1870年に現在の臼杵市大泊に打ちあがった記録のある「大鯨」は肩甲骨の形状から、本種とする説もある[64]。1913年には請島に打ちあがったという記録がある[65]。
2018年8月5日、神奈川県鎌倉市の由比ヶ浜にシロナガスクジラが漂着(ストランディング)した。体長10メートルほどのオスであり、シロナガスクジラの漂着が事実確認できる事例としては日本国内初であった[66]。
また、1990年代にも日本国内の市場から本種やナガスクジラ、南半球のイワシクジラやニタリクジラなどの保護対象種や保護対象個体群由来の肉が発見されたこともあり[67]、その由来には座礁個体、船舶との衝突によって死亡した個体、混獲または混獲と称した意図的な捕獲による個体[68]、密猟などの可能性があるものの、厳密な要因は不明である。
なお、日本列島においても古くからえびす信仰などにより捕鯨をタブー視する風潮も強く、捕鯨を禁止する地域が存在したり、「東洋捕鯨鮫事業所焼討事件」など捕鯨に反対する住民が暴動を起こした事例も存在する(捕鯨問題#文化としての捕鯨を参照)[69][70]。
保全状況「ボン条約」および「象徴種」も参照追跡用のタグを装着された個体船舶との衝突により死亡した個体
19世紀末までは地球上のほぼ全ての海に生息していたが、捕鯨によって絶滅寸前まで個体数が減少した。国際捕鯨委員会は、1966年にシロナガスクジラの捕獲を全面的に禁止した。
しかし、とくに日本とソビエト連邦による本属や他の絶滅危惧種[注 8]の乱獲と密猟が横行し、とくにソビエト連邦による操業は「20世紀最大の環境犯罪」とも称され[71]、数々の絶滅危惧種や他の種類が多大な影響を受け、激減したり消滅した個体群も存在する[72][73][74]。日本はソビエト連邦と実質的な協力関係を結んでおり、両国は「捕鯨オリンピック」時代からの大規模な規律違反を繰り返したり[75]互いの違法捕鯨の隠蔽に関与している[76]。日本による海賊捕鯨には複数の外国船舶も利用されており、著名な事例である「シエラ号」はシーシェパードによって航行不能にされ、さらに正体不明の人物によって破壊されている[72][73][74]。
国際自然保護連合は、シロナガスクジラを絶滅危惧種としている[77]。人為的な脅威(船の衝突、汚染、海の騒音、気候変動)と自然的な脅威(シャチの捕食)の両方に脅かされ続けている。ピグミーシロナガスクジラなど個体数の推移について十分な情報がない個体群もあるが、ミナミシロナガスクジラなど危機的な状況にある個体群もある[78][79]。
世界のシロナガスクジラの個体数は、2018年時点で5,000?15,000頭(幼い個体を除く)と推定されている。 シロナガスクジラは、1939年から南半球の地域で保護されていたが、1955年には国際捕鯨取締条約により北大西洋で保護されるようになり、この保護は1965年に南極、1966年に北太平洋に拡大された[80][81]。