シンセサイザー
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^ 日本ハモンドは、1970年にハモンド阪田商会(海外事業部門)の提携により設立された合弁会社で、ヨーロッパの多くの地域と極東地域へのアメリカ製ハモンド製品供給と、日本製ハモンドOEM製品の製造/販売/輸出を行った ⇒[8][9]
 また1972年の梯退社後、1970年代のある時期エース電子工業の再編に伴い製造販売部門を日本ハモンドが引き継いだと考えられており ⇒[10]、以降日本ハモンドはACE TONEブランドの製造・販売も行うようになった。 ⇒[11][12]
 1970年代末にはコンパクトエフェクター Big Jam シリーズを発売した。この製品は同時期に発売されたローランドのBOSSシリーズの対抗製品と考えられ、アメリカのMultivox(Sorkin Music)にもOEM供給されたが ⇒[13][14]、結局2?3年で消えたという。 ⇒[15]
 その後1970年代末、ACE TONEブランドの後に新ブランドJugg Box(海外ではSAKATA)が登場し、真空管式ギター・アンプstuffシリーズ [16] や、日本最初期のPCMドラムマシンDPM-48 といった特徴ある製品を発売した。 ⇒[17][18]
 以上のように、日本ハモンドの主力はあくまでオルガン製品であり、ギターアンプ/エフェクタは70年代末期の追加、シンセ/ドラムマシンの発売はどちらかと言うと例外的だった事がわかる。なお1980年代にはイタリアCRUMAR社の高価なデジタルシンセ DK SYNERGYの輸入販売も行っていた。 ⇒[19]
 以降の経緯は、阪田商会の脚注を参照。
^ 阪田商会(現サカタインクス)は、1896年大阪で創業した印刷用インキ大手メーカ。
 同社はエース電子工業と日本ハモンドの出資者であり、両社製品の輸出入業務は 同社海外事業部門が担当した。 輸出品の製造プレートには「SAKATA SHOKAI」の文字が記されたので、海外ユーザはその製造元をエース電子工業ではなく阪田商会だと理解している。 ⇒[20] また後期製品の一部(例えばJugg Box DPM-48等)は、実際に海外でSAKATAブランドで販売された ⇒[21][22]
 (1980年代には外国ブランド・シンセ(Oberheim/Ensoniq/Kurzweil(以上鈴木ハモンド), Chroma Polaris II(FenderJapan&エルク電子), SCI(モリダイラ楽器), ...等)の国内生産が急速に開始され海外輸出も行われた。この時期、日本製のOberheim/Ensoniqの輸出版製造プレートにも「SAKATA SHOKAI」の文字が確認されている ⇒[23][24][25])
 このように一見ミステリアスな「SAKATA SHOKAI」の目的と役割は、同社海外事業部門(現シークス)の ⇒創業50年史 を参照。同資料に拠れば、年代を経るにつれ事業領域が下記のように変化・拡大していった事が確認できる。

1958年 大手インク会社貿易部の輸出係として誕生

1960年代 電子部品貿易(エース電子工業への出資と輸出)

1960年代 電子部品貿易(エース電子工業への出資と輸出)

1970年代 OEM事業(日本ハモンド)、他社の海外工場設立等

1970年代 OEM事業(日本ハモンド)、他社の海外工場設立等

1980年代 自社ブランド試行(SAKATAブランド)→EMS(委託生産事業)の本格化

1980年代 自社ブランド試行(SAKATAブランド)→EMS(委託生産事業)の本格化
そして1980年代後半?90年代初頭、ハモンドオルガン事業に大きな転換が生じた。

1985,6年頃 ハモンド・オルガン・カンパニーが経営終息 (詳細不明)

1991年 鈴木楽器が買収しHammond復活

1992年 サカタインクス(旧:阪田商会)海外事業部門がサカタインクスインターナショナル(現シークス)として分社独立
一連の流れの中、(おそらく1987年の阪田商会の商号変更前に) 関連事業は阪田商会から鈴木楽器へ事業譲渡 ⇒[26] され「鈴木ハモンド」となり、 最終的に「ハモンドスズキ」へと統合されたと一般に考えられている。 しかしこの間の詳しい経緯はあまりよく知られていない。
 総じて日本ハモンド/阪田商会/エース電子工業/ローランドの活動は、ハモンドの命運と市場に大きな影響を及ぼした。

OEMビジネスによる 出荷数/モデル/価格レンジの拡大

トーンホイール方式終了の追認(OEM生産拒絶)と後押し(電子オルガン開発)

