サルコイドーシス
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硬膜の腫瘤は豊富な線維成分を反映し、T2WIでは低信号を呈し、比較的均一なGd増強効果を認める[27][28]
下垂体病変

下垂体視床下部は脳底部に位置しており神経サルコイドーシスの好発部位の一つである。下垂体柄の肥厚とGd増強効果や下垂体後葉T1WI高信号の消失などが知られる。下垂体後葉T1WI高信号の消失は尿崩症に対応する。
水頭症

サルコイドーシスはしばしば水頭症をきたすことがある。交通性水頭症と非交通性水頭の両者ともありえる。SSFP(3D-stedy-state free precession)を撮影することで狭窄部位が同定できることがある。交通性水頭症は軟膜病変により脳脊髄液の吸収が阻害されることで生じる。
血管病変

サルコイドーシスの血管病変は稀とされているが剖検例ではしばしば肉芽腫の血管浸潤が認められる[29][30][31][32][33]。病理学的にはサルコイド肉芽腫は軟膜から穿通動脈のVirchow-Robin腔に沿って脳実質に浸潤することが知られている。血管周囲腔の肉芽腫は好中球などの炎症細胞とともに血管壁に浸潤しフィブリノイド壊死を起こす。これにより血管壁の内弾性板が破壊され血管の閉塞や破綻が生じ脳梗塞に至る[31][34][35][36]。また心サルコイドーシスも心筋症の結果心原性脳塞栓症を起こす。
脳神経病変

しばしばGd増強効果が認められる[37][38][39]
脊髄MRI

脊髄サルコイドーシスのMRI所見はJungerらによって4期に分類される[40]。第1期は脊髄腫大はないがGd造影で脊髄表面の軟膜が線状に造影される。これはくも膜下腔の炎症の表現である。第2期は髄膜から血管周囲腔を通って脊髄実質内に炎症が広がる。この時期には脊髄が腫大し、Gd造影では造影されない場合からびまん性に造影される場合まで様々である。第3期では脊髄が腫大する場合と正常に復する場合があり、Gd造影では髄内に単発あるいは多発する結節性の造影が認められる。第4期は慢性期で脊髄組織の壊死のため脊髄は萎縮してGdでは造影もされなくなる。すべての脊髄サルコイドーシスが上記のような経過をとるとは限らず、初期から腫瘤を形成する場合もある。なお軟膜のGd増強効果は背側面から髄内に浸潤性に進展することが多いが、特に三日月状に広がった軟膜のGd増強効果と中心管のGd増強効果が合わさってみられるtrident signは脊髄サルコイドーシスの89%で認められる[41]。脊髄サルコイドーシスは頸部脊柱管狭窄の強い部位に後発する。
筋MRI

腫瘤型の筋サルコイドーシスではT1WI、T2WIの横断像で腫瘤の周辺部分の肉芽腫病変が高信号、線維化している中心部が低信号を示す。Gd造影では周辺部が著明に増強され、星型の中心部は造影されずdark starと言われる[42]。冠状断では、中心部の低信号層が両側の高信号層に挟まれた三層構造がみられる。三層構造をthree stripesといい、腫瘤型の筋サルコイドーシスの疾患特異度が高い所見である[43]。あたかもthree stripesにみえる所見はしばしばサルコイドーシス以外の筋炎でも認められることがある。特に低信号病変認められない時は注意が必要である。治療後はGd増強効果の消失と腫瘤性病変の縮小・消失が認められる。ミオパチー型は、筋萎縮所見とともにT1WIでは低信号、T2WIで高信号の多発結節状の非特異的病変を認め、しばしば淡いGd増強効果を示す[44][43]
シンチグラフィー
ガリウムシンチグラフィー

放射性同位体である67Ga(英語版)のクエン酸塩を注射して、体外で67Gaから放出される放射線を検知して画像化する事で、炎症が起きている箇所を検索する検査である。この検査によって得られた、縦隔や両側肺門上部に、67Gaの集積が亢進した結果の画像であるラムダサインや両側耳下腺、両側涙腺の左右対称性の集積亢進の結果の画像であるパンダサインはサルコイドーシス診断を支持する[45][46][47]
PET

18F-FDG/PETでは病変に一致して集積増加を認めることが多いため、サルコイド病変部位の同定に有効な可能性がある。サルコイドーシスで観察されるFDG集積像は病変部における活性化マクロファージなどの炎症細胞浸潤を反映したものと考えられる[48]。炎症細胞への18F-FDG集積機序はがん細胞とほぼ共通であり細胞膜グルコーストランスポーターのうち、GLUT1やGLUT3の増加、ヘキソキナーゼの活性化によるとされている。筋サルコイドーシスでは全身の筋肉に結節が多発する傾向があり18F-FDG/PETでの所見はleopard-man[49]、tiger-man[50]と呼ばれることがある。サルコイドーシスの脊髄病変にも集積効果があり有用という報告もある[51]。しかし頚椎症でも陽性を示すことがあり疾患特異性は低いと考えられる[52]
気管支鏡
気管支鏡観察

気管支鏡観察所見では粘膜発赤、網目状血管増生、黄白色小結節などが知られている。網目状血管増生はミクロアンギオパチーの所見という解釈もある。
気管支粘膜生検(EBB)

TBLBにEBBを追加すると診断率が向上するという研究がある[53][54]


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