シダ
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日本ではこれは「綿馬根」と呼ばれ[17]駆虫剤としても用いられた[38]。カザリシダ Aglaomorpha coronansの根茎は「骨砕補」となる[27]。また中国ではタカワラビ科のタカワラビ Cibotium barometzは「金狗毛蕨」と呼ばれ、茎を肝臓腎臓の薬として用いるほか[29]チャセンシダ科のホコガタシダ Asplenium ensiformeは下痢止め利尿作用をもつとして薬用にされ、栽培もされる[39]。ホングウシダ科のホラシノブ Sphenomeris chinensisは民間薬として用いられ、雲南省南部では「起死回生」の効果があるとされる[43]。ホウライシダ科のシダは漢方としてイワガネゼンマイ Coniogramme intermediaやイワガネソウ Coniogramme japonicaでは腫物の毒消しに、タチシノブ Onychium japonicumでは解熱・利尿に、ホウライシダ Adiantum capillis-venerisでは全草が解熱・解毒に用いられる[41]フサシダ科カニクサの葉は利尿剤とされる[16]

ヒリュウシダ属も食用または薬用に供され、ニュージーランドマオリはBlechnum capenseの芽を蒸し焼きにして、オーストラリアクイーンズランド州ではアボリジニがBlechnum indicumの太った根茎を食べる[44]。Blechnum fluviatileはニュージーランドで口内炎の薬として、ヒリュウシダ Blechnum orientaleは東南アジアで虫下し膀胱炎の薬として、またBlechnum hastatumの根茎はチリのアラウコ人に嘔吐剤または妊娠中絶薬として用いられた[44]

真嚢シダ類であるミヤコジマハナワラビ Helminthostachys zeylanicaはマレーシアや中国で根茎を鎮痛解毒剤として用いられる[45]

毒性を有するものも多く、ワラビは葉にビタミン破壊酵素(チアミン分解酵素)を含み、草木灰重曹のようなアルカリで煮て灰汁抜きをし、毒成分を除去して食される[46][47]。この毒性により家畜シカは食べないため放牧食性が形成され、日本などでは火入れにより良質のワラビが収穫されてきた[47]サイレージなど飼料に混入することで家畜が膀胱がんなどになるワラビ中毒が発生する[47][22]

日本では山菜としてワラビ Pteridium aquilinumやゼンマイ Osmunda japonica、ヤマドリゼンマイ Osmundastrum cinnamomeum var. fokeienseなどが食用にされる[48][46]。ワラビは葉柄の柔らかい部分が灰汁抜きの後、煮物や和え物などに用いられ、塩や味噌に漬けて保存される[46]。ワラビの根からとれる澱粉はワラビ粉としてわらび餅団子に利用される[46][22]。ゼンマイやヤマドリゼンマイは巻いた若芽の葉柄部を食用にする[46]。ゼンマイは灰汁抜きの後、煮つけ、天麩羅、汁の実に用いられる[46]。ヤマドリゼンマイも灰汁や重曹で灰汁抜きの後、煮物や和え物、汁の実として用いられる[46]。どちらも乾燥したり塩漬けにしたり、卯の花漬けにして保存される[46]。ヤマドリゼンマイは瓶詰にして市販される[46]。日本の東北地方ではクサソテツコゴミと呼ばれお浸し揚げ物にして食される[15]。この仲間は北アメリカ東北部でも若芽の時期を珍重して食べられる[15]

アジアでは広くクワレシダ Diphasium esculentumが食用にされる[21]。中国南部や東南アジアでは、ホウライシダ科のミズワラビが食用にされる[41]ブータンではランダイワラビ Pteridium revolutumやイワデンダ科の Diplazium maximaやクワレシダ、オオイシカグマ Microlepia speluncae、ナチシダ Pteris wallichianaなどを食用とする[47]。これらはいずれも毒性があって家畜シカは食べないため、その排泄物を栄養として肥沃な放牧場にはこれらがよく繁茂し、放牧植生ができている[47]ヘゴも髄に多量の澱粉を含む茎や若い葉は食用とされ、オーストラリアではほろ苦い甘みがあり、まずいカブのような味だと表現される[29]。薬用・食用となるシダ類

ミヤコジマハナワラビ Helminthostachys zeylanica

山菜として食べられるゼンマイ Osmunda japonicaの若芽

シダ類の若芽 (Fiddlehead)を使った鶏肉料理

台北の飲食店で供されるクワレシダ Diphasium esculentum

水辺に生えるミズワラビ Ceratopteris thalictroides

食用に調理されたヒカゲヘゴ Cyathea lepifera

加工

ウラジロは単にシダと呼ばれる普通種で、常緑であるため、および「齢垂れる(しだれる)」とかけて長寿の象徴として正月の飾り物(注連飾り)などに用いられる[14][15][16]

カニクサは編み籠の材料とされた[16]。葉軸がしなやかであるためウラジロ科も編んで壁材や籠などの工芸品に利用される[16]

木生シダ類ヘゴ Cyathea spinulosaやオニヘゴ Cyathea podophylla、ヒカゲヘゴ Cyathea lepiferaやマルハチ Cyathea mertensianaは幹を家の柱や垣根に用いられ、細いものは生花の器に用いられるが、近年では専ら園芸材料として利用される[29]


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