クローン・ホイール電子オルガン市場の立ち上げと、市場競争の激化
(ACE TONE GT-7/GT-5, Hammond X-5/X-2/B-200, Roland VK-9/VK-6, KORG BX-3/CX-3, etc)
しかし現在に至るまで、各社の正確な活動内容や関係者の真意は今ひとつ判然とせず、その功罪もあまり語られてこなかった。 その反面、各社の引き起こした結末を潔く引き受け、事態収拾の役目を果たした鈴木楽器については、なぜか曖昧な説明が繰り返されている(Wikipedia上の記述例: 「商標は?に買い取られ」「現在 商標を持っている?」「単なる日本総代理店」)。そのアンヴィバレンツな一般認識は、ヴィンテージ楽器とそのブランド解明に強い興味を抱く人々にチャレンジャブルな課題を突き付けている。
^ Multistrings SY-5は、有名な ⇒Audio Play Ground Museum に展示があり、また国内でも運がよければヴィンテージショップ等の店頭で現物を確認できる (たとえば2000年前後、FiveG店頭に並んでいた)。しかしネット上では、例えば安西のシンセ年表にも、PSE免除のヴィンテージ・リストにも記載が無い。発売時期も詳細仕様もほとんど知られておらず、極めて謎の多い製品と言える。
 製品名や写真から観察できる範囲では、おそらく2系統のアンサンブル音源(中央部、プリセット型ポリシンセ)を中心に、オルガンまたは簡単なソロシンセ(右側緑四角の下の多数のノブ)、モジュレーション系エフェクタ、幾つかのコントローラと入力(左端ジョイスティック) を備えた3系統複合キーボードと推定される。またデザイン的特徴として、筐体上面にARP製品と同様なブロックダイアグラムが印刷されている。
 以上より、製品の機能や世代は ⇒Roland RS-505 Paraphonic Synth(1979年) ⇒[27][28] や、Roland VP-330(1979年,前期型) ⇒[29][30] に近いと推測される。しかし機能ブロックの複雑さやノブの多さ、そして何よりデザインは、 ⇒ARP Quadra(1978年) ⇒[31] や ⇒Roland Jupiter-8(1981年) に通じるものがある。今後のACE TONE Multistrings SY-5の解明に期待したい。
(追記: ⇒Guy-Lianのシンセ紹介ページ に短い説明が存在)
^ ACE TONE SH-3とは、1974年Roland SH-3 のロゴが ACE TONEに張り替えられたという説 ⇒[32] に基づく製品名である。なおRoland SH-3は、Moog特許のMoogフィルター回路を無断コピーして問題となり、すぐに回路変更後のRoland SH-3Aに入れ替わったため、Roland SH-3自体存在が稀である。ドイツの SYRISEデータベース には「ACE TONE SH-3 (1974年): ブランド・ロゴ以外完全にRoland SH-3と同一」という記述があるが、写真証拠や出典の記載は一切ない。またSound On Sound 2004年11月の記事" ⇒The History of Roland Part1: 1930-1978"に「Roland SH-3と類似したACE TONE SH-3」の記述がある。なお同誌記事は、ストーリー構築や取材源の都合に応じ時として未検証情報を交える傾向があり、デザインや仕様の若干異なるACE TONE PS-1000を取り違えたのではないかとする説 ⇒[33] もある。上記2件以外に ACE TONE SH-3の存在を示す出典は見つかっていない。
^ この他1974年にACE TONEがシンセを発売したとする別の2つの説がある。
 一つ目のAP-100は、2006年前後PSE問題(2001年電気用品安全法(PSE法)の施行後2006年の猶予期限切れに伴い、国内のヴィンテージ機器流通に大きな支障が生じかけた問題)で、適用免除申請(特別承認)で提出され受理されたいわゆる ⇒公認ヴィンテージ・リスト に記載のある型番である。有名なシンセシスト安西史孝の ⇒シンセ年表 には、1974年の発売リストに記載がある。しかしこの2件以外、ネット上に製品情報は見当たらない。なおPSEの免除申請に、業者によっては大量の対象外製品を申請してしまった経緯もあり、必ずしもPSEのリストが100%の信頼性を持っているとは限らない。一つの可能性として、存在確認されている製品"AP-1000"の型番を誤って"AP-100"として申請し、そのまま免除対象となった可能性も否めない。
 二つ目のSY 100は、ドイツの ⇒SYNRISEデータベース に記載されている型番で、記述によれば登場時期と仕様は「1974年登場したステージ用モノフォニックシンセ(49鍵)。このアナログシンセは、シンセの全基本機能に加え、リングモジュレータとハイパスVCFを備えている。キーボードは上下1oct.のオクターブ・トランスポーズが可能」という事である。ただしこちらも、これ以外に製品情報がネット上に一切見当たらない。一つの可能性として、関連会社日本ハモンドのHammond Model 102200 (と同じ外観の製品)を、 ⇒Hammond SY-100と誤表記している例 があり、何らかの関係があるかもしれない。 また別の可能性として、広く存在確認済みの製品"Multistrings SY-5"と関係のある製品なのかもしれない。ただしSY-5は名称や画面からポリフォニック複合キーボードと推定され、上記仕様とは異なる。またSY-5の発売時期は確認できていないが、他社の同様な複合キーボード( ⇒Roland RS-505(1978)、Multivox MX-3000(1978)、 ⇒YAMAHA SKシリーズ(1979-1981)、 ⇒KORG Trident(1980,8voice/メモリ付き)、)は70年代末?80年代初頭に登場しており、仮に"SY 100"と"SY-5"に関係があるとしても、製品世代は大きく異なる可能性が高い。
^ Ace Tone PS-1000 ⇒[34] の発売は1976年だが、その4年前創立者梯が退社し設立したローランドの製品と、仕様やデザイン面で深いつながりを感じさせる不思議な製品である。PS-1000の仕様や機能は、1974年発売のRoland SH-3(A)とほぼ同一だった。操作パネルのデザイン「黒地に白印刷でロゴはオレンジ」は、1975年頃までMultivoxにOEM供給していた製品(Rhythm Ace ⇒FR-4, ⇒FR-6M, ⇒FR-8L) ⇒[35] と共通しており、1978年?1981年にはローランドがその主力製品で同じデザインを多用している( ⇒CR-78 , ⇒CSQ-600, ⇒SPV-355, ⇒SVC-350, ⇒TR-808, Jupiter-8)。1980年Roland TR-808の発売当時、店頭にTR-808と同期可能なシーケンサCSQ-600/CSQ-100と共に、発売時期の古いPS-1000を並べて展示した楽器店もあり、創立者が同じなら製品が似ても当然だと当時は受け止められていた。  
^ HAMMOND MODEL 102200 ⇒[36] は、1975年日本ハモンドが発売したシンセサイザー。
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