サッチャリズム
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サッチャリズムではマネタリズムのドクトリンに基づき、イングランド銀行がマネーサプライ(ここではsterling M3)に焦点を当てた[10]。1980年の物価急上昇には政策金利を上げることで対処したが、インフレ抑制に重点を置きすぎた。サッチャリズム開始と共に失業率は上昇し、1983年には11%台にまで悪化した。この年にナイジェル・ローソンが財務大臣となるが、その翌年には失業者が300万人を突破し、その後も高い失業率が続いた[11]。.mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{}  イギリスの失業率(%)

ゆえに1980年代後半にイングランド銀行が非公式な為替ターゲットをちらつかせながら拡張的金融政策を採り、1987年にマネーサプライ目標を断念した[10]。その結果1988年に8%台にまで改善、サッチャー退任時には7%にまで下がったが、これはサッチャリズム開始時点よりも高い失業率であった。
所得格差と貧困

サッチャーが政権についた時点では、平均所得の60%未満で生活する層は約13%であり、ジニ係数は約25であった[12] 。サッチャーが退任する頃には、平均所得の60%未満の層は約22%、ジニ係数は約34まで上昇した。   イギリスのジニ係数  イギリスの平均所得の60%未満で生活する家計の割合
サッチャリズム以後

サッチャー政権においては賃金が下がり、失業率も上がり、国民の中に大きな批判が起こった。伝統的な高福祉の社会保障政策を維持しながら、経済の拡大、競争力の強化、失業率の低下、労働者の所得の増大、財政収支の黒字化などを同時に成り立たせることが困難で、それを達成できず、人頭税導入において国民の不満が増大。支持率が低下しサッチャー首相は辞職。政府の財政赤字は解決しなかった。その後1992年ポンド危機により一旦下落するものの、通貨安による好調な輸出も相まって1993-1994年と順調な拡大を続けたが、18年に及ぶ保守党への不満により「第三の道」を標榜するトニー・ブレア率いる労働党への政権交代を招くことになった。
サッチャリズムを題材にした作品

ブラス!

リトル・ダンサー

フル・モンティ

Vフォー・ヴェンデッタ

トレインスポッティング

パレードへようこそ

脚注^ a b United Kingdom>Government>Public Expenditure Statistical Analyses 2010>60page>Table 4.2 Public sector expenditure on services by function, 1987?88 to 2009?10
^ a bUK Public Spending>Health Care 1900 - 2010
^ a bUK Public Spending>Welfare 1900 - 2010
^ a bUK Public Spending>Pension 1900 - 2010
^ a bUK Public Spending>Total Spending 1900 - 2010
^ a b 神樹兵輔 『面白いほどよくわかる世界経済-日本を取り巻く世界経済の現状とその問題点(学校で教えない教科書)』 日本文芸社、2010年、162頁。
^ 岩田規久男 『「不安」を「希望」に変える経済学』 PHP研究所、2010年、141頁。
^ 神樹兵輔 『面白いほどよくわかる世界経済-日本を取り巻く世界経済の現状とその問題点(学校で教えない教科書)』 日本文芸社、2010年、163頁。
^ O.J. Blanchard and L.H. Summers, NBER Macroeconomics Annual Vol. 1 (1986)
^ a b J. Singleton, Central banking in the twentieth century, Cambridge University Press (2010)
^ OECD, Labour force statistics 1971-1991 Paris (1993)
^ A.B. Atkinson and S. Morelli, Chartbook of economic inequality, ECINEQ (2014)

関連項目

新保守主義 - 新自由主義

民営化

混合経済

レーガノミクス


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