シルマリルの物語
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ヴァラールの長マンウェは、「すべての父」オーディンと似た特徴を持っている[21]。トールキンはガンダルフを「オーディン的放浪者」とみなしていると発言している[22]

聖書キリスト教文学の伝統の影響も『シルマリルの物語』の中に見られる。メルコールとイルーヴァタールの対立はルキフェルと神のそれのパラレルになっている[23]。さらに、エルフの形成と没落は創世記の人類の形成と没落を想起させる[24]。トールキンの他の作品と同様、『シルマリルの物語』はのちのキリスト教の歴史につながる余地を残しており、彼の遺稿の一つでは、『シルマリルの物語』の登場人物の一人であるフィンロドは最終的にエル(神)の化身となり人類を救う存在として描かれている[25]

宇宙の創造を神と天使による歌声(しかしのちに堕天使によって不調和が生じる)としている点に、中世キリスト教の宇宙観の影響が顕著に見られる。アウグスティヌスの音楽に関する著作は、中世に発展した神聖な調和の理論(現代の我々には「天球の音楽」として馴染み深い)とともに、この創世物語の基礎となっている。

ケルト神話の影響は、たとえばノルドール・エルフの追放に見られる。これはアイルランドトゥアハ・デ・ダナーンの伝説から要素を借用している[26]ウェールズの影響はエルフ語の一つ、シンダール語に見られる。この言語は「ブリテン島のウェールズ語に(同じではないが)非常に近い特徴を有しているが、これは(シンダール語の)話者について語られる、伝説や物語に見られるケルト性がそれによく合っているからである[27]。」
日本語訳

本書の日本語訳は、評論社により田中明子の訳で、上下分冊で1981年から1982年にかけて出版された。その後、底本を原書第2版(1999年)に変更し、固有名詞の音訳や訳文の見直しなどの修正を施した新版が2003年に出版された。この新版は改訂前の分冊ではなく、一冊にまとめられている。

トールキンJ.R.R. 著、田中明子 訳『シルマリルの物語』(新)評論社、2003年(原著1982年)。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4566023772。 

派生作品

ドイツの
ヘヴィメタルバンドブラインド・ガーディアンのアルバム『ナイトフォール・イン・ミドル・アース』(1999年)は、クウェンタ・シルマリルリオンの話の中盤ぐらいまでをそのまま楽曲化したコンセプトアルバムである。

イギリスのプログレッシブ・ロックバンド、マリリオンの当初のバンド名はシルマリリオンであった。

脚注^ (Carpenter 1981, #115)
^ (Carpenter 1981, #131, 180)
^ (Carpenter 1981, #165, 180, 282)


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