シロナガスクジラは最も大きな鳴き声をあげる動物種でもある。シロナガスクジラの鳴き声の基本周波数は8?25Hzで、発声の仕方は地域、季節、行動、時間帯によって異なる。低周波の大きなうなり声を発し、音量は180ホンを超えることもある。この鳴き声により個体間のコミュニケーションを行っており、160キロメートル以上先の相手とも連絡をとる事が出来る[39]。
天敵はヒトやシャチ以外には殆どいない。シャチによる襲撃の多くは成功せず、明確な捕食の観察例は2019 - 2021年に西オーストラリア沖で記録された3例が初であり、いずれも50 - 75頭の群れが子供や未成熟の個体などを仕留めている[40]。
異種間交配「52ヘルツの鯨」も参照
大きさや側面の模様はナガスクジラと類似するため、アイスランドでは捕獲したクジラが捕鯨禁止のシロナガスクジラか否かが問題となったことがある。その際には、稀に見られるシロナガスクジラとナガスクジラの交雑種の存在も指摘された[41]。また、これらの雑種も繁殖が可能と判明している[42]。しかし、捕鯨によって個体数が激減した結果、繁殖相手を見つけることがより難しくなったことでシロナガスクジラとナガスクジラの異種間交配が増加した可能性があり、また、従来の想定よりも大幅に交配が進行していると判明しており[43]、雑種の増加による両種への圧迫と「種」としての将来(とくにより個体数が少ないシロナガスクジラ)が懸念されている[44]。類似した問題はセミクジラとホッキョククジラの間にも存在する[45]。
その他にも、ザトウクジラとの交配個体が少なくとも一例判明している[46][47]。
人間との関係1900年代の捕鯨業の様子ピコ島(アゾレス諸島)におけるホエールウォッチング
古くは遊泳速度が速く死骸が沈むことから捕鯨の対象とはされていなかった[5][6]。1860年代に近代式の捕鯨方法が開発されたことで、捕鯨の対象とされるようになった[5]。南極海では1904年から捕鯨が開始された[5][6]。2018年の時点では捕獲自体は本種に対する大きな脅威ではなく、生息数は増加傾向にあると考えられている[3]。一方で地域によっては船舶との衝突や、南極では以下のような影響が懸念されている[3]。1975年のワシントン条約の発効時から、ワシントン条約附属書Iに掲載されている[2]。
北太平洋ではオレゴン州やカリフォルニア州やカリフォルニア半島など、北大西洋ではセントローレンス湾やアゾレス諸島やスヴァールバル諸島など、北インド洋ではスリランカなど、南半球ではチリの沿岸やオーストラリア[注 5]やインドネシアや東ティモールなど、シロナガスクジラやピグミーシロナガスクジラの個体数が比較的良好に保たれていて、主だった生息域へのアクセスが比較的に容易な海域ではホエールウォッチングの対象とされることもある[6]。
また、これらの海域以外でも観光ツアーの最中に遭遇することもあり、モルディブ諸島[48]やオマーン[49]、ケニアとソマリア[50]、アイスランド[51]、カナリア諸島[52]やモーリタニア[53]、ガラパゴス諸島[54]、エクアドルとペルー[55]、コモド国立公園、モザンビークとマダガスカル[56]、ニュージーランド[注 6][57][58]など、時期によっては現行のホエールウォッチングやダイビングツアーの延長で観察できたりなど、一般人でも目撃する機会がある可能性がある海域も散見される。