サル目
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霊長目[3][4][5]
亜目


曲鼻亜目 Strepsirrhini

直鼻亜目 Haplorrhini

霊長目(れいちょうもく、Primates)は、哺乳綱に分類される。別名サル目[6]、霊長類[7]

生物学的には、ヒトも霊長目の一員であり、サル類の一種にほかならないが、一般的には、霊長目からヒトを除いた総称、あるいは英語の「モンキー」にあたる種を「サル」とする[8]
分布

(以下の記述はヒトを除いたサル目の種に関するものである)

熱帯系の動物であり、その分布は熱帯域に集中する。東アジアには温帯域まで分布する種があり、特にニホンザルは最も高緯度に分布するサルとして有名である。曲鼻亜目及びメガネザル類アジアアフリカの熱帯域、広鼻猿類は中南米の熱帯、類人猿を含む狭鼻猿類はアジアアフリカの熱帯域から温帯域の一部にかけて分布している。ヨーロッパにはほとんど棲息せず、ジブラルタル海峡ごしにバーバリーマカク1種が棲息するのみである。また、北アメリカ大陸北部(アングロアメリカ相当地域)にも分布しない。
形態

有蹄類を除く哺乳類や鳥類は左右が湾曲した筒状になる鋭い爪(鉤爪, claw)があるが、本目の構成種の指趾には扁平な爪(平爪, nail)がみられる[9]。平爪は指趾の先端から大きくは伸びないため、指先の器用さを確保することができる[9]。曲鼻類は後肢の第2趾に鉤爪があり、毛づくろいなどに用いる[10]。例外はアイアイで後肢の第1趾のみ平爪があり、他の指趾には鉤爪がある[10]。直鼻類ではマーモセット類も後肢の第1趾のみ平爪があり、他の指趾には鉤爪がある[11]

体重100g以下のコビトガラゴ Galagoides demidovii から、200kgを超すゴリラまで、多様な種が属している。

霊長目は、哺乳類としては比較的基本的な体制を維持している。などには大きな特殊化は起こっていない。その中で、サル類を特徴づけるのは、以下のような点である。

ほとんどの種では手と足に5本のをもち、手と足の親指が他の4本と多少とも対向しているため、物をつかむことができる。このことから、サル類はかつては(足が二足歩行に適した形に進化した人類に対して)「四手類(Quadrumana)」と呼ばれた。霊長目が命名される以前では、サルにあたる分類群をAnaptomorph(「人類形」の意)としてヒトと区別した[8]

の正面に位置しており、遠近感をとらえる能力に優れている。

狭鼻類は3色型色覚を有し、緑色のの間から、さまざまな色をした果実などを見つけるのに有利になっている。その他の霊長類は特にオスで2色型色覚にとどまっている種が大半である。色覚の詳細については後述する。

また、

頭部の前方に眼が並び、その面がやや平らになって顔面を形成する。往々にしてこの部分には毛がなく、皮膚が露出する。

大脳がよく発達する。そして個体間で表情や声によって互いに情報交換をするものが多い。

生態

霊長類の共通祖先は夜行性であったと考えられているが[12]昼行性あるいは周日行性(英語版)であったとする説もある[13]。曲鼻類はキツネザル類に昼行性や周日行性が多いことを除けば夜行性がほとんどだが、直鼻類はメガネザル類と広鼻猿に属するヨザル類を除いてほぼ全てが昼行性である[12][13]。生活環境は樹上から地上まで幅広い[14]

食性も昆虫食、果実食、食など、多岐にわたる。ただし、全体としてみれば、樹上性のものが多い。地上性のものはそこから派生したと考えられる。

運動様式は分類群によって異なり、樹上での四足歩行に加えて跳躍懸垂、地上でのナックルウォークや二足歩行と特殊化したものがある[14]
分類

「霊長」という言葉において、霊は魂や幽霊という漢字そのものの意味より、優れたもの、不思議な力を持っているという意味が強い。つまり、これはヒトや、ヒトを含むサルの仲間を、動物の進化の最終形態とする認識から付けられた名前である。英語名の Primate も、大主教や最高位を意味する単語であり、やはり同様の観点から付けられた名前である。

以前は主に脳が小型で嗅覚が発達し鼻面の長いキツネザル類・ロリス類・メガネザル類を原猿亜目 Prosimii、それ以外の主に脳が大型で視覚が発達し鼻面の短い分類群を真猿亜目 Anthropoidea としてまとめていた[3]。研究の進展により、メガネザルがいわゆる原猿類の他のグループよりも真猿類により近いことが判明した。このことから、現在ではキツネザル類・ロリス類をまとめて「曲鼻猿類(曲鼻猿亜目、曲鼻類、曲鼻亜目)」、メガネザル類を含むその他の霊長類を「直鼻猿類(直鼻猿亜目、直鼻類、直鼻亜目)」と呼び、正式な分類体系では、「原猿類」という名称は用いなくなっている[15]

以下の分類・和名は、日本モンキーセンター霊長類和名編纂ワーキンググループ (2018) に従う[4]。ただしほとんどの和名は共通するが、下目の和名については川田ら (2018) に従った[5]

直鼻亜目 Haplorrhini

メガネザル型下目 Tarsiiformes

メガネザル科 Tarsiidae


真猿型下目 Simiiformes

狭鼻小目 Catarrhini

オナガザル上科 Cercopithecoidea

オナガザル科 Cercopithecidae


ヒト上科 Hominoidea

ヒト科 Hominidae

テナガザル科 Hylobatidae



広鼻小目 Platyrrhini

オマキザル上科 Ceboidea

クモザル科 Atelidae

オマキザル科 Cebidae(ヨザル科を分割する説もあり[2]


サキ上科 Pithecioidea

サキ科 Pitheciidae





曲鼻亜目 Strepsirrhini

キツネザル型下目 Lemuriformes

キツネザル上科 Lemuroidea

コビトキツネザル科 Cheirogaleidae

インドリ科 Indriidae

キツネザル科 Lemuridae

イタチキツネザル科 Lepilemuridae


アイアイ上科 Daubentonioidea

アイアイ科 Daubentoniidae



ロリス型下目 Lorisiformes

ガラゴ科 Galagidae

ロリス科 Lorisidae



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