「8cmのCDシングルは日本にしかない」と言われることがあるが、世界初の8cmCDシングルはフランク・ザッパの「Peaches en Regalia」のアメリカ盤とされており、少なくとも1989年頃には、アメリカでも8cmのCDシングルが一般に売られていた。また、ビートルズのシングルも最初のCD化は8cmサイズだった。ただ、欧米では日本ほど8cmのCDシングルが普及しなかったのは事実であり、1990年代以降はほとんどのシングルが12cmとなった。
シングル・レコードでいうA面/B面だけの収録ではまだ余裕があるため、カラオケブームを反映、1991年頃からボーカル(声)なしのオリジナル・カラオケも収録されることが多くなった。
1980年代後半においては、過去のシングル・レコードを8cmCDシングルとしたものをまとめて同時に再発売することがみられた。 その後、音楽ソフトの主流がレコードからCDへと移ったが、8cmCDシングルはCDプレーヤーの性能及び適応性から来る取扱の難しさも抱えていた。1990年代後半以後、増加傾向にある外資系CDショップでは8cmCDシングル用のスペースが少ないことが多い[7]。そのため日本においては1990年代後半以降、8cmCDシングルから12cmCDシングルへの移行が進んだ[7]。 マキシ・シングルの中には、CD自体は12cmだがアルミ部分が8cmの「ニュー・マキシ」というディスクも存在する。これはCD-DAの追加仕様に基づくものであるため、一部のCDプレーヤーでは再生できないことがある[注釈 7]。 1990年代後半から2001年頃には、12cmCDシングル用の薄型ケースとジャケットに8cmCDを入れる形で発売された例もある。 8cmCDシングルでリリースされるタイトルの激減とともに、8cmCDシングルは消滅するかのように思われたが、食玩業界からお菓子のおまけ(食玩CD)としての需要が発生した(ブームは2003年から翌2004年までの短期間に留まった)。菓子メーカーからの発売が主であり8cmCDシングルの最大収録時間が約22分程度であること、12cmCDでは大きさやコストに問題があることから、曲を1曲だけ収録した8cmCDシングルを同梱したガムやチョコレートが発売されるようになった。ジャンルもアニメの主題歌(アニメソング)、1970?80年代のポップスや演歌等、多岐にわたっている。 日本レコード協会の生産実績統計によると、2009年の8cmCDシングル生産枚数は15万5000枚、生産金額は5800万円であり、CD全体における構成比は1%未満である。 2010年代後半において、DEENの『ずっと伝えたかった I love you』[注釈 8]、安斉かれんの『世界の全て敵に感じて孤独さえ愛していた』[9]、サカナクションの『忘れられないの/モス』[注釈 9]など、わずかながら8cmCD・縦長仕様ケースで発売する例もみられる。 2020年代に入りメジャーデビューを果たしたザ・リーサルウェポンズが、デビューシングル『半額タイムセール』をはじめとしたすべてのシングル作品に縦長仕様の8cmシングルを完全生産限定盤として発売[11]、80?90年代をリスペクトする彼らにとって8cmシングルでの発売は結成当初からの悲願でもあった。 新譜の形式がマキシ・シングルにほぼ完全移行した2000年以降、過去の8cmCDシングルをマキシ・シングルとしたものをまとめて同時に再発売することがみられる[注釈 10]。 日本でもシングルCDの売上は減少しており、CD不況の影響がアルバムよりも顕著に表れている。シングルの年間販売数(日本レコード協会集計対象シングル、8cm+12cm)は、1997年の1億6782万7000枚をピークに減少し、2005年には6468万8000枚、2009年には4489万7000枚、2013年は6060万枚となっている[14]。 日本でのVHSシングルは主にシングル曲と同一のミュージック・ビデオ (プロモーション・ビデオ=PV) を収録する形態であった。1980年代に存在してはいたが、一曲ではなく複数曲のPVを収録した「ビデオクリップ集」形態が主流であった。 しかし、1999年のGLAYの新曲「サバイバル」はCDではなくビデオシングルとして発売され約90.2万本を売上[注釈 11]、ハロー!プロジェクト系アーティストが「シングルV」の名称でCDシングルと同時にシングルビデオを発売、売上に貢献する形態もあった。2001年に入るとメディア媒体がDVDへほぼ移行。「DVDシングル」、シングルCDにDVDを同梱する「CD+DVD」形態に代わった。 日本ではビデオシングルという正式な規格は存在せず便宜上の名称のみとなっている。オリコンチャートにおいては映像ソフトとしてカウントされる。最初期の作品としてスライ&ロビー「Superthruster」(1999年2月9日)が挙げられる。 単独で発売されるタイトルも存在するが、2003年以降はシングルCDにミュージック・ビデオを収録したDVDを同梱する「CD+DVD」形態がエイベックスをはじめとする日本国内のレコード会社で急速に普及した[注釈 12]。この場合は音楽チャートの売上にカウントされる。 日本では1999年に登場し、2000年代初頭に洋楽やクラシック音楽系統で発売された。DVDオーディオは強固なコピーガードが使えることに加え、複数メディアを同時並行して販売することにより、特にマニア層向けに売上の増加を見込んでいた。しかしDVDオーディオの普及率が向上しなかったことにより、2003年頃をピークにリリースが下火となり、過去作品も多くが廃盤になっている。 2007年2月23日に日本レコード協会が、2006年の日本国内の有料音楽配信の売上(パソコンと携帯電話の合計)が、シングルCDの合算(8cmと12cmの合計)を上回ったことを発表した。2009年の売上(日本レコード協会集計対象)は、8cmCDと12cmシングルCDは計4489万7000枚に対し、インターネットダウンロード・シングルトラックとモバイル・シングルトラックの合計は1億8540万7000本に及んでいる[14][15]。 韓国においては、かつてはシングルCDは発売されていなかったが、音楽業界の低迷に伴い少しでもCDを売るための手段としてシングルCD(韓国では「シングルアルバム」と呼ぶ)が2001年頃から少しずつ発売されるようになった[16]。 当初はセールス的に成功した例はなかったが、2004年にはK-POPバンドの東方神起がデビューアルバム発売前に発売した2枚のシングルCDが共に10万枚を超える売上を記録し、特に2枚目の『The Way U Are』は、同年の韓国レコード産業協会調べの韓国国内における年間販売量ランキング(アルバムを含む)で9位を獲得した[17]。
1988年 - サザンオールスターズ、中島みゆき
1989年 - 浜田省吾、松任谷由実、南野陽子、竹内まりや、TM NETWORK
12cmCDシングル(マキシ・シングル)への移行
2000年 - スピッツ
2001年 - 浜崎あゆみ
2003年 - B'z
2005年 - 浜田省吾、サザンオールスターズ
2006年 - L'Arc?en?Ciel[12]、TRF
2007年 - SIAM SHADE
2010年 - KinKi Kids
2020年 - ZARD[13]
CD売上の減少
VHSシングル
DVDビデオシングル
DVDオーディオシングル
音楽配信の普及
韓国におけるシングル
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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