なお、2020年に台湾の長浜郷に漂着した個体は、キタシロナガスクジラではなく、北インド洋に生息するB. m. indicaであったと判明している[20]。
近年では、本種やピグミーシロナガスクジラのホットスポットまたは重要な生息域が従来の想定よりも多くの地域に点在する事が判明しており[21]、それらの中には中東、東アフリカ、中部アフリカ、南部アフリカ、西アフリカ[22]、チャゴス諸島、南タラナキ湾など、長年にわたって生息情報が途絶えていたり[23]、これまであまり注目されてこなかった海域も少なくない[24][25]。 海洋哺乳類学会(Society for Marine Mammalogy
分類
以下の亜種の分類は、Mead & Brownell(2005)に従う[4]。和名・形態は、粕谷(2001)に従う[6]。英名は、Committee on Taxonomy(2023)に従う[26]。 2020年および2021年にチリ産およびクウェート産の骨格標本に基づいた亜種が記載されている。以下の分類・英名・分布ほかは、Khalaf(2020, 2021)に従う[27][28]。一方でSMMは2023年時点でこれらを疑問名とみなしており、有効な亜種として認めていない[26]。 体長20 - 26メートル[6]。最大確認体長は29.9メートルまたは30.5メートル[30]、最大全長33.6メートル[6]、体重80 - 199トン(全長27.6メートル)に達し、現生の脊椎動物における最大種である[6]。体は細長い形状をしており、背側は様々な色の灰青色で、腹側はやや明るい色をしている。成体ではオスよりメスの方が若干大きい。 体型は紡錘型[5]。下顎から臍にかけて55 - 88本の溝(畝)が入る[5][6]。体色は青灰色で[6]、淡色の斑紋が点在する[5]。和名は水中では他種と比較して白く見えることに由来する[5]。胸鰭の腹面は白い[5][6]。
Balaenoptera musculus musculus (Linnaeus, 1758) キタシロナガス Northern blue whale
北半球[6]。南限は北緯20度周辺で、北緯80度周辺のスピッツベルゲン島周辺まで回遊を行う[6]。全長24 - 25メートル。
Balaenoptera musculus brevicauda Ichihara, 1966 ピグミーシロナガス Pygmy blue whale
南半球の低緯度地方[6]。赤道周辺から南緯55度周辺まで回遊を行う[6]。全長20-24メートル。尾がやや短い。
Balaenoptera musculus indica Blyth, 1859 Northern Indian Ocean blue whale
インド洋北部やアラビア海など[3]。ピグミーシロナガスとクジラの明確な差異は不明とされる[3]。
Balaenoptera musculus intermedia Burmeister, 1871 ミナミシロナガス Antarctic blue whale
南半球の高緯度地方[6]。南緯70度以南まで回遊を行う[6]。最大亜種。
ミナミシロナガス(南極海)
B. m. indica(スリランカ)
キタシロナガス(カリフォルニア州)
ピグミーシロナガス(メルボルン近郊)
非有効亜種
Balaenoptera musculus chilensis Khalaf, 2020 Chilean blue whale
チリやペルーやガラパゴス諸島などの沿岸や沖合[27]。ピグミーシロナガスクジラとの形態的な差異は少ないが、分布や遺伝上の差異や歌の違いが見られる[27]。キタシロナガスやミナミシロナガスと分布を共有する場合があり、交配も発生し得るとされる[29]。
Balaenoptera musculus arabica Khalaf, 2021 Arabian Sea blue whale
アラビア海、インド洋西部。
形態全身像