サン・マイクロシステムズ
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同年9月、オラクルはSPARCSolarisについて「より一層の投資を確約」する広告を出した[9]。当買収によるデータベース市場などへの独占禁止法上の調査が行われたが、米司法省は8月、欧州委員会2010年1月21日に、当買収を承認し[10]同月27日に買収が完了した[11]。買収後、オラクルの完全子会社としてわずかの間存在したが、同年2月にオラクルの子会社であるオラクルUSA (Oracle USA, Inc.) と合併しオラクル・アメリカ (Oracle America, Inc.) となった。

そもそもサンは数あるITベンダーの中でも、多額の投資によって開発した先進的な技術を独占的に使用しようとするのではなく「業界全体の進歩のため」という理由で惜しげもなく公開してしまうという極めてオープンなスタンスを取っていた。また、オープンソース系のコミュニティに対する支援にも極めて積極的であり、そのような姿勢が多くの技術者から支持を受けていたことが同社の経営上の資産でもあった。しかしながらそれらの技術者たちは、比較的クローズドな戦略が目立つ合併先のオラクルに対して決していい印象を持っている者ばかりとは言えない。実際に、OSであるSolaris本体、パッチの有償化などの大きな方針転換が行われたことや、競合となったヒューレット・パッカード社のハイエンドサーバー向けのCPU、Itaniumに対する全てのソフトウェアの開発中止が発表される[12]など、IT企業として決して非常識ではないものの、従来のサンではまず考えられないような戦略が次々と展開されていることから、従来からのファンの「サン離れ」が懸念される状況となっている。

また一方で、サンの強力なハードウェア上にそのアーキテクチャに高度にチューニングされたOracleデータベースをすでにインストールした状態で出荷されるデータベース専用ハードウェア、Exadata(英語版)シリーズが発表され、極めて好調な売り上げを記録しているなど、合併による相乗効果も着実に上がっており、市場関係者からはこの合併を高く評価する声も多い。
フリーソフトウェアとの関係

SunOSは、BSD版UNIXを基にしたもので、このBSD版UNIXのライセンスはGPLの基になったフリーソフトウェアライセンスであった。

当初のBSD UNIXはAT&Tのライセンスを必要としたが、独自のコードと実装を進め、その後のAT&Tとのライセンス交渉において、AT&TのUNIXライセンスに縛られないものとなった。その際にカリフォルニア大学バークレー校で拡張互換UNIX開発チームが書いたコードは、多くのUNIXの実装に影響を与えている。

この開発チームにて実装やソースのレビューとレベルチェックやリポジトリを管理していたのが、Cshの開発やUNIXの実装に大きな影響を与え、スーパーエンジニアとしても有名なビル・ジョイであった。

つまり、フリーソフトウェアを中心としたLinuxやGNUの思想は、サンの遺伝子を色濃く残したもので、サンとフリーソフトウェアの親和性の高さは、こういった歴史的な経緯から来ている。

また、NFSはサンにより作られたネットワーク・ファイルシステムの規格であるが、サンからNFSのライセンスを受けるとSunOSのソースコードが送られて来ていた。現在のLinuxなどで使われているNFSは独自のフリーな実装が使われている。

NISもサンにより開発され、アカウントなどの集中管理用として他社UNIXやLinuxにも採用されている。

Solarisのデスクトップ環境として 以前から利用していたCDEからGNUプロジェクトフリーソフトウェアであるGNOMEに変更するなど、既存のオープンソースソフトウェアと連携した動きも多い。GNOMEの開発の中心にいる企業Ximianに出資していた。また、以前はLinuxに対して非協力的であったが、最近は自社製品にLinuxを搭載している。

OpenOffice.orgを、フリーソフトウェアかつコピーレフトGNU LGPLで公開している。OpenOffice.orgは豊富な機能を持ったオフィススイートで、多くのプラットフォーム (OS) をサポートしオープンソース運動を加速している。サンはOpenOffice.orgの成果をもとに、ソース非公開の StarOffice(日本ではNECが既に商標をとっていたためStarSuite)を開発し販売している。なお、StarOfficeは教育機関などに向けての無料ライセンスもある。

OpenOffice.orgのベースとなったStarOfficeは当初、ドイツのソフトウェア会社StarDivisionで開発されていたソフトウェアで、サンは同社を買収した後すぐにオープンソースプロジェクトとして公開し注目を集めた。当初はSun業界基準使用許諾(SISSL)と呼ばれるサン独自のオープンソースライセンスとGNU LGPLとのデュアルライセンスであったが、2005年9月2日にSISSLを廃止し、GNU LGPLに一本化した。

Sun ONE - One : Open Network Environment ⇒[1]

オラクルによる買収後、サンのMySQL創業者がスピンオフしてMariaDBを立ち上げたほか[13]、OpenOffice.orgも開発者の一部が離脱してLibreOfficeを立ち上げるなど、プロジェクトの分裂が相次いでいる。その他Javaなど今後への懸念も報道されている[14]。これに対してはオラクルも、2011年6月にOpenOffice.orgをApacheソフトウェア財団に寄贈するなど(現在のApache OpenOffice)、一部プロジェクトについてオープンソースコミュニティへの移管を行うことで、懸念解消に務めている。
シンクライアントベンダとして

サンはシンクライアントに早くから取り組んでおり、1996年ごろにJavaStation(2004年?2006年に販売されていたJava Workstationと全く異なる)を発売した。そして1999年[15]からSun Rayシリーズを販売していたが、2013年に開発終了し[16]、2017年にサポートを終了した[17]

Sun Rayシリーズでは、特筆すべきこととして、ICカードを抜き差しするだけで自分のデスクトップ環境が即座に表示される「ホットデスク」をサポートしていたことである。サンは2004年ごろから(日本法人も含めた)自社社内のほとんどの業務用端末がSun Rayになっているとのことであり、たとえば日本法人に勤務する人が国内のほかのオフィスや米国本社へ出張へ赴くときに席を予約しておき、出張先の席にあるSun Ray端末にICカードを差し込むだけでどこでも自分のデスクトップが表示されるのである。ある社員は(シリコンバレーから日本へのリモート接続であるにもかかわらず)あまりに快適に動作するので「本当に(自分のデスクトップ環境がおいてある)日本のサーバにつながっているのか?」と最初は混乱した旨を吐露している ⇒[2]


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