サクソフォン
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1920年代初頭には、シカゴのReiffel & Husted社がスライドソプラノサクソフォーンを生産した[32][33][34]。1920年代には、いくつかの真っ直ぐなアルトおよびテナーサクソフォーンがブッシャーによって生産されたが、扱いが面倒で持ち運びが難しいことが判明した。ブッシャー社では、あるヴォードヴィル芸人のための目新しい楽器として、1本のストレート・バリトン・サクソフォーンを特注で製作した[35]。C.G. コーンは1928年から1929年にかけて、Conn-O-SaxとF管のメゾソプラノサクソフォーンの2つの新しい変種を発表した。サクソフォーンのボアとキイにヘッケルフォンに似た形のベルを組み合わせたこの楽器は、イングリッシュホルンの音色を模倣することを目的としたもので、1929年と1930年にのみ生産された。この楽器はローAからハイGまでの音域を持っている。コーンのメゾソプラノは、目新しい楽器とみなされていたものの大恐慌の経済状況により市場が縮小したため、同様に生産期間は短かかった。ほとんどがコーン社の修理訓練の対象として使用された。

1920年代の珍しい設計の中で最も成功したのはキングのSaxelloであった。基本的には真っ直ぐなB♭ソプラノであるが、ネックが少し湾曲していてベルが先端にある。H・N・ホワイト・カンパニーによって製作された。このいった楽器は今では4千米ドルもの高値が付く。その持続的な影響力は、カイルヴェルト、ランポーネ&カッツァーニ(イタリア語版)(altelloモデル)、L.A.Sax、Sax Dakota USAなどの多くの会社が、ストレート(真っ直ぐな)・ボア、ティップ(傾斜した)・ベルのソプラノサクソフォーンをsaxello(または "saxelloソプラノ")として販売していることに表れている。

2つの1920年代の変種への関心は、ジャズ・ミュージシャンのラサーン・ローランド・カークによって復活した。カークはブッシャーのストレートアルトを stritch、Saxelloを manzello と呼んだ。ブッシャーのストレートアルトは市販品であったが、manzelloは特注の大きなベルと改造キイ装置を持つSaxelloであった[36]。より最近では、メゾソプラノ、またはその現代的な変種が、ジャズミュージシャンのアンソニー・ブラクストン(英語版)、ジェームズ・カーター(英語版)、ヴィニー・ゴリアジョー・ロヴァーノによって使用されるようになった。

オーケストラのCソプラノに似た大きさの「コントラアルト」サクソフォーンは、20世紀後半にカリフォルニアの楽器製作者ジム・シュミットによって開発された[37]。ボアが大きくなり、新しい運指システムが導入され、調と音域以外はCソプラノに似ていない。エッペルハイムのSoprilloサクソフォーン

ドイツ、ミュンヘンのベンディクト・エッペルハイム(英語版)は、サクソフォーンの最高音域と最低音域に最近の新しい手法を取り入れた。ソプリロサックス(英語版)はピッコロの大きさの真っ直ぐな楽器で、上側のスピーカーホールがマウスピースに組み込まれている。元のサクソフォーン族を拡張したこの楽器は、B♭ソプラノサクソフォーンよりも1オクターブ高い音高になっている。1999年にエッペルスハイムによって開発されたチューバックス[38]は、E♭コントラバスサクソフォーンと同じ音域、同じ運指で演奏することができるが、その口径はコントラバスサクソフォーンよりも狭く、その結果、よりコンパクトで「よりリード感のある」音色を持つ楽器となった(ダブルリードのコントラバスサリュソフォーンに似ている)。より小型の(そしてより一般的に入手可能な)バリトンサクソフォーンのマウスピースとリードで演奏することができる。エッペルスハイムはCとB♭のサブコントラバス・チューバックスも製作しており、後者はこれまでに製作された中で最も低音のサクソフォーンである。

2000年代に開発されたサクソフォーン変種の中でも、ベルギーの楽器製作者フランソワ・ルイが2001年に発明したダブルソプラノサクソフォーン「アウロクローム」は、その代表的なものである。

1950年代以降、非金属製のボディを持つサクソフォーンが時折生産されるようになった。こういった楽器は耐久性や修理性、キイアクションや音色の不備など、多くの問題を抱えており、受け入れられなかった[39][40]。最もよく知られているのは、チャーリー・パーカーやオーネット・コールマンが短期間使用した1950年代のグラフトン(英語版)アクリル製アルトサクソフォーンである。この楽器は、手頃な価格のモデルとして10年以上生産された。ポリカーボネート製のビブラトサックス(英語版)は、金属製サックスに代わる低価格モデルとして生産されている。木製サワット・サクソフォーン(英語版)はタイで小規模に生産されている。ボディ素材が音に与える影響については意見が分かれる。

サクソフォーンの運指は、楽器が発明されてからわずかな変更しか加えられていないが、1つ目の開いた音孔の下のキイが閉じているために、一部の音の反応に影響を与えたり、わずかに弱まるなど、音響的な問題を内在している。また、キイセンター間に触覚の一貫性がないため、キイセンター間を移動する際に余分な努力を必要とする。このような音響的な問題と、原初の運指システムの厄介な側面を改善するための以下の2つの努力は注目に値する。

ルブランのRationaleおよびシステム[41]・サクソフォーンは1つ目の開いた音孔より下の閉じたキイに関連する音響的な問題を解決するために設計されたキイ機構を持つ。また、他の運指を半歩先の運指と一致させながら1つのキイを押し下げることによって、音階の半音階移動を行うことができる。ルブラン・システムの特徴のいくつかは、1950年代と1960年代のVito Model 35サクソフォーンに組み込まれていた。システムの利点にもかかわらず、特定のキイ機構の複雑さに関連した費用と機械的信頼性の問題によって、受け入れられなかった[42]

半音階(リニアフィンガリング)サクソフォーンは、楽器デザイナーでありビルダーでもあるジム・シュミットのプロジェクトである。キイに関係なくすべての音程間の触感と論理的な一貫性を最大限に高め、1つ目の開いた音孔より下の閉じたキイに関連する音響的な問題を回避するホーンを開発した[43]。いくつかの試作品が製作され、展示会で発表された。この独創的で高価なサクソフォーンの生産は、個別注文制である[44]
関連楽器Saxos de Bambu。アルゼンチンのAngel Sampedro del Rio製作。

安価なキイを持たない民俗版製サクソフォーン(シャリュモーを想起させる)が20世紀にハワイ、ジャマイカ、タイ、インドネシア、エチオピア、アルゼンチンの楽器製作者らによって開発された。ザフーンと呼ばれるハワイの楽器は1980年代に考案され、「bamboo sax」としても販売されているが、その円筒形ボアはクラリネットのものにより酷似しており、キイ装置の欠如によってリコーダーに似た見た目となっている。ジャマイカで最もよく知られている同様のタイプの竹製「サクソフォーン」の開発者はメント・ミュージシャンで楽器製作者のシュガー・ベリー(英語版)(ウィリアム・ウォーカー)であった[45]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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