サウジアラビア
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個人には発行されていなかったが、2019年9月28日より個人旅行者に対しても観光ビザが発行されるようになった[55]。2019年9月28日以前について、個人入国を認める査証は巡礼(巡礼ビザ、ムスリムのみ)か政府や各種団体(外交官ビザ、公用ビザ)、現地企業の招聘による仕事(商用短期訪問ビザ)、サウジアラビア在留者の家族(家族訪問ビザ)の場合のみ発行されていた。女性は既婚者が原則で夫または男性の近親者同伴、単独の場合は30歳以上であることが条件。

国営航空会社のサウジアラビア航空が世界各国[注釈 2]を結んでいる他、外国航空会社がリヤードやジッダなどの主要都市に乗り入れている。「サウジアラビアの空港の一覧」も参照

世界で唯一女性が自動車を運転することが禁止されていた国であるが、2017年9月に解禁される方針が発表された[17](法的に禁止しているわけではないが運転免許の発給がされず、社会通念的にも運転は禁止されていると見なされた[56])。ただし、女性が財産として自動車を所有することは禁止されていない。このため、女性が自動車を利用する場合は運転手を雇うか、親族男性に運転してもらわなければならなかった[56]。政府の統計によると、サウジアラビアの家庭が雇う男性運転手の数は約140万人で、多くは海外からの出稼ぎ労働者であった[57]。そして、2018年6月24日女性の運転が解禁された[18][19][20][21][22]

鉄道ではかつてはヒジャーズ鉄道が運行されていたが現在は廃止になっている。現代はサウジアラビア鉄道公社によってリヤド - ダンマーム間に旅客路線が運行されている。またハラマイン高速鉄道が建設されている。その他都市鉄道としてメッカメッカ・メトロが運行され、リヤドでもリヤド・メトロの建設が進められている。ガルフ鉄道構想もある。「サウジアラビアの鉄道」も参照
経済詳細は「サウジアラビアの経済」を参照「サウジビジョン2030」も参照

2015年のGDPは約6,320億ドルであり[58]、日本の近畿地方よりやや小さい経済規模である[59]。同年の一人当たりGDPは2万138ドルである[58]。サウジアラビアはG20の一員であり、2024年1月1日からはBRICSにも加盟する[60]。巨大企業はサウディアサウジアラムコサウジ基礎産業公社キングダム・ホールディング・カンパニーサウディ・ビンラディン・グループパブリック・インベストメント・ファンドなど、石油関連の国営や王族が経営する企業であり、純粋な株式会社は少ない。

OPECの盟主的存在であり、石油などの天然資源の採掘と輸出が主な外貨獲得源(石油が外貨収入の約75%を占めている)となっている他、これらで獲得した外貨を世界各国で投資運用している。中央銀行は1952年に設立された通貨庁であり、ソブリン・ウエルス・ファンド(政府系投資ファンド)としても知られている。金融センターとしても整備されており著名な投資家も多いが、2010年9月、英国のシンクタンクのZ/Yenグループによると、首都リヤドは世界第69位の金融センターと評価されており、中東ではドバイカタールバーレーンと比較するとまだ出遅れている[61]

製造業などは小規模なものしか存在していない。巡礼者や業務渡航以外の一般観光客を受け入れていなかったことから観光業は低調であり、メッカの巡礼者を相手にするだけであった。こうした状況を打開するために、ムハンマド・ビン・サルマーンが中心となり、一般向けの観光ビザの解禁による観光産業、外国資本受け入れによるIT産業、半導体製造など新たな産業を育成する改革プラン「ビジョン2030」を打ち出すなどしているが、法整備の遅れなどにより天然資源開発関連以外の分野においては外国資本導入が進んでいない[62]
水資源

