ザ・コンサルタント
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金融犯罪取締ネットワーク部局(FinCEN; Financial Crimes Enforcement Network)[注 3]の長官、レイモンド・キングはオフィスに分析官のメリーベス・メディナを呼び、“会計士”と呼ばれ[注 4]ている男の調査を頼んだ。この“会計士”は世界中の様々な犯罪組織の会計業務を請け負っている男である。カール・ガウス、ルー(=ルイス)・キャロルなどの偽名を使ったことは分かっていたが、“会計士”は非常に用心深く、その正体を暴くための有用な手がかりはほとんど残していなかった。メディナは“会計士”が関わったとされる事件の監視記録を警察から手に入れた。その監視記録は犯罪組織ガンビーノ一家のアジトとなっているイタリアンレストランを“会計士”が一人で襲撃し、7人のギャングを皆殺しにした時のものであった。メディナは“会計士”がソロモン・グランディを口ずさんでいることに気付き、その声の特徴から“会計士”が子供のころ発達障害のあった者だということを突き止める[注 5]

リビング・ロボティクス社の会計記録は膨大な量であったが、クリスチャンはわずかな時間で使途不明金の存在を突き止める。ところがその夜、リビング・ロボティクス社のCFO、エド・チルトンはブラクストンという男に自殺を強いられて亡くなった。ブラクストンは暴力的なやり方で企業間のトラブルを解決することを生業としていた。エド・チルトンの突然の死によってクリスチャンの使途不明金の調査は有無を言わさず打ち切られてしまう。その後、クリスチャンは農場で射的をしている最中にブラクストンの配下の二人の男に襲撃される。彼はこれを返り討ちにするが、同時に調査に関わっていたデイナも命を狙われていることを知る。そこで、クリスチャンはクリスチャン・ウルフの名を捨ててジョージ・ブールに名を変えることにした。そして、デイナのアパートに向かい暴漢に襲われているデイナを助け出し、二人は貸し倉庫のトレーラーハウスに身をひそめる。そこに保管されている美術品、大量の現金、銃器などを見てデイナは驚く。そして、天井に飾られている絵を見て本物のポロックかと聞くが、クリスチャンはそれには答えなかった。

逃亡先のホテルでクリスチャンとデイナは、リビング・ロボティクス社の社長以下の重役たちが不正に会社の利益を隠していると見当をつけ、社長の姉であるリタが重要な役割を演じていると考えた。クリスチャンはリタの自宅に向かったが、リタはすでにブラクストンに殺された後だった。ホテルに帰ったクリスチャンはデイナの寝顔を見ながら「お前が他人と違っているということを、遅かれ早かれ人は恐れるのだ」と父親が言った言葉を思い出していた。

メディナは“会計士”は有名な数学者の名前を偽名に使っており、現在はクリスチャン・ウルフを名乗っていることを突き止めた。クリスチャンは目立たないようにいくつかの企業に利益を分散し、またハーバー神経学研究所に多額の寄付もしていた。メディナとキングはクリスチャンの自宅に乗り込むが家はもぬけの殻であった。しかし、彼女は至る所に監視カメラや武器があるのを発見し、このクリスチャン・ウルフが“会計士”であると確信する。この報告を聞いたキングは何か覚悟を決め、自身のキャリアについて、そしてクリスチャンについてをメディナに話して聞かせた。

キングはガンビーノ一家が襲撃された時に現場に居合わせ、“会計士”と遭遇していたのであった。キングは銃を向けられながらも“会計士”と言葉を交えた後に彼から見逃がされる。その後、キングは“会計士”の助手を名乗る女性から次々と裏社会の重大事件についての情報を伝えられ、キングはこれらの事件を解決に導いた功績で局長に就いたのであった。そして、かつてウルフという兵士が、とある女性の葬儀で騒ぎを起こして逮捕されたこと、ウルフはその能力を見込まれワシントンDCの拘置所に移送されたこと、彼と同房だったフランシスが裏社会のあらゆる資金洗浄を取り仕切っていたこと、フランシスは出所直後にガンビーノ一家に殺害されたこと、ウルフが脱走したのはそれを聞いた直後だったこと、そして、レストランの襲撃事件はその後に起きたことをキングは話す。メディナは“会計士”の助手から電話を受け取る役目を引き継ぐことを促されるが悩み、断わろうとする。しかし、その時“会計士”の助手からリビング・ロボティクス社の不正についての電話がかかり、メディナは決断を下すこととなる。

ブラクストンはリビング・ロボティクス社の社長の自宅で数人の部下とクリスチャンを待ち構えていた。夜になり、クリスチャンは社長宅に侵入し、ブラクストンの部下を次々と倒していく。しかし、クリスチャンも負傷し、自分を落ち着かせるためにソロモン・グランディの歌詞を唱え始める。それを監視モニターを通して聞いたブラクストンは驚いた表情でクリスチャンのところに駆け寄り、彼と撃ちあっていた部下を自ら射殺し戦闘をやめさせる。ブラクストンを見たクリスチャンも唖然とする。ブラクストンはクリスチャンの弟であった。意外な成り行きに驚くブラックバーンであったが、クリスチャンはデイナまで殺させようとしたブラックバーンを躊躇することなく撃ち殺す。そしてブラクストンとは再会を約束して別れた。

後日、メディナは一介の分析官から調査官へと格上げになり、リビング・ロボティクス社による犯罪の調査の指揮を執ることになった。かつてクリスチャンとブラクストンが訪れたハーバー神経学研究所では、大人になったジャスティンが高性能コンピュータを操っていた。コンピュータの発するマシンボイスはまさにクリスチャンをサポートする女性のものだった。デイナはクリスチャンの貸倉庫に行ってみたが中は空だった。その後、デイナのもとに『ポーカーをする犬』が送られてきた。彼女はキャンバスの不自然さに気付き絵画を剥がしてみると、その下にはポロックの絵画が隠されていた。クリスチャンはトレーラーハウスを引きながら車でどこかへと去っていくのであった。
キャスト

※括弧内は日本語吹替[6]

クリスチャン・ウルフ - ベン・アフレック小原雅人

デイナ・カミングス - アナ・ケンドリック小笠原亜里沙

メリーベス・メディナ - シンシア・アダイ=ロビンソン木下紗華

レイモンド・キング - J・K・シモンズ壤晴彦

ブラクストン - ジョン・バーンサル阪口周平

フランシス・シルヴァーバーグ - ジェフリー・タンバー堀越富三郎

ラマー・ブラックバーン - ジョン・リスゴー安原義人


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