サンディカリスム
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

サンディカリスムは経済的なコーポラティズムの一形態でもあり、経済を調整し管理するため、複数の、非競争的な、国民経済を分類して形成された各産業部門の、それぞれの利益を集積することを主張する[1]。サンディカリスム体制下での産業は組合同士の協力および相互扶助により運営される。各地方の労働組合は、他の組合と労働取引所(Bourse du Travail、ブールス・デュ・トラヴァイユ)を通じて交流する。労働取引所は商品の管理や移転をつかさどっている。
歴史

サンディカリスムとは、フランス語で労働組合を意味する「Syndicat」(サンディカ)に由来する。19世紀末から20世紀前半、主にフランスイタリアで支持を集め、イギリスアメリカ合衆国でも影響力を持った。イタリアのサンディカリストの中には、後にイタリア・ファシズムの協同体主義であるコーポラティズムに賛同したものや影響を与えた者もいる。

ラルフ・ダーリントンやマーセル・バン・デル・リンデン、ウェーン・タルプなどの多くの学者たちは、サンディカリズムという用語が労働運動の中の多くの団体や潮流を含むにもかかわらず、サンディカリズムとして見なされていない事を認めている。これらの団体や潮流は北アメリカやオーストラリア、アイルランドのラーキニスト(英語: James Larkin)、革命的実業家、革命的労働組合員、無政府組合主義者などには産業別労働組合主義者や単一大労組主義者(英語版)として認知されている。

サンディカリスムが産業あるいは経済セクター単位の組織化に重点を置くのは、20世紀初頭にサンディカリスムが独立した思想的潮流となり始めて以来の特徴である。これに対して当時の社会主義者の多くは、まだ国家主導の社会主義システムの実現可能性に明らかな信頼があったこともあり、政党を通じた政治活動を行い社会主義を実現することに重点を置いており、労働組合については産業公有化への踏み台という認識であった。

サンディカリストたちは産業別組合に重点を置くところでは一致しているが、すべてのサンディカリストが政治活動も拒否しているわけではない。例えば、ダニエル・デ・レオンの思想を支持するデ・レオン主義者やその他の産業別組合主義者の中には、経済人による政治家へのロビー活動に比べて労働組合の政治的優位性は劣ることを認め、政治組織と産業組織を並行して組織し政治闘争を重視することを主張した。
政府とサンディカリスムの関係

サンディカリスムの中では、より急進的で革命的なアナルコサンディカリスムが有名であり、穏健な立場のサンディカリスムはその陰に隠れてしまっている。アナルコサンディカリスムは、アナキズム(無政府主義)とサンディカリスムが結合したもので、資本主義のみならず国家をも廃絶し、その代わりを労働組合が務めると主張した。アナルコ・サンディカリスムはスペインで勢力が強く、特にスペイン内戦の時期に全盛期を迎えたが、アメリカに本拠を置く世界産業労働組合(IWW)など、スペイン以外でも有力な支持者がいた。

サンディカリスムは協同組合経済論のなかでは社会主義および共産主義と並び重要なイデオロギーである。サンディカリスムにおいて、倫理面では、組織された労働組合に参加する者は、その生産物に対し等しく所有権を有し、それゆえ地位や任務にかかわらず等しい稼ぎと等しい便益を得る。これに対し、社会主義においては、各企業が要求する通りに生産物を企業間に配分することが強調され、各企業が内部でどのように組織されているかは必ずしも考慮されない。共産主義とは異なり、サンディカリスムは私的所有とも両立する。共産主義の場合は政府に認められた私的所有および私的な収入を否定し、すべての資産を法的に公有のものとし、人々自身が直接これらを管理することになるとしている。

またサンディカリスムにおいて、経済を運営している労働組合は政治を行う政府とは独立して存在しており、政府による計画経済などを必要とはしない。資本主義における企業同様、サンディカリスムにおける労働組合は互いに複雑な協力関係を共有し、政府と対立することもありうる。
関連人物

ジョルジュ・ソレル(フランス)

ピエール・ビエトリー

アゴスティーノ・ランツィッロ(イタリア)

ミケーレ・ビアンキ(イタリア)

ロベルト・ミヒェルス(イタリアで活動、ドイツ出身)

ダニエル・デ・レオン(アメリカ)

大杉栄

脚注[脚注の使い方]^ Wiarda, Howard J. Corporatism and comparative politics. M.E. Sharpe, 1996. pp. 65?66, 156.

関連文献(英語版記事)

Anarcho-Syndicalism, Rudolf Rocker, London, 1989.

Liberalism and The Challenge of Fascism, Social Forces in England and France (1815-1870), J. Salwyn Schapiro, McGraw-Hill Book Co., NY, 1949.

Revolutionary Unionism: Yesterday, Today, Tomorrow, Dan Jakopovich, New Politics, Vol. XI.,No.3, 2007.

The Anarchists, James Joll, Harvard University Press, Cambridge, 1980.

The Syndicalist Tradition and Italian Fascism, David D. Robert, University of North Carolina Press, Chapel Hill NC, 1979.

Lenny Flank (ed), "IWW: A Documentary History", Red and Black Publishers, St Petersburg, Florida, 2007.
ISBN 978-0-9791813-5-1

関連項目

アナキズム

アナルコサンディカリスム

国家サンディカリスム

合意形成

評議会共産主義(Council communism)

民主社会主義

ソビエト

世界産業労働組合

外部リンク

AnarchoSyndicalism.net

Rudolf Rocker, a major proponent of anarcho-syndicalism

Libertarian Communist Library Archive

General Strikes, maps with locations where strikes have occurred; includes resource links

『サンジカリズム』 - コトバンク










政治思想
自由主義

古典的自由主義

経済的自由主義

個人主義

アナキズム個人主義的無政府主義

社会自由主義

新自由主義

リバタリアニズム

保守自由主義

自由保守主義

自由民権運動

フェミニズム

共生主義

民主主義

直接民主主義

間接民主主義

自由民主主義

立憲民主主義

非自由主義的民主主義

社会民主主義

キリスト教民主主義

ブルジョア民主主義

プロレタリア民主主義

人民民主主義

参加民主主義

三民主義

権威主義

独裁主義

専制主義

絶対主義

スターリン主義

ファシズム

ナチズム

イスラムファシズム

全体主義


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:42 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef