サル目
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ほとんどの種では手と足に5本のをもち、手と足の親指が他の4本と多少とも対向しているため、物をつかむことができる。このことから、サル類はかつては(足が二足歩行に適した形に進化した人類に対して)「四手類(Quadrumana)」と呼ばれた。霊長目が命名される以前では、サルにあたる分類群をAnaptomorph(「人類形」の意)としてヒトと区別した[8]

の正面に位置しており、遠近感をとらえる能力に優れている。

狭鼻類は3色型色覚を有し、緑色のの間から、さまざまな色をした果実などを見つけるのに有利になっている。その他の霊長類は特にオスで2色型色覚にとどまっている種が大半である。色覚の詳細については後述する。

また、

頭部の前方に眼が並び、その面がやや平らになって顔面を形成する。往々にしてこの部分には毛がなく、皮膚が露出する。

大脳がよく発達する。そして個体間で表情や声によって互いに情報交換をするものが多い。

生態

霊長類の共通祖先は夜行性であったと考えられているが[12]昼行性あるいは周日行性(英語版)であったとする説もある[13]。曲鼻類はキツネザル類に昼行性や周日行性が多いことを除けば夜行性がほとんどだが、直鼻類はメガネザル類と広鼻猿に属するヨザル類を除いてほぼ全てが昼行性である[12][13]。生活環境は樹上から地上まで幅広い[14]

食性も昆虫食、果実食、食など、多岐にわたる。ただし、全体としてみれば、樹上性のものが多い。地上性のものはそこから派生したと考えられる。

運動様式は分類群によって異なり、樹上での四足歩行に加えて跳躍懸垂、地上でのナックルウォークや二足歩行と特殊化したものがある[14]
分類

「霊長」という言葉において、霊は魂や幽霊という漢字そのものの意味より、優れたもの、不思議な力を持っているという意味が強い。つまり、これはヒトや、ヒトを含むサルの仲間を、動物の進化の最終形態とする認識から付けられた名前である。英語名の Primate も、大主教や最高位を意味する単語であり、やはり同様の観点から付けられた名前である。

以前は主に脳が小型で嗅覚が発達し鼻面の長いキツネザル類・ロリス類・メガネザル類を原猿亜目 Prosimii、それ以外の主に脳が大型で視覚が発達し鼻面の短い分類群を真猿亜目 Anthropoidea としてまとめていた[3]。研究の進展により、メガネザルがいわゆる原猿類の他のグループよりも真猿類により近いことが判明した。このことから、現在ではキツネザル類・ロリス類をまとめて「曲鼻猿類(曲鼻猿亜目、曲鼻類、曲鼻亜目)」、メガネザル類を含むその他の霊長類を「直鼻猿類(直鼻猿亜目、直鼻類、直鼻亜目)」と呼び、正式な分類体系では、「原猿類」という名称は用いなくなっている[15]

以下の分類・和名は、日本モンキーセンター霊長類和名編纂ワーキンググループ (2018) に従う[4]。ただしほとんどの和名は共通するが、下目の和名については川田ら (2018) に従った[5]

直鼻亜目 Haplorrhini

メガネザル型下目 Tarsiiformes

メガネザル科 Tarsiidae


真猿型下目 Simiiformes

狭鼻小目 Catarrhini

オナガザル上科 Cercopithecoidea

オナガザル科 Cercopithecidae


ヒト上科 Hominoidea

ヒト科 Hominidae

テナガザル科 Hylobatidae



広鼻小目 Platyrrhini

オマキザル上科 Ceboidea

クモザル科 Atelidae

オマキザル科 Cebidae(ヨザル科を分割する説もあり[2]


サキ上科 Pithecioidea

サキ科 Pitheciidae





曲鼻亜目 Strepsirrhini

キツネザル型下目 Lemuriformes

キツネザル上科 Lemuroidea

コビトキツネザル科 Cheirogaleidae

インドリ科 Indriidae

キツネザル科 Lemuridae

イタチキツネザル科 Lepilemuridae


アイアイ上科 Daubentonioidea

アイアイ科 Daubentoniidae



ロリス型下目 Lorisiformes

ガラゴ科 Galagidae

ロリス科 Lorisidae



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真主齧上目
Euarchontoglires

真主獣大目 Euarchonta

霊長目 Primates

プレシアダピス目 Plesiadapiformes



ヒヨケザル目 Dermoptera



ツパイ目 Scandentia



グリレス大目 Glires

ネズミ目 Rodentia

ウサギ目 Lagomorpha





霊長類の最古の化石は、白亜紀末期の北アメリカ西部から発見されており、プレシアダピス類(偽霊長類)と呼ばれる。このように、霊長類の進化は約6,500万年前、白亜紀末期頃に始まったと考えられている[16]

新生代に入り暁新世になるとアダピス類とオモミス類が繁栄した。いずれもまだ原始的な種類で、アダピス類は後の曲鼻猿類に、オモミス類が直鼻猿類に進化したと考えられる。直鼻亜目と曲鼻亜目の分岐と同時期の6,300万年前に、直鼻亜目はL-グロノラクトンオキシダーゼビタミンC合成酵素)の酵素活性を失っている[17]。アダピス類とオモミス類はヨーロッパと北アメリカに分布したが、何らかの環境要因によって北アメリカの霊長類は絶滅し、以降、ユーラシアとそれに近接していたアフリカという旧世界の大陸を舞台に霊長類の進化は進んだ。曲鼻亜目の一部は海によって他の大陸から隔絶されていたマダガスカル島にアフリカから進出し(恐らくは流木等に掴まっての漂着)、キツネザル類に進化していった。

その後、直鼻亜目が中新世にはアジア・アフリカに住む狭鼻猿類と南アメリカの広鼻猿類とに分かれる。上述のように北アメリカの猿類は絶滅したので、南米の広鼻猿類の祖先はアフリカから渡って来たとの説が有力である(当時、アフリカ大陸と南米大陸は既に分裂していたが、両大陸間の大西洋は現在と比較すれば狭く、距離は近かった。そのため小型の猿類ならば流木等を使って漂着できた可能性がある)。広鼻猿類の祖先やテンジクネズミ上科の祖先がアフリカでできた浮島に乗って大西洋を流されて南米大陸に到着したという説も紹介されている[18]。真猿下目の狭鼻猿類(旧世界ザル)と広鼻猿類(新世界ザル)とが分岐したのは3,000-4,000万年前と言われている[19][20]人間の錐体細胞 (S, M, L) と桿体細胞 (R) が含む視物質の吸収スペクトル


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