『ザ・ビートルズ: Get Back』(英: The Beatles: Get Back)は、イギリスのロックバンド、ビートルズが1969年1月に行った、いわゆる「ゲット・バック・セッション」の模様を記録した60時間に及ぶフィルムと150時間もの音声テープから、ピーター・ジャクソンによって新たに制作された全3部構成、合計約8時間の長編ドキュメンタリー映画である。
2021年11月25日から3日連続でDisney+で配信公開された[3][4]。2022年7月12日、3枚組のブルーレイ版、DVD版が発売された[5](日本は7月13日発売)。 2016年、映画『ザ・ビートルズ?EIGHT DAYS A WEEK - The Touring Years』の製作を終えたアップル・コアは、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を取り入れたビートルズの新たな展示イベントの可能性を検討していた。そのためCEOのジェフ・ジョーンズ 16mmフィルムに残された50年以上経過した映像は当然のごとく退色していた。しかしジャクソンは自身が2018年に監督した第一次世界大戦のドキュメンタリー映画『彼らは生きていた』制作時に、約100年前の映像を修復するために開発したソフトウェアなどを活用し、まるで昨日撮影したかのような鮮やかな映像に復元した[9][10]。 一方、モノラル録音された音声は会話と楽器の音が重なり合い、聞き取りづらい部分が多かった。そこで、AIを用いた機械学習プログラム「MAL (Machine Audio Learning)」[注釈 2]を新たに開発した。これはギターの音、ドラムの音、メンバーそれぞれの声などをAIに学習させ、特定の人の声や特定の楽器の音だけを取り出すシステムである[8]。これにより会話と楽器の音を分離することに成功した[6][注釈 3]。 いわゆる「ルーフトップ・コンサート」から50年にあたる2019年1月30日に「ゲット・バック・セッション」の未公開映像と音声を素材とした新作映画の製作が発表された[12][13]。この時点ではタイトルも公開日も未定であった。合わせて映画『レット・イット・ビー』のレストア版も公開予定であることが明かされた[14][注釈 4]。 2020年3月11日には配給権をウォルト・ディズニー・スタジオが獲得したこと、タイトルが『ザ・ビートルズ: Get Back』であること、9月4日にアメリカとカナダで先行上映されることが発表された[17][18]。
制作に至る経緯
修復作業
公開までの紆余曲折