シュレスヴィヒ・ホルシュタイン_(戦艦)
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ただしイギリスが1906年12月に戦艦ドレッドノート (HMS Dreadnought) を完成させ弩級戦艦時代が始まったので[18]、建造中に第二線級の戦力(前弩級戦艦)になってしまった[19]。本艦はキールのゲルマニア造船所で建造され、1905年8月に起工、1906年12月17日に進水、1908年7月6日に就役した[20]

第一次世界大戦において、シュレスヴィヒ・ホルシュタインはユトランド沖海戦に参加している(ユトランド沖海戦、戦闘序列)[21]。世界大戦末期には人員不足から宿泊艦となった[19]。その後、ドイツ帝国が革命によって倒れてヴァイマル共和政が樹立し、ヴェルサイユ条約が結ばれる。ヴァイマル共和国軍が保有を許された旧式戦艦は常備6隻と予備2隻であり[注釈 5]、20年後に建造可能となる代艦も主砲口径11インチ以下、排水量1万トン以内という制限を課せられた[23][注釈 6][注釈 7]。本艦は1926年まで改修作業を行い、三本あった煙突は二本に統合された[7]。また副砲の換装や高角砲の増設などもおこなっている[7]。1926年から1935年まで本艦はヴァイマル共和国海軍 (Reichsmarine) の旗艦であり、名実ともに主力艦であった[注釈 8]。2隻は旧式であったが巨大で印象的だったので、碇泊すると見物のために大勢の民間人が集まってきたという[24]近代化改装後のシュレスヴィヒ=ホルシュタイン

同時代、ヴァイマル共和国はヴェルサイユ条約の規定下でドイッチュラント級装甲艦の建造を開始する[25][注釈 9][注釈 10]。技術革新により装備が陳腐化したことにより、本艦は1936年に練習艦へ変更された[9]。なおナチスによる権力掌握後、1935年3月の再軍備宣言により[28]ヴァイマル共和国軍 (Reichswehr) はドイツ国防軍 (Wehrmacht) に改変され、共和国海軍 (Reichsmarine) もドイツ海軍 (Kriegsmarine) となった。
第二次世界大戦ポーランド軍守備隊に艦砲射撃をおこなうシュレスヴィヒ=ホルシュタイン

シュレスヴィヒ=ホルシュタイン(グスタフ・クラインカンプ艦長)はポーランド侵攻作戦の発動に伴い、バルト海に派遣されてドイツ陸軍を支援する任務を与えられた[20]。1939年8月25日、第一次世界大戦で沈んだ巡洋艦マクデブルク (SMS Magdeburg) 追悼式典に参加するという名目で自由都市ダンツィヒに到着し、ポーランド領ヴェステルプラッテに近い水路に停泊した[29]。1939年9月1日午前4時45分、艦はポーランド陸軍の要塞守備隊に向けて砲撃を開始する。このヴェステルプラッテ攻防戦(ドイツ語版、英語版)で本艦が発砲した28センチ砲弾こそ、第二次世界大戦の幕開けであった[30]。艦砲射撃と同時に、本艦より海軍突撃歩兵中隊(ウィルヘルム・ヘニクセン中尉)が要塞攻略のために出撃したが、ポーランド軍守備隊の反撃で苦戦している。

9月7日のヴェステルプラッテ要塞陥落後、本艦と応援にきた姉妹艦シュレジェンはオクシヴィエ(ドイツ語版、ポーランド語版)やレドウォボ(ドイツ語版、ポーランド語版)、グディニャ攻防戦、ヘル半島ヘル要塞地帯(ヘルの戦い(英語版、ドイツ語版))など、ダンツィヒ一帯のポーランド軍陣地砲撃にあたった[31]。ポーランド戦役後、両艦とも「老いた役馬年金つきで牧場へ引退するように」港湾用務と練習艦という本来の職務にもどった[31]

1940年4月9日、シュレスヴィヒ・ホルシュタインはヴェーザー演習作戦の一員としてデンマーク侵攻作戦に参加した[13](ヴェーザー演習作戦、ドイツ軍戦闘序列)。その後再び練習艦に戻ったが、人員不足の為、1940年8月末から警備班など少数の維持要員を残した予備艦となり、対空砲を撤去された状態でしばらくの間ゴーテンハーフェン[注釈 4]に繋留されていた。バルト海では、補助的な砕氷艦としても使用された。


1944年9月に本艦は対空砲を増設され、ゴーテンハーフェンで浮き砲台として利用された。1944年12月18日、同地がイギリス空軍の空襲を受けた際に三発の爆弾が命中し、水深12mの港内に着底した。その時点で上部は水面上にあった為に兵装は使用可能であったが、12月20日に大火災に見舞われ、艦の機能は失われた。

シュレスヴィヒ・ホルシュタインは1945年1月25日に退役となる。艦を降りた乗組員達は地上戦に転用され、マリーエンブルク周辺の防衛戦に投入された[13]


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