サインシステム
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路面標示もフロアシートサインの一種と言える[7]。移動しながら進行方向が分かる利点があるが、どの位置に視点を設けるかが設定しづらく、上に人や物がある状態では見えづらく、更には踏みつけられることで劣化が進みやすい欠点がある[6]

サインシステムのデザイン

サインシステムのデザインの要素には、サインの大きさや形状、文字の書体(フォント)、文字の大きさ、ピクトグラム、色彩、素材などがある[1]
デザインの要素
ピクトグラム
ピクトグラムは抽象化、単純化された絵文字等で表現される視覚言語の一つで、文字と同じく理解には学習または慣れが必要であり、図記号の普及度により情報伝達に差が生じる
[1]。案内用の図記号は日本では絵文字、絵表示、マーク、アイコンなどと呼ばれることもある[8]。欧米ではピクトグラムのほか、アイソタイプ、ピクトグラフ、サイン、シンボルなどと呼ばれる[8]
フォント
かつてはゴシック4550のようにサイン用の専用フォントが設計されることもあったが、現在では新ゴなど一般的なフォントが利用されることが多い。
ISOの案内用図記号

国際的には国際標準化機構(ISO)による案内用図記号(グラフィカルシンボル)の標準化が行われており「ISO 7001 案内用図記号」に定められている[8]
JISの案内用図記号

日本では2002年3月、JIS規格に「JIS Z 8210 案内用図記号」が定められた[8]
東日本旅客鉄道での例ピクトグラムやカラフルな色遣い、大きな番線表示などが工夫されているJR東日本が設置する最新のサイン。(JR東日本・JR東海東京駅、2009年8月)

東日本旅客鉄道(JR東日本)は、日本で一番大きな規模の鉄道会社であり、無数のを抱えている。サインシステムを大規模に導入しており、現在ではJR東日本のほぼすべての営業区域で基本的には同じサインが見られるようになっている。

1990年に初めて体系的なサインマニュアルが制定された後、いろいろな過程をたどって現在のものになっており、最近では2007年に大きく改訂されている。徐々に新しいサインが導入されているが、現在は各世代のサインが入り混じっている。

日本語に新ゴ M(当初はゴナ)、欧文にHelveticaおよびFrutigerが使用され、標準案内用図記号によるピクトグラムが使用されている。近年ではLED式の電照による案内板も設置され始めている。
国鉄時代のサイン
日本国有鉄道では、鉄道掲示基準規程による全国的なサインの統一が図られていた。しかし、この規程はサインそのものに対する曖昧なデザインの指定であり、サインの設置場所やサインの内容までは厳密に規定していなかった。国鉄分割民営化とともに、各会社で鉄道掲示基準規程を引き継いだが、その後、JR各社で新しいサインシステムが開発・採用されていった。
新宿駅のサイン
JR東日本の独自のサインシステム導入は、1989年の新宿駅サイン計画から始まる。1988年から1989年にかけて、デザイン事務所GKグラフィックスにより全面的に新宿駅のサインが企画された。和文書体にゴナを使用したこのサインは、各路線のラインカラーを全面に生かして設計された。出口系統の表示は背景を黄色にするなど、客が直感的に理解できるような工夫が多く盛り込まれた。
最初のデザインマニュアル(1990年?)
1990年には、その成果を生かしたJR東日本デザインマニュアルが作成された。これにより、駅や電車のサインを含めたデザインが規定され、以後JR東日本のサインシステムはこのマニュアルに準拠することとなった。しかし広大な営業区域を擁するゆえに、この時期のサインにはJR東日本の支社によって細部が異なるデザインが散見される。ピクトグラム、4言語表記が見られる1世代前の蛍光灯内照式サイン。(東京駅、2009年8月)
サインマニュアルの制定(2001年?)
1990年代の終わりごろ、デザインマニュアルに則ったサインの整備はさまざまな問題に直面した。ユニバーサルデザインの上で、文字の表記やピクトグラムの活用が必要となってきたのである。2001年には、デザインマニュアルは大幅に改訂され、2年をかけて新たにサインに特化した「案内サインマニュアル」が制定された。この改訂によって、今日ではJIS規格化されている標準案内用図記号がサイン全般に導入された。2002年には、日本で開催された2002 FIFAワールドカップの影響を受け、新しく日英中韓の4言語表示を規定している。現行サインシステムの例。LED内照式が使われており、各目標物ごとに