サー
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しかし、アメリカ海兵隊アメリカ沿岸警備隊の新入隊員は、基礎訓練において男性士官や下士官、特に指導する担当教官(海兵隊では drill instructor、沿岸警備隊では company commander、これ以外の各軍ではdrill sergeant よって軍曹曹長が務める)を、「サー」と呼ぶ。アメリカ軍に入隊したばかりの新兵は、士官を常に「サー」と呼ぶ。訓練中は「サー」が一貫して用いられるが、最初の指導教化を経た後はそれぞれの階級に応じた呼称(サージ、ルテナン、キャプテン、メジャー、カーネル、ゼネラル)を用いる。

アメリカ英語において、非公式な慣用表現となっている用法のひとつとして、下位の者が上位の者に応答する際、強調のために応答の前後にサーを付け、「Sir, yes(no), sir!」のようにする、という慣行があり、特に基礎訓練のドリルにおいてこれが行なわれている[6]アメリカ沿岸警備隊の新入隊員もこれを実践している。なお「Yes, sir!」と「アイアイサー(Aye aye sir)!」は似ているようだがその用途は全く異なる。「Yes」は呼ばれた際に“はい、何でしょう?”と応える表現で、「Aye aye」は下された指示を実行する「了解!」である。

アメリカ陸軍でも、イギリス軍でも、下士官を「サー」と呼ぶのは不適切とされている。ただし、イギリス陸軍においては、パレード行進の際には下士官も、准士官と同じように「サー」と呼ばれる。

王立カナダ騎馬警察においては、幹部警察官のみが「サー」と呼ばれ、下級警察官や巡査は階級によって呼びかけられる。イギリスの警察において、警部補(inspector)以上の階級にある幹部警察官は「サー」と呼ばれる。一般的にそれらしい呼称だと信じられている「ボス (Boss)」や、(governor を変形した)「Gaffer」、「Guv」といった呼び方は、テレビや映画が創り出したものである。
学校など教育機関に関係する用法

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出典検索?: "サー" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2011年12月)

イギリスのタブロイド紙(大衆紙)が見出しなどに用いる俗語では、「サー」は教師(schoolteacher)の意味で、「Sir's sex shame(教師のセックス醜聞)」のように用いられる。教師を意味する「サー」は、アメリカ合衆国南部の各地でも用いられている。

アメリカ合衆国の中等教育や大学などでアメリカン・フットボール競技をしている若者たちの間では、コーチ(監督)を「サー」と呼ぶことが多い。特に、チーム全体としてコーチに応答する場合には「Boys, ok?」「Yes, sir!」のように「サー」が用いられる。
その他の用法、関連語

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17世紀まで、「サー」は聖職者の称号としても用いられていた。関連する語で、フランス語の monseigneur に由来する「モンシニョール (monsignor)」は、カトリック教会の高位聖職者の間で現在も用いられている。アイスランド語では、英語の sir と同根の seraがもっぱら聖職者だけに用いる呼称としてあり、名とともに用いられる。ジョン・ジョンソン(Jon Jonsson)という聖職者がいるとすると、この人物は「セラ・ジョン (sera Jon)」と呼びかけられ、言及される場合には「プレストゥリン・セラ・ジョン・ジョンソン (presturinn sera Jon Jonsson)」となる。

イギリスでは、様々な権威ある立場にある人物が「サー」と呼ばれ、例えば、地区判事(District Judges)などもそのように呼ばれる。

「シラー (Sirrah)」は、16世紀に用いられた表現で、「サー」とは逆に、目上から目下に呼びかける呼称であった。

非公式な言葉遣いとされるが、「サリー(sire, siree)」は発話における強調のために変形されたもので、おもに「イエス/ノー」に続けて発声される。

語源的には同根の「サイア (Sire)」は、今日では君主など王族にのみ用いる表現であり、「サー」と混同してはならない[7]

インドの英語では、サーや、それがインド化したサージ(Sirjee:sirに、インドの尊称であるjeeが付加されたもの)がよく用いられ、英語のみならず現地諸語にも入り込んでいる。また、名の後にサーを置く用法、例えば、「Gandhi Sir」なども、インド独自の拡張表現である。

誤用、逸脱

アメリカ合衆国大統領だったジョージ・W・ブッシュは、記者が「Mr. President(大統領閣下)」と呼びかけるべきところで「サー」と呼んだことに、いたく立腹したことがあったとされ、ジョークにもなっている[8]。その大統領自身は、バチカンで教皇ベネディクト16世に会見した際に「Your Holiness(台下)」と呼びかけるべきところで「サー」と呼びかけ、周囲の人々をひやひやさせた[9]

漫画『ピーナッツ』の登場人物のひとりであるマーシー(Marcie)は、同級生の女子生徒ペパーミント・パティ (Peppermint Patty) に、常に「サー」と呼びかける(ペパーミント・パティ本人はこれを嫌がっている)。谷川俊太郎らによる日本語訳では、当初は「先生」であったが、後に「先輩」と訳し直されている[10][11]

フィリピン共和国では、だれかれ構わず男性に対してSirを付けて呼びかける。女性には既婚であろうが未婚であろうがMa'amを付ける。

出典・脚注^ “ ⇒REPUBLIC ACT NO. 646”. 2018年7月18日閲覧。
^ “Implementing Rules and Regulations of Executive Order 236”. 2018年7月18日閲覧。
^Admiral of the Fleet Sir Bruce Fraser, admirals.org.uk


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