サウジアラビアの水資源は、古くはオアシスなどの湧水と井戸からの取水に頼ってきた。聖地メッカではザムザムの泉と呼ばれる湧水を頼りに定住生活が営まれてきた。1932年に300メートル以上の深井戸の掘削に成功すると化石水の採取により水の供給量は大幅に増加し農業生産を支えている。汲み上げられる地下水は、アラビア半島が湿潤だった1万年以上前に降った雨水が地下の帯水層に閉じこめられた化石水であり、今後補給されることはほぼない。このため各地の井戸では水位の低下が深刻化し、現在のペースで水を使い続ければ、地下水資源は2040年までに枯渇すると予測されている。

サウジアラビアは世界最大の海水淡水化プラント稼働国である。その多くは省エネの逆浸透法 (RO:Reverse Osmosis) 海水淡水化プラントであり自力で建設し自国に逆浸透膜 (RO膜) 工場をつくるなど特にサウジ政府は力を入れている。その88%は農業用水で残りは工業用水と飲料水に使われている。20余りの主要都市に人口の80%が集中し、都市部ではオアシスや地下水の水源だけでは全く不足するため、海水淡水化プラントからの供給無しには生活できない。アシュベールにある世界最大のプラントは毎日100万トンを生産しており、国全体では年間で12億2千万立方メートルの水を海水淡水化によって得ている。プラントの多くは1970?1980年代に建設されており、2000年ごろから多くのプラントが老朽化を迎え始め、メンテナンスと建て替えのために多くの事業が日本を始めとする海外へ発注されている。

主要都市では下水を再処理して都市周辺の農業用水に回すための浄化施設がある。海水淡水化プラントから供給される水は1リットルあたり2リヤルのコストがかかり、さらに内陸部へ送水するのに1 - 2リヤルのコストがかかるため、大変に高価な水である。しかし、水道代は10トン1リヤルほどで、一般家庭の水道代が1か月4リヤルを超えることはあまりない。送水設備とコストの関係から主要都市部以外への送水はあまり活発ではなく、地方では古来からの井戸とオアシスの水源に頼っている。地方の内陸都市などではダムをつくり雨水をためてそれを使っており、リヤドの真ん中を通るワディ・ハニーファもダムなどによって川と化している。海水淡水化プラント自体は、サウジ国内で15から20箇所ほどあるとされる。

リヤドなど内陸部でも毎年冬場になると数日は雨が降る[63]。ただ、砂漠気候であるため、降雨はわずかな期間に集中、数日経てば再び乾燥するため水資源としての価値はない。近年になってからは降雨量は増加傾向にあり、雨が降ると都市の低地が水没するようになっている。もともと砂漠であるため都市部には排水路などの水害対策の設備が全くなく、毎年水害によって数十人の死者が出ている。膨大な地下水のくみ上げと淡水化プラントによって総雨量を超えるほどの水が使用されていることが原因ではないかと言われており、実際にここ20年あまりでサウジアラビアの気候が穏やかになってきている。
国民

国籍

サウジアラビア国籍  69%
外国籍  31%
詳細は「サウジアラビアの人口統計
(英語版)」を参照
民族サウジアラビアの人口密度分布図

広大なアラビア半島には古来から続く無数の部族勢力が跋扈しており、サウード家による長年の中央集権化政策・部族解体政策にもかかわらずサウジアラビア人という民族意識の形成には至っていない[要出典]。部族社会が定住民だけでなく遊牧民から形成されていること、各地に点在する少数派宗教なども状況を難しくしている。サウード家自身、中央集権化政策が頓挫するたびに部族間・宗教間のパワーバランスを権力保持に利用している[要出典]。しかしながら、アラビア半島諸国の統一とオスマンへの反逆をワッハーブ運動[注釈 3]の名の下成功させたという点では、サウジ人という意識もあり国民国家とも呼べる。

概ねサウジの住人は、サウジ国民という意識の前に「どの部族の出身か」(部族対立)、「どの地方の出身か」(地方対立)、「どの宗派を信じるか」(宗派対立)、「どの階級に属するか」(階級対立)で、自らを認識しているという[要出典]。

統計局が発表した、2010年の人口統計は27,136,977人で、サウジアラビア国籍が18,707,576人と全体の69%に過ぎず、外国人が8,429,401人となっており、総人口の31%が外国人労働者である。


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