サムシング_(ビートルズの曲)
[Wikipedia|▼Menu]
ヴァースのメロディがすぐに頭に浮かんだため、ハリスンは「こんなにシンプルに聴こえるからには、きっと無意識のうちに既存の曲からメロディを拝借したに違いないと考えたけど、そうじゃなかった」とも明かしている[8][7]

歌詞の冒頭のフレーズは、当時アップル・レコードに属していたジェームス・テイラーの「彼女の言葉のやさしい響き」から引用されており[9][10]、ハリスンは「歌詞は全然思いつかなかった。ジェームズ・テイラーの曲に『彼女の言葉のやさしい響き(Something in the Way She Moves)』があって、それが冒頭の歌詞に入ってるんだけど、僕は後で手直しをするつもりだった。でも最初に書いたときに降りてきたのがそれで、最終的にそのまま残すことになった」と語っている[7]。歌詞のインスピレーションは、当時の妻であるパティ・ボイドとされていたが[11][12]、ハリスンは「曲を書いているときに、頭の中で思い描いていたのはレイ・チャールズだった」と振り返っている[13][7]

アルバム『ザ・ビートルズ』のレコーディング時にアシスタントを担当したクリス・トーマスは、1968年9月に初期段階の「サムシング」を聴いており、ハリスンから曲の出来について尋ねられたと振り返っている[7]。その時にハリスンはジャッキー・ロマックス(英語版)に本作を提供することを考えたが、既に「サワー・ミルク・シー」を提供していたため断念。その代わりとして、ハリスンはジョー・コッカーに本作を提供することにした[7]
レコーディング
リハーサル ? デモ・セッション

1969年1月にアップル・スタジオで行われたセッションにて、ハリスンは「サムシング」を提出した。同月28日のリハーサル時[14]、ハリスンは歌詞に関する提案を求め、「僕を惹きつけるものが何なのかが思いつかない」と打ち明けた[7]。レノンは「ちゃんとした歌詞が出来るまでは『カリフラワーみたいに僕を惹きつける』とか、その時に思いついたことをそのまま口にすれば良いんだ」とアドバイスし、それに対してハリスンは「『ザクロみたいに僕を惹きつける』―これありかも」とジョークで返した[7]。この翌日に「サムシング」の新しいバージョンをレコーディングした[7]

ハリスンの26歳の誕生日である1969年2月25日、EMIレコーディング・スタジオにて「オール・シングス・マスト・パス」や「オールド・ブラウン・シュー」と共にデモ音源が録音された[15][16][7]。デモ音源は完成版のCメジャーより1音半低いAメジャーで演奏されており、4トラック・レコーダーのトラック1とトラック4にギターボーカル、トラック2と3に2種類のピアノのパートが収録された[7]。この時点で歌詞が完成しているが、完成版でギターソロとなるパートにも歌詞が入っていた[17][7]。当時のデモ音源は、1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー3[18][注釈 2]や2019年に発売された『アビイ・ロード (スーパー・デラックス・エディション)』のCD2[7]に収録された。
EMIレコーディング・スタジオでのレコーディング

1969年4月16日、「オールド・ブラウン・シュー」のレコーディングの後に本作のファースト・バージョンが13回録音された[7]。同日はリンゴ・スターが映画『マジック・クリスチャン』の撮影のため不参加となっており、「オールド・ブラウン・シュー」から引き続きポール・マッカートニードラムを叩いた[7]。これはトラック2に録音され、残るトラック1にレノンのベース、トラック3にハリスンのエレクトリック・ギター、トラック4にジョージ・マーティンのピアノが収録された[7]

5月2日のセッションからスターが復帰し、コントロール・ルームにはグリン・ジョンズが迎えられた[21]。この日は36回録音され、トラック1にマッカートニーのベース、トラック2にスターのドラム、トラック3にハリスンのギターが収録された[21]。なお、同日のセッションで、レノンはピアノを演奏した[21]。テイク9以降は、ハリスンのギターから2つのアウトプットがとられ、8トラック・レコーダーのトラック6にレスリースピーカーを通したギターの音が収録された[21]。テイク27では演奏終了後に、レノンがピアノのリフを基調としたコーダを演奏し、そこからジャム・セッションが始まり[21]、総演奏時間は8分となった[9]。しかし、このジャムのパートは、メンバーが蛇足であると判断したためカットされることとなった[21]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:164 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef