2020年および2021年にチリ産およびクウェート産の骨格標本に基づいた亜種が記載されている。以下の分類・英名・分布ほかは、Khalaf(2020, 2021)に従う[27][28]。一方でSMMは2023年時点でこれらを疑問名とみなしており、有効な亜種として認めていない[26]。
Balaenoptera musculus chilensis Khalaf, 2020 Chilean blue whale
チリやペルーやガラパゴス諸島などの沿岸や沖合[27]。ピグミーシロナガスクジラとの形態的な差異は少ないが、分布や遺伝上の差異や歌の違いが見られる[27]。キタシロナガスやミナミシロナガスと分布を共有する場合があり、交配も発生し得るとされる[29]。
Balaenoptera musculus arabica Khalaf, 2021 Arabian Sea blue whale
アラビア海、インド洋西部。
形態全身像
体長20 - 26メートル[6]。最大確認体長は29.9メートルまたは30.5メートル[30]、最大全長33.6メートル[6]、体重80 - 199トン(全長27.6メートル)に達し、現生の脊椎動物における最大種である[6]。体は細長い形状をしており、背側は様々な色の灰青色で、腹側はやや明るい色をしている。成体ではオスよりメスの方が若干大きい。
体型は紡錘型[5]。下顎から臍にかけて55 - 88本の溝(畝)が入る[5][6]。体色は青灰色で[6]、淡色の斑紋が点在する[5]。和名は水中では他種と比較して白く見えることに由来する[5]。胸鰭の腹面は白い[5][6]。
上顎は扁平で、アルファベットの「U」字状[5]。髭は髭板も剛毛も黒い[5][6]。背鰭は小型で、三角形[5]。
上あごと下あごが軟骨のみで繋がっているため、直径10メートル近く口をあけることができる[注 2][31]。流線型の体型をしており、尖った頭部をもつ。細く長い胸びれ、横に広がった薄い尾ひれをもつ。また、背中の後方には小さな背びれをもつ。この背びれの形や、付近の模様から個体識別を行うことができる。体表は淡灰色と白のまだら模様で、のどから胸にかけては白い模様になっている。
のどの表面には60本程度の畝(うね)がある。主食であるオキアミを捕食するときは、この畝が広がって大きなのど袋をつくる。頭頂部には2つの噴気孔がある。歯に代わる部分として食事に使われるいわゆる「鯨ひげ」と呼ばれる髭板の長さは1枚70センチメートル以上にも及ぶ。ただし、髭板の長さではセミクジラ科のホッキョククジラの方がはるかに長く、最大3m近くに達するのに比べれば小さく、鰭の大きさでも同じ仲間のザトウクジラには及ばない。
しかし、シロナガスクジラ最大の特徴は、やはり何と言ってもその体長である。世界最大の動物であるが、その大きさは、人間を仮に平均170センチメートルだとすると、シロナガスクジラは、およそ12倍から最大で20倍に相当する[注 3]。
しかし、捕鯨の影響により多数の大型鯨類が小型化した可能性が指摘されており、本種も平均体長が4 - 7メートルも減少した可能性がある[32]。
英名の由来である、海面下にあると青く見える体色。
頭部とブロー