ザトウクジラ
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クジラヒゲは黒であるが、時折白い個体も存在する[17][18][19]

尾びれ後縁には鋸歯状の切れ込みが入る[4][6]。尾びれの模様と頭部や腹部や胸びれなどの白変部分には個体差があり、尾びれ下面の斑紋は個体識別に利用されている[20][5][6]

尾びれ以外にも、全身が黒い個体や、腹面は白い個体もいるなど他の部分の体色にも個体変異が大きい[5]南半球産の個体は北半球産の個体よりも白変部分の大きさや模様などのバリエーションに富んでいる[20]

また、アルビノや白変個体が北太平洋北大西洋南半球には時折見られ[21]、最も著名な個体としてオーストラリアニュージーランドに回遊してきたミガルー(英語版)が知られるが[20]、ミガルーは混獲によって死亡した可能性が指摘されている[22]
生態全身が完全に水上に飛び出す珍しいパターンのブリーチング(ステルワーゲンバンク国立海洋保護区)カリフォルニアアシカとの交流(モントレー湾

ザトウクジラは地域毎に集団を形成している。集団でまとまって移動し、集団間では交流がほとんどない。北半球にも南半球にも存在する。夏は極の近くで主に捕食をし、冬は赤道までは行かないが温かい海域まで移動し出産・繁殖・子育てをし、また春になるに連れ極の方に移動するという回遊生活を送っている。温かい海域で捕食をしないのは単純に餌が少ないからだと考えられており、局所的に餌生物の大量発生が見られる場合には低緯度海域でも捕食することが知られる[23]。一方で、後述のアラビア海北インド洋の個体群は、年間を通して温暖な海域に留まる[24]

25 km/hで泳ぐ。身長が小さい時期は5分、身長が大きくなれば45分息を止めて泳ぐ事ができる。

ナガスクジラ科でも際立って活発な海面行動を行う事で知られており、種類や頻度も多い[注 4]。例えば、水面に向かって跳躍するジャンプ(ブリーチング)を行う。この行動の意味については、「寄生虫を振り落とすため」や「コミュニケーション」や「遊び」等の諸説があるが、実情は不明である[6]

繁殖の時期は、オスによるメスの獲得権争い・テリトリー争いの為行動が激しくなり、メイティングと呼ばれている。上述のブリーチングもオスが自分をアピールする為多く見られる。オス同士を煽ってメスが行う事もある。子供も生きていく上で必要な技術なので母親が見せ子供も練習する。その他、ペックスラップ[注 5]、テールスラップ[注 6]、ヘッドスラップ[注 7]、ペダングルスラップ[注 8]、スパイホップ[注 9]など様々な行動をする。

2022年にザトウクジラ同士の性行為が初めて撮影され、それはオス同士によるものであったことが報告された(動物の同性愛も参照)[25]
食性「バブルネット・フィーディング」も参照バブルネット・フィーディング(Lynn Canal[注 10]ランジ・フィーディング(アビラ・ビーチ)

南半球では主にオキアミ類を食べる[4]。北半球ではオキアミ類に加えてニシンカラフトシシャモなどの群泳性の魚類の割合が増える[23]。獲物を捕食する際に気泡を用いることもあり(バブルネット・フィーディング)、尾びれを水面を叩きつけたり(インサイド・ループ)噴気孔から息を排出して気泡を発生させる[6]。噴気孔から息を排出する方法では直径1 - 2メートル程度の小規模な気泡(気泡柱)で獲物の群れを取り囲んだり(気泡網)、確認事例が少ないものの一気に息を排出することで大規模な気泡(気泡雲)を発生させて獲物を下から水面に押し上げたり密集させてから捕食することがある[6]。複数の個体が協力してバブルフィーディングを行うこともある[6]。なお、オキアミが対象であるときは刺激を与えると密集する習性を利用し、尾びれでオキアミの水面上に水をかけ、集まったところを捕食する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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