食性も昆虫食、果実食、草食など、多岐にわたる。ただし、全体としてみれば、樹上性のものが多い。地上性のものはそこから派生したと考えられる。
運動様式は分類群によって異なり、樹上での四足歩行に加えて跳躍や懸垂、地上でのナックルウォークや二足歩行と特殊化したものがある[14]。 「霊長」という言葉において、霊は魂や幽霊という漢字そのものの意味より、優れたもの、不思議な力を持っているという意味が強い。つまり、これはヒトや、ヒトを含むサルの仲間を、動物の進化の最終形態とする認識から付けられた名前である。英語名の Primate も、大主教や最高位を意味する単語であり、やはり同様の観点から付けられた名前である。 以前は主に脳が小型で嗅覚が発達し鼻面の長いキツネザル類・ロリス類・メガネザル類を原猿亜目 Prosimii、それ以外の主に脳が大型で視覚が発達し鼻面の短い分類群を真猿亜目 Anthropoidea としてまとめていた[3]。研究の進展により、メガネザルがいわゆる原猿類の他のグループよりも真猿類により近いことが判明した。このことから、現在ではキツネザル類・ロリス類をまとめて「曲鼻猿類(曲鼻猿亜目、曲鼻類、曲鼻亜目)」、メガネザル類を含むその他の霊長類を「直鼻猿類(直鼻猿亜目、直鼻類、直鼻亜目)」と呼び、正式な分類体系では、「原猿類」という名称は用いなくなっている[15]。 以下の分類・和名は、日本モンキーセンター霊長類和名編纂ワーキンググループ (2018) に従う[4]。ただしほとんどの和名は共通するが、下目の和名については川田ら (2018) に従った[5]。 真主齧上目
分類
直鼻亜目 Haplorrhini
メガネザル型下目 Tarsiiformes
メガネザル科 Tarsiidae
真猿型下目 Simiiformes
狭鼻小目 Catarrhini
オナガザル上科 Cercopithecoidea
オナガザル科 Cercopithecidae
ヒト上科 Hominoidea
ヒト科 Hominidae
テナガザル科 Hylobatidae
広鼻小目 Platyrrhini
オマキザル上科 Ceboidea
クモザル科 Atelidae
オマキザル科 Cebidae(ヨザル科を分割する説もあり[2])
サキ上科 Pithecioidea
サキ科 Pitheciidae
曲鼻亜目 Strepsirrhini
キツネザル型下目 Lemuriformes
キツネザル上科 Lemuroidea
コビトキツネザル科 Cheirogaleidae
インドリ科 Indriidae
キツネザル科 Lemuridae
イタチキツネザル科 Lepilemuridae
アイアイ上科 Daubentonioidea
アイアイ科 Daubentoniidae
ロリス型下目 Lorisiformes
ガラゴ科 Galagidae
ロリス科 Lorisidae
進化.mw-parser-output table.clade{border-spacing:0;margin:0;font-size:100%;line-height:100%;border-collapse:separate;width:auto}.mw-parser-output table.clade table.clade{width:100%}.mw-parser-output table.clade td.clade-label{width:0.7em;padding:0 0.15em;vertical-align:bottom;text-align:center;border-left:1px solid;border-bottom:1px solid;white-space:nowrap}.mw-parser-output table.clade td.clade-fixed-width{overflow:hidden;text-overflow:ellipsis}.mw-parser-output table.clade td.clade-fixed-width:hover{overflow:visible}.mw-parser-output table.clade td.clade-label.first{border-left:none;border-right:none}.mw-parser-output table.clade td.clade-label.reverse{border-left:none;border-right:1px solid}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel{padding:0 0.15em;vertical-align:top;text-align:center;border-left:1px solid;white-space:nowrap}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel:hover{overflow:visible}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel.last{border-left:none;border-right:none}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel.reverse{border-left:none;border-right:1px