シンガーソングライター
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シンガーソングライターとして活動する場合、音楽業界では偽物の業界人あるいは悪意を持った業界人が多数暗躍[9][10][11][12]し、夢追い人を食い物にしているため、デビューの誘いを持ち掛けておきながら金銭の支払いや性的関係を要求するような偽プロデューサーや詐欺レーベルなどに騙されないようにする必要がある[13][14]。シンガーソングライターとしての活動は個人の存在を直接社会に晒して行う活動であり、様々な悪意を持った者が近寄りやすい状態にあるため、まずは誘いを受けたら疑い、その場で信用に足る証拠を提示するように求めたり、誘いを受けた後も自ら相手の行動を観察・調査し続け、信用できる人物・団体かどうかについて考える必要がある[9]
語源と背景

「シンガーソングライター」という言葉は、1970年代初頭にアメリカジェームス・テイラーが注目され、続いて英国エルトン・ジョン、アメリカのキャロル・キングなどのめざましい活躍もあって[15]、彼らが「シンガーソングライター」と呼ばれ、それが日本でも普及したもの[16][17][18][19]

元々、ポップ・ミュージック(ポップス)の世界では、英米でも日本でも曲を作ることと歌うことは分業で行われていた[2][20]。英米ではそれらを今日オールディーズなどと称しているが、日本でいえば歌謡曲と、どちらも基本的には分業であった[21]。そこへ自作自演の流れを持ち込んだのはビートルズボブ・ディランらである[2][20][21][22]。1960年代には多くの自作自演のミュージシャンが高い人気を得ていた。にもかかわらず1970年代初頭、あえてアメリカで「シンガー・ソングライター」という呼び名が使われた要因は、「ロック的な狂熱とは縁の薄いパフォーマンスの価値を、歌やソングライティングを強調することで補う必要があったから」とレコード・コレクターズ誌は解説している[23]。英米の「シンガー・ソングライター」は、「大きな夢や怒りではなく、身のまわりの出来事に目を向けた歌を作って歌う」「誠実な自己告白的の歌を歌う」というような意味合いがあった[23]ローリング・ストーン誌のロック史では、「シンガー・ソングライター」は映画『卒業』のダスティン・ホフマンのように、スターらしからぬスターが誕生したニューシネマの現象と関連づけて語られているという[23]。本来の「シンガー・ソングライター」という言葉には「ロックのアンチテーゼ」のような意味があった。しかしこの言葉が日本に輸入された当時は、まだ日本でロックはメジャーになっておらず、日本での「シンガー・ソングライター」には歌謡曲のアンチテーゼとしての役割が最初は与えられていたものと考えられる[2][24]
欧米での歴史

1960年代後半から1970年代前半にかけてのロック界やソウルでは社会的なメッセージ性の強いヒット曲が多く生まれた[25]。1970年にジェームズ・テイラーはアルバム『スウィート・ベイビー・ジェームス』を発表したが、このアルバムはシンガーソングライターによるオリジナルバージョンがヒットしたことで当時としては珍しい例であり注目を浴びた[25][26]。また、『ファイアー・アンド・レイン』はジェームズ・テイラーのごくごく私的な体験を告白した歌詞の曲だったが、『スウィート・ベイビー・ジェームス』に収録されたのちシングルカットされ、1970年秋に大ヒットとなりこれがシンガーソングライターブームの幕開けと言われている[25][26]

また、フォークブーム期であった1960年代末にはカナダのシンガーソングライターであるゴードン・ライトフット、レナード・コーエン、イアン&シルビア、トム・ラッシュらも米国に進出した[27]
日本での歴史
前史

日本においても、自作曲を自ら歌う歌手は古くからいた。作詞家&演者だった[28]添田唖蝉坊なども広義ではシンガーソングライターといえるかも知れない。

1930年代には演歌師の石田一松自作自演した「酋長の娘」をヒットさせた。広義における本格的なシンガーソングライターの嚆矢と言われる林伊佐緒は1930年代から「出征兵士を送る歌」など、自身の曲の大半を自ら作曲・歌唱した。1950年代には大橋節夫が自作曲を歌いヒットしハワイアンブームの先駆となった他、1958年には「ロカビリー3人男」と言われた平尾昌晃も自作曲「ミヨちゃん」をヒットさせた[29][30]

1960年代には森繁久彌加山雄三荒木一郎市川染五郎美輪明宏といった人気俳優が自作曲でヒットを出すというケースも出てきた[19]

歌謡曲には古くからレコード会社プロダクションの主導により職業作家の作った楽曲を歌手が歌うという厳格な分業システムがあったが[21][31]、彼ら歌手にも音楽的才能があるため作曲能力があり、知名度も相まって自作曲をリリースすることが出来た[32]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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