シンガポール
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イギリス軍の撤退に対応するための枠組みとして、イギリスは1971年にシンガポール、マレーシア、ニュージーランド、オーストラリアとともに5か国防衛取極を締結した[50]。当初は、防空システムに関する協力から始まったが、後に空軍だけではなく、海軍の合同軍事演習も行われるようになった。

冷戦を通じてアメリカ軍との関係も深まっており、1990年にはアメリカ軍によるシンガポール国内施設の使用に関する覚書を締結した。シンガポール軍の装備も、アメリカ製が多い。特に空軍の歴代主力戦闘機は、アメリカ製で占められてきた。F-35戦闘機の開発計画(統合打撃戦闘機計画)においても、最も低いレベルではあるが、優先的に輸出枠を確保できる“Security Cooperation Participation”として参加している。また、2013年にはアメリカ海軍の最新鋭艦艇である沿海域戦闘艦のローテーション配備が発表されている[49]

このほか、1975年中華民国台湾)との間で結ばれた「星光計画」と呼ばれる協力関係が、中華民国とシンガポールの正式な国交解消後も続いている。これは、シンガポールの国土が狭いため、当時のリー・クアンユー首相と?経国中華民国総統の間で、シンガポール陸軍部隊の訓練を台湾で行うことなどを取り決めたものである。中華民国と対立を続ける中華人民共和国もシンガポール軍に海南島の訓練施設の提供を申し出たが、シンガポール側はこれに応じていない[51]

さらに、シンガポールとフィリピンが「台湾有事」の際に、台湾の防衛に協力するという「敦邦計画」が存在するとの報道もある[52][53]

ただしリー・クアンユーは、台湾に武力侵攻する場合は武力衝突を避けるべく中華人民共和国は2週間先に事前通告するよう要求している[54]。また、中華人民共和国とは2009年、2010年、2014年、2015年に共同軍事演習を行っている[55][56]

近年は、アメリカ、フランスブルネイ、オーストラリアからも同様の協力を取り付けているが、戦車部隊や防空システムの演習や両国海軍艦艇の相互訪問も行われるようになった。
国際関係詳細は「シンガポールの国際関係(英語版)」を参照

宗主国イギリスや、太平洋地域での有力国である日本オーストラリア、さらには北朝鮮を含めて各国と貿易を行っている。日本などを含む環太平洋パートナーシップ協定(TPP11協定)参加国である[57]。隣国であるマレーシアインドネシアタイ王国などの東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国とも密接な関係を持っている。

また、中華人民共和国と中華民国(台湾)の双方と密接な関係を持つため、1993年に初の公式対話だった辜汪会談(中国語版)の仲介国となっており、1949年の分断後初となる2015年の中台首脳会談の際は、シンガポールが会場となった[58]2018年6月12日米朝首脳会談でもホスト国となった。

経済平和研究所が2022年に発表した、国内近隣対外平等法、国家安全保障経済対外効果、観光客対居住者比率によって決定される近隣諸国国際関係ランキングでは、シンガポールは世界第19位、アジアでは世界第14位の日本に次いで第2位となっている[14]
対マレーシア関係詳細は「マレーシアとシンガポールの関係(英語版)」を参照

隣国で元々は同じ国であったマレーシアとは、水や領土、開発問題、欧米諸国へ対する姿勢などで、軍事衝突は無いものの外交摩擦は度々起こしており、心理的・物理的に密接ながら、複雑な関係といえる。

東南アジア諸国連合の一員でありながら、欧米諸国(と日本)との貿易や金融に過度に依存した都市国家である故に、主な「顧客」である欧米諸国(キリスト教国)におもねる中立的な言動を取ることが多いため[要出典]、マレーシア以外のほかのアジア諸国(主にイスラム国家)とも、幾度にわたり外交的な衝突を繰り返している。
対日関係詳細は「日本とシンガポールの関係」を参照

日本とシンガポールは、過去数十年にわたって前向きな関係から恩恵を受けてきた。1942年の日本軍による占領直後にはシンガポール華僑粛清事件が発生した一方、昭南医科大学を開校するなど、現地の人々に高等教育を実施したため、日本語熱が高まったこともあった[59]。そして日本が連合国に敗戦した後も、リー・クアンユー首相が「日本に学べ」運動を提唱するなど、日本の警察制度と交番を模倣した治安体制が整えられるようになった[59]

また、食べ物やメディアを含む日本の文化の多くの側面は、1990年代にシンガポール全体で人気を博した。2014年の調査では、シンガポール人の約44%が日本との関係を「非常に友好的」とみなし、シンガポール人の53%が侵略された過去から「多少の留保はあるが」日本を信頼できると考えている。

別の研究では、ほとんどの日本人がシンガポールとの関係を、同様の価値を持つ信頼できる同盟国とみなしていることがわかった。

日本との外交関係はおおむね良好である。シンガポールは日本にとって初めての自由貿易協定締結相手国でもある(JSEPA)。日本-シンガポール間の貿易について、シンガポールを原産地とする貨物については、特別な関税率が適用されており、将来的には関税撤廃スケジュールに基づいて両国間の関税は撤廃される予定である。2016年は外交関係樹立50周年となり、SJ50祭などが開催された。
対中関係

2022年に実施された、アメリカ合衆国ワシントンD.C.を拠点としてアメリカや世界における人々の問題意識や意見、傾向に関する情報を調査するシンクタンクであるピューリサーチセンターの調査は、シンガポール人の67%は中国に好感を抱いていると報告した[60][61]
経済詳細は「シンガポールの経済(英語版)」を参照外国為替市場の取引額で日本を上回り、世界3位に浮上するなど[62]、屈指の世界都市金融センターになっている

シンガポール統計局の統計によると、2018年のシンガポールのGDPは3,597億ドル[63]であり、隣国マレーシアをやや上回る経済規模である。また同年の一人当たり国民総所得(GNI)は58,770ドルで、デンマークに次ぐ世界第9位[64]。2022年のシンガポールの一人当たりの購買力平価による国民総所得(GNI)は107030ドルで、世界3位[18]

世界屈指のグローバル都市であり、アメリカのシンクタンク2019年に発表した総合的な世界都市ランキングにおいて、ニューヨークロンドンパリ東京香港に次ぐ世界6位と評価された[65]国際競争力が非常に強い国であり、2016年世界経済フォーラムの研究報告書において、スイスに次ぐ世界2位の国と評価された[66]。アジアを代表する金融センターの一つであり、2022年9月には、ニューヨーク、ロンドンに次ぐ世界3位の金融センターと評価された[17]


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