シダ
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ハナヤスリ類では担栄養体(栄養葉、trophophore)と担胞子体(胞子葉、sporophyte)の基部が合わさって担葉体(共通柄、common stalk)となる[1][28]。サンショウモ属では根を持たず、水上に浮かぶ浮葉(floating leaf)と根のように変形した沈水葉(水中葉、submerged leaf)の2種類の葉を持つ[28]
生息環境岩に生えるサイゴクホングウシダ Lindsaea japonica。

シダ類が最も多様に分化しているのは熱帯であり、雲霧林中の着生植物が多く、地上生種も多様である[27]木生シダ類では森林伐採後の二次植生として群生し、広大なヘゴ林を形成することも多い[29]。一方、ヒトツバのように乾燥に強いものやサンショウモのような水生シダ類も存在し、様々な環境に生育している[27]

渓流は水流の圧力や濁流中の砂粒子、微生物による腐蝕といった陸上植物が様々なダメージを受け、水位の変化が激しい過酷な環境であるが、渓流帯にのみ適応した渓流沿い植物が存在する[32]。シダ類にも渓流沿い植物が存在し、日本ではゼンマイ科ヤシャゼンマイ、ホングウシダ科のサイゴクホングウシダオシダ科のヤエヤマトラノオ、ウラボシ科のヒメタカノハウラボシ、ミツデヘラシダなどが挙げられる[32]。これらは根茎が発達し、岩にしっかり固着できること、茎が強靭で折れにくいこと、葉は細長く流線型全縁、平滑で無毛などの形質を持つ[32]。このようなシダ植物では世界で約100種知られている[32]
下位分類「PPG I」も参照

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PPG I

現在では、小葉植物を含むシダ植物の分類体系として、PPG I分類体系が用いられている。右図における、ハナヤスリ科以下が本項における、これまで普通「シダ類」として扱われてきたである。

この項では本項に示す側系統群が「シダ綱」として扱われていた過去の分類体系を以下に示す。
コープランドの分類体系

エドウィン・ビンガム・コープランドは「有効な」分類階級というものは「自然分類であること」と「有用であること」の両方を反映したものであると提案した最初の分類学者の一人である[33]

コープランド (1947)ではシダ綱 Filicinaeにその多くが単一種のみからなる305属を認めた[33]。コープランドはシダ綱をハナヤスリ目、リュウビンタイ目、シダ目の3目に分け、うちシダ目に19科を置いた[34]。デンジソウ科とサンショウモ科を含む水生シダ類 Hydropteridesは、その特異的な形質からそれぞれデンジソウ目 Marsilealesとサンショウモ目 Salvinialesに置くことがあるとしながらも、その他のシダ目の系統の下にあるため独立した目に入れるのを嫌い、シダ目に入れるとした[34]

シダ綱 Filicinae

ハナヤスリ目 Ophioglossales

ハナヤスリ科 Ophioglossaceae


リュウビンタイ目 Marattiales

リュウビンタイ科 Marattiaceae


シダ目 Filicales

ゼンマイ科 Osmundaceae

フサシダ科 Schizaeaceae

ウラジロ科 Gleicheniaceae

ロクソマ科 Loxomaceae

コケシノブ科 Hymenophyllaceae

ワラビ科 Pteridaceae

ミズワラビ科 Parkeriaceae

ヒメノフィロプシス科 Hymenophyllopsidaceae

シノブ科 Davalliaceae

キジノオシダ科 Plagiogyriaceae

ヘゴ科 Cyatheaceae

オシダ科 Aspidiaceae

シシガシラ科 Blechnaceae

チャセンシダ科 Aspleniaceae

マトニア科 Matoniaceae

ウラボシ科 Polypodiaceae

シシラン科 Vittariaceae

デンジソウ科 Marsileaceae

サンショウモ科 Salviniaceae



人とのかかわり

シダ類以外のシダ植物の利用に関しては各項を参照。
短歌木に着生するノキシノブ Lepisorus thunbergianus。

万葉集の中に読まれたシダ類は次の2首のみである[35]

ノキシノブ Lepisorus thunbergianusはしだくさ(子太草)と呼ばれた[35][20]。.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}わが屋戸の 軒のしだ草 生ひたれど 戀忘草 見れど生ひなく—柿本人麿歌集、万葉集 11 (2475)

もう一首は志貴皇子によりワラビ(和良妣)Pteridium aquilinumが読まれた[36]。石走る 垂水の上の さ蕨の 萌え出づる春に なりにけるかも—志貴皇子、万葉集 8 (1418)

また、シノブ Davallia mariesiiは次のような俳句がある[37]。大岩に生えて一本忍かな—村上鬼城
観賞用

着生植物であるシノブミズゴケなどを芯にして詰め、盆栽風にして「忍ぶ玉」と呼ばれ古くから観賞される[37]


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