アイルランド憲法では、ドイル・エアランの解散から90日以内にシャナズ・エアランの改選を実施しなければならないとされている。シャナズ・エアランの選挙は単記移譲式投票による比例代表制で行われる(ただし職業別委員会での選出では、各委員会の有効投票数が1,000になるよう調整される)。候補者となる資格は21歳以上で、アイルランド国内に在住しているアイルランド市民権を有することであるが、ドイル・エアランの議員と兼職することはできない。ところが大学出身者枠から指名を受けるには10人の出身者の署名が求められるだけであるのに対して、職業別委員会で指名を受けることは制約的なものになっている。 会派別議席数(第26次シャナズ、2020年 - )会派議席数 シャナズ・エアランの権限はイギリスの貴族院とほぼ似たようなものとなっている。シャナズ・エアランの権限は、直接選挙が行われているドイル・エアランと比べても平等ではなく、諮問的な機能、法案の修正といった程度にとどまっている。規定のうえではたしかにすべての法令には両院の承認を要することとなっているが、シャナズ・エアランはドイル・エアランの決定を覆すという権限は有しておらず、せいぜい成立を遅らせるに過ぎないものとなっている。また実際には、シャナズ・エアランは首相による指名があることから政権与党側が多数を占めることになる。憲法ではシャナズ・エアランに対して以下のような事例で権限に制約を課している。 11人のシャナズ・エアラン議員が首相によって指名されるということは、ドイル・エアランの支持を受けなければならない政府がシャナズ・エアランにおいても多数の支持を受けるということを確保するものである。ところが憲法ではドイル・エアランの過度な行動に対して、シャナズ・エアランの権限を守る措置も講じられている。 シャナズ・エアランは独自の議員規程を定め、また議長(カヒールレアハ、Cathaoirleach)や院内総務を選出している。シャナズ・エアランは独自の常任委員会を設置し、またドイル・エアランとともにウラクタスとして合同で委員会を開く。なお政府には2人を上限として閣僚を出すことができる。シャナズ・エアランには3つの常任委員会があり、そのうちの1つの委員会には2つの小委員会が設置されている。 1919年、アイルランドの民族主義者により超法規的な立法機関としてドイル・エアランが設置されるが、この機関は一院制であったため上院を持たなかった。1920年、イギリス法により南アイルランド議会が設置され、このとき元老院 (Senate) と呼ばれる上院が設けられた。ところが1921年に元老院が招集されるものの、アイルランドの民族主義者はこれをボイコットしたため十分に機能することはなかった。この元老院は1922年のアイルランド自由国樹立によって廃止されるが、その議員の多くはアイルランド自由国のもとで新たに設けられた元老院でふたたび議員となった。 Seanad Eireann という名称は、アイルランド自由国のウラクタスの上院の名称として初めて使われた。第1シャナズは行政評議会議長
会派別議席数
フィアナ・フォイル21
フィナ・ゲール16
シン・フェイン党4
労働党4
緑の党4
人間の尊厳連合
無所属10
合計60
権限
ドイル・エアランで可決された法案が90日以内にシャナズ・エアランの同意を得られなかった場合、ドイル・エアランはシャナズ・エアランがその法案を承認したとみなすということを、その90日が経過したあとからさらにその後の180日以内に議決することができる。
予算など、財政に関する法案については21日が経過したのちにシャナズ・エアランが承認したとみなすことができる。
緊急性のある法案の採択においては、シャナズ・エアランによって承認されたとみなされる期間について、大統領の同意を受けて政府がこれを短縮することができる(ただし、憲法改正案については適用されない)。
シャナズ・エアランは大統領に対して、ある法案が財政に関連するものかどうかを判断するために優先権委員会の設置を要請することができる。
シャナズ・エアランの過半数とドイル・エアランの3分の1以上の議員が大統領に対して、ある法案が国家に対してきわめて重要性があると申し立てた場合、大統領は国民の判断が示されるまで法案への署名を拒否することができる。つまり、国民投票または総選挙後に再招集されたドイル・エアランで賛成されるまで大統領は署名を拒むことができることになる。
活動
沿革
前身) であった。イギリスの貴族院のように、アイルランドの貴族院は世襲貴族で構成された。1800年合同法によってアイルランド議会が廃止されると、アイルランドは20世紀まで議会組織を持たない状態となる。
アイルランド自由国のシャナズ・エアラン(1922年-1936年)