サロス周期
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たとえば、21世紀中に観測される皆既日食のうち皆既継続時間が長いものは次のとおり。

 サロス
系列中心位置到達日時
UTC)最大皆既
継続時間中心位置
緯度経度
1136-372009年7月22日 2:36:256分39秒北緯24.2°東経144.1°
2136-382027年8月2日 10:07:506分23秒北緯25.5°東経33.2°
3136-392045年8月12日 17:42:396分6秒北緯25.9°西経78.5°
4139-342096年5月22日 1:37:146分6秒北緯27.3°東経153.4°
5136-402063年8月24日 1:22:115分49秒北緯25.6°東経168.4°
6139-332078年5月11日 17:56:555分40秒北緯28.1°西経93.7°
7136-412081年9月3日 9:07:315分33秒北緯24.6°東経53.6°
8146-272010年7月11日 19:34:385分20秒南緯19.7°西経121.9°
9136-422099年9月14日 16:57:535分18秒北緯23.4°西経62.8°
10139-322060年4月30日 10:10:005分15秒北緯28.0°東経20.9°

表のうち、1、2,3はいずれも136番のサロス系列で、中心の位置は各々北緯24.2度 東経144.1度、北緯25.5度 東経33.2度、北緯25.9度 西経78.5度と1サロス毎にほぼ120度ずつ西にずれてゆく。
エクセリグモス

サロス周期は古代の天文学者によって発見され、計算法が簡単だったために広く使われていた。唯一の問題は、1サロス後の食が約8時間遅れて起こることであった。よって、ある日食が見られた地域のほとんどの場所ではその1サロス後の日食は見ることが難しい[11](月食の場合には、月が地平線上に上ってさえいれば1サロス後の月食も見ることができる)。そこでより長い3サロス分の周期(およそ54年31日)をトリプルサロスあるいはギリシャ語で「exeligmos(エクセリグモス)」と呼び、この周期がよく用いられた。1エクセリグモス後にはほぼ同じ場所で食が見られることになる。
イネックス周期「en:inex」も参照

サロス周期よりも長期間の日食の予報に使えるものがイネックス周期である[12]。これは、358朔望月(約10571.9548日)が30.5食年(約10571.91日)とほとんど一致することから、10571.9548日(約28年345.17日)ごとに日食が起こることを示す。

例えば、2009年7月22日の皆既日食を考えると、次回は2038年7月2日になる。ただし、その時は、皆既日食ではなく、金環日食になる。
特徴

イネックス周期には、以下のような特徴がある。

1イネックス周期と30.5食年との差が0.045日しかないので、2万3千年という長期間にわたり周期性を維持する

食年の間隔につく0.5の端数ゆえに、位置が昇交点と降交点で交互に入れ替わる。

近点月の周期と一致していないため、地球と月との距離が毎回変わる。

脚注[脚注の使い方]^ a b c d e f “暦Wiki_日食_周期”. 国立天文台暦計算室 (2023年9月18日). 2023年9月18日閲覧。
^ 科学の発展と普及による近代的な世界観以前は、日食や月食という現象は天災などと同類のある種の「天変地異」だったと言え、それを予測することに需要があったのである。
^ STEELE,J.M. Eclipses: Calculating and Predicting Eclipses : in Selin H. ed., Encyclopaedia of the History of Science, Technology, and Medicine in Non-Western Cultures, Springer (2008)
^ “暦Wiki_月の公転運動_昇交点方向”. 国立天文台暦計算室 (2023年9月18日). 2023年9月18日閲覧。
^ “暦Wiki_周期_月”. 国立天文台暦計算室 (2023年10月1日). 2023年10月1日閲覧。
^ * 1朔望月=29.530589太陽日 - 新月から次の新月までの周期

1交点月=27.212221太陽日 - 月が昇交点(降交点)を通過する周期、すなわち月が地球の軌道面を南から北(北から南)へ通過する周期

1近点月=27.554550太陽日 - 月が近地点を通過する周期、すなわち月が楕円軌道で最も地球に近づく周期

1食年=346.6201太陽日 - 太陽が交点(天球上で、太陽の通り道である「黄道」と、月の通り道である「白道」が交わる点)を出発して黄道を1周し、元の交点にもどる周期

^ 「半影」と呼ばれる、太陽が部分的に隠れて見える影の部分。
^ 月と太陽の中心が重なって見える、皆既食と金環食を言う。
^ 1サロスの期間内に日食が39回または40回起こるということ。一般的には1サロスの間に概ね39?43回の日食が生じその内訳は皆既食11?14回、金環食11?15回、金環皆既食0?3回、部分食11?17回である。
^ 月食は1サロスの間に概ね40?42回生じそのうち皆既月食が13?17回、部分月食が9?15回、半影食が13?17回である。
^ 2012年5月21日に日本南部で朝に見られた金環日食は、1サロスを経た2030年6月1日夕方に北海道にかかり、日本全国で部分食となるが、これは珍しい部類に入る。
^ “ ⇒イネックス周期|日食周期の用語|日食の用語集”. 2019年10月23日閲覧。

参考文献

George van den Bergh, Periodicity and Variation of Solar (and Lunar) Eclipses, 2 vols. H.D. Tjeenk Willink & Zoon N.V., Haarlem, 1955

斉田博 『おはなし天文学 地球の雲状衛星』 地人書館 1975年

『金環日食2012』 株式会社アストロアーツ

関連項目

日食

月食

典拠管理データベース: 国立図書館

イスラエル

アメリカ


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