兵力はシンガポール陸軍50,000名、シンガポール海軍9,000名、シンガポール空軍13,500名の計72,500名。徴兵制度により男性に2年間の兵役を義務付けており、兵役終了後は予備役に編入され、有事の際は総動員体制となる。2018年の軍事予算は147.6億シンガポールドルで、全歳出に占める割合は18パーセントである。シンガポール空軍のF-15SGは「ストライクイーグル」型(40ユニット)
陸軍はイギリス製センチュリオン戦車約100両(旧式)、およびドイツ製レオパルト2A4戦車(現在332両)を保有している。海軍は、チャレンジャー級潜水艦(スウェーデン海軍の旧シェーオルメン級)を4隻、ラファイエット級をベースとして設計されたフォーミダブル級フリゲートを6隻、ヴィクトリー級ミサイルコルベットを6隻、フェアレス級ミサイル艇6隻、哨戒艇を23隻、そして戦車揚陸艦4隻を保有する。空軍は米国製戦闘機F-5を45機、F-16C/D (Block52) を62機、F-15SGを保有し、2010年以降は第五世代のステルス戦闘機F-35が順次導入され、F-5を置き換えていく予定である。
国土が狭小なこともあり、軍事演習・訓練はオーストラリア等の国外地域でも積極的に行われている[49]。タイやインドネシア、フィリピンなどの近隣諸国のように反政府ゲリラなどによる攻撃は存在しないが、その質、数とともに国土に対して十分である。 イギリス植民地時代に同国の要塞であった歴史的経緯から、現在もイギリス軍と密接な関係にある。イギリスは1968年1月にスエズ以東からの撤退を宣言したが、リー・クアンユーの要請により、1976年までシンガポールへの駐留を継続した。イギリス軍の撤退に対応するための枠組みとして、イギリスは1971年にシンガポール、マレーシア、ニュージーランド、オーストラリアとともに5か国防衛取極を締結した[50]。当初は、防空システムに関する協力から始まったが、後に空軍だけではなく、海軍の合同軍事演習も行われるようになった。 冷戦を通じてアメリカ軍との関係も深まっており、1990年にはアメリカ軍によるシンガポール国内施設の使用に関する覚書を締結した。シンガポール軍の装備も、アメリカ製が多い。特に空軍の歴代主力戦闘機は、アメリカ製で占められてきた。F-35戦闘機の開発計画(統合打撃戦闘機計画)においても、最も低いレベルではあるが、優先的に輸出枠を確保できる“Security Cooperation Participation”として参加している。また、2013年にはアメリカ海軍の最新鋭艦艇である沿海域戦闘艦のローテーション配備が発表されている[49]。 このほか、1975年に中華民国(台湾)との間で結ばれた「星光計画」と呼ばれる協力関係が、中華民国とシンガポールの正式な国交解消後も続いている。これは、シンガポールの国土が狭いため、当時のリー・クアンユー首相と?経国中華民国総統の間で、シンガポール陸軍部隊の訓練を台湾で行うことなどを取り決めたものである。中華民国と対立を続ける中華人民共和国もシンガポール軍に海南島の訓練施設の提供を申し出たが、シンガポール側はこれに応じていない[51]。 さらに、シンガポールとフィリピンが「台湾有事」の際に、台湾の防衛に協力するという「敦邦計画」が存在するとの報道もある[52][53]。 ただしリー・クアンユーは、台湾に武力侵攻する場合は武力衝突を避けるべく中華人民共和国は2週間先に事前通告するよう要求している[54]。また、中華人民共和国とは2009年、2010年、2014年、2015年に共同軍事演習を行っている[55][56]。 近年は、アメリカ、フランス、ブルネイ、オーストラリアからも同様の協力を取り付けているが、戦車部隊や防空システムの演習や両国海軍艦艇の相互訪問も行われるようになった。
対外軍事協力
国際関係詳細は「シンガポールの国際関係(英語版
旧宗主国のイギリスや、太平洋地域での有力国である日本やオーストラリア、さらには北朝鮮を含めて各国と貿易を行っている。日本などを含む環太平洋パートナーシップ協定(TPP11協定)参加国である[57]。隣国であるマレーシアやインドネシア、タイ王国などの東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国とも密接な関係を持っている。
また、中華人民共和国と中華民国(台湾)の双方と密接な関係を持つため、1993年に初の公式対話だった辜汪会談(中国語版)の仲介国となっており、1949年の分断後初となる2015年の中台首脳会談の際は、シンガポールが会場となった[58]。2018年6月12日の米朝首脳会談でもホスト国となった。