
形状:皿状。
セッティング:一般的にスタンドに載せる。
音質:クラッシュ音も出るがビートも刻める中間の音質。
演奏:ビートを刻みながら、クラッシュ音を出すということが可能。ジャズ等ではクラッシュシンバルで代替することが多い。
チャイナ
名の由来:名のとおり中国で使用されているシンバル。反り返っている形状から、スウィッシュ(Swish)とも呼ばれる。
サイズ:サイズが幅広い。小さいものは持ち手を付けて京劇で用いキメの部分などで演奏される。
形状:通常のシンバルの形状とは異なり、縁が反り返っている。
セッティング:一般的に表裏を逆向きにセットしたりもする(つまり通常のシンバルとは逆に裏側を演奏面とする)。
音質:倍音が整っていないために、音は他と比べると濁りのある音。
演奏:普通のアクセント以上のインパクトがほしい時に使用するが、逆にこれでビートを刻むこともある。
スプラッシュ
名の由来:スプラッシュ(しぶき、とびはね、はね散らかし)が由来。
サイズ:6 - 10インチサイズが一般的。