solid}.mw-parser-output table.clade td.clade-bar{vertical-align:middle;text-align:left;padding:0 0.5em;position:relative}.mw-parser-output table.clade td.clade-bar.reverse{text-align:right;position:relative}.mw-parser-output table.clade td.clade-leaf{border:0;padding:0;text-align:left}.mw-parser-output table.clade td.clade-leafR{border:0;padding:0;text-align:right}.mw-parser-output table.clade td.clade-leaf.reverse{text-align:right}.mw-parser-output table.clade:hover span.linkA{background-color:yellow}.mw-parser-output table.clade:hover span.linkB{background-color:green}
Euarchontoglires
真主獣大目 Euarchonta
霊長目 Primates
†プレシアダピス目 Plesiadapiformes
ヒヨケザル目 Dermoptera
ネズミ目 Rodentia
ウサギ目 Lagomorpha
霊長類の最古の化石は、白亜紀末期の北アメリカ西部から発見されており、プレシアダピス類(偽霊長類)と呼ばれる。このように、霊長類の進化は約6,500万年前、白亜紀末期頃に始まったと考えられている[16]。
新生代に入り暁新世になるとアダピス類とオモミス類が繁栄した。いずれもまだ原始的な種類で、アダピス類は後の曲鼻猿類に、オモミス類が直鼻猿類に進化したと考えられる。直鼻亜目と曲鼻亜目の分岐と同時期の6,300万年前に、直鼻亜目はL-グロノラクトンオキシダーゼ(ビタミンC合成酵素)の酵素活性を失っている[17]。アダピス類とオモミス類はヨーロッパと北アメリカに分布したが、何らかの環境要因によって北アメリカの霊長類は絶滅し、以降、ユーラシアとそれに近接していたアフリカという旧世界の大陸を舞台に霊長類の進化は進んだ。曲鼻亜目の一部は海によって他の大陸から隔絶されていたマダガスカル島にアフリカから進出し(恐らくは流木等に掴まっての漂着)、キツネザル類に進化していった。
その後、直鼻亜目が中新世にはアジア・アフリカに住む狭鼻猿類と南アメリカの広鼻猿類とに分かれる。上述のように北アメリカの猿類は絶滅したので、南米の広鼻猿類の祖先はアフリカから渡って来たとの説が有力である(当時、アフリカ大陸と南米大陸は既に分裂していたが、両大陸間の大西洋は現在と比較すれば狭く、距離は近かった。そのため小型の猿類ならば流木等を使って漂着できた可能性がある)。広鼻猿類の祖先やテンジクネズミ上科の祖先がアフリカでできた浮島に乗って大西洋を流されて南米大陸に到着したという説も紹介されている[18]。真猿下目の狭鼻猿類(旧世界ザル)と広鼻猿類(新世界ザル)とが分岐したのは3,000-4,000万年前と言われている[19][20]。人間の錐体細胞 (S, M, L) と桿体細胞 (R) が含む視物質の吸収スペクトル
脊椎動物の色覚は、網膜の中にどのタイプの錐体細胞を持つかによって決まる。魚類、両生類、爬虫類、鳥類には4タイプの錐体細胞(4色型色覚)を持つものが多い。よってこれらの生物は長波長域から短波長域である近紫外線までを認識できるものと考えられている。一方ほとんどの哺乳類は錐体細胞を2タイプ(2色型色覚)しか持たない。爬虫類の祖先から枝分かれした哺乳類の祖先は当初は4タイプ全ての錐体細胞を持っていたと思われるが、2億2500万年前には、最初の真の哺乳類と言われるアデロバシレウスが出現した。これら初期の哺乳類は(恐竜などの爬虫類との競争を避けたことで)主に夜行性であったため、色覚は生存に必須ではなかった。結果、4タイプのうち2タイプの錐体細胞を失い、青を中心に感知するS錐体と赤を中心に感知するL錐体の2錐体のみを保有するに至った。これは赤と緑を十分に区別できないいわゆる「赤緑色盲」の状態である。この色覚が哺乳類の子孫に遺伝的に受け継がれることとなった[21]。
ヒトを含む旧世界の霊長類(狭鼻猿類)の祖先は、約3000万年前、X染色体にL錐体から変異した緑を中心に感知する新たなタイプの錐体(M錐体)視物質の遺伝子が出現し、ヘテロ接合体の2本のX染色体を持つメスのみが3色型色覚を有するようになり、さらにヘテロ接合体のメスにおいて相同組換えによる遺伝子重複の変異を起こして同一のX染色体上に2タイプの錐体視物質の遺伝子が保持されることとなりX染色体を1本しか持たないオスも3色型色覚を有するようになった。