繁殖様式は胎生。冬季に交尾を行う(南半球では7 - 8月)[6]。妊娠期間は10 - 11か月[6]。冬季に低緯度地方で出産を行う[5][6]。1回に1頭の幼獣を産む[5]。体長約7?11メートルの子どもを通常1頭出産する。まれに双子が生まれることもある。出産間隔は2 - 3年[6]。授乳期間は6 - 8か月[6]。生後8 - 10年で性成熟する[6]。
急角度で水面から飛び出し着水する「ブリーチング(英語版)」を行う頻度は、ヒゲクジラ類の中では比較的に低い。「ポーポイジング」の延長で頭部を海面に露出させたり、ヘッドスラップに近い動作を見せることはあっても[35]、他の大型鯨類と同様のブリーチングを行うことは稀である[36][37]。
また、採餌時や潜水時の姿勢や泳ぎ方などから、多くの個体は(人間の範疇で解釈すれば)「左利き」であると推測されている[38]。
シロナガスクジラは最も大きな鳴き声をあげる動物種でもある。シロナガスクジラの鳴き声の基本周波数は8?25Hzで、発声の仕方は地域、季節、行動、時間帯によって異なる。低周波の大きなうなり声を発し、音量は180ホンを超えることもある。この鳴き声により個体間のコミュニケーションを行っており、160キロメートル以上先の相手とも連絡をとる事が出来る[39]。
天敵はヒトやシャチ以外には殆どいない。シャチによる襲撃の多くは成功せず、明確な捕食の観察例は2019 - 2021年に西オーストラリア沖で記録された3例が初であり、いずれも50 - 75頭の群れが子供や未成熟の個体などを仕留めている[40]。
異種間交配「52ヘルツの鯨」も参照
大きさや側面の模様はナガスクジラと類似するため、アイスランドでは捕獲したクジラが捕鯨禁止のシロナガスクジラか否かが問題となったことがある。その際には、稀に見られるシロナガスクジラとナガスクジラの交雑種の存在も指摘された[41]。また、これらの雑種も繁殖が可能と判明している[42]。しかし、捕鯨によって個体数が激減した結果、繁殖相手を見つけることがより難しくなったことでシロナガスクジラとナガスクジラの異種間交配が増加した可能性があり、また、従来の想定よりも大幅に交配が進行していると判明しており[43]、雑種の増加による両種への圧迫と「種」としての将来(とくにより個体数が少ないシロナガスクジラ)が懸念されている[44]。類似した問題はセミクジラとホッキョククジラの間にも存在する[45]。
その他にも、ザトウクジラとの交配個体が少なくとも一例判明している[46][47]。
人間との関係1900年代の捕鯨業の様子ピコ島(アゾレス諸島)におけるホエールウォッチング
古くは遊泳速度が速く死骸が沈むことから捕鯨の対象とはされていなかった[5][6]。1860年代に近代式の捕鯨方法が開発されたことで、捕鯨の対象とされるようになった[5]。南極海では1904年から捕鯨が開始された[5][6]。2018年の時点では捕獲自体は本種に対する大きな脅威ではなく、生息数は増加傾向にあると考えられている[3]。一方で地域によっては船舶との衝突や、南極では以下のような影響が懸念されている[3]。1975年のワシントン条約の発効時から、ワシントン条約附属書Iに掲載されている[2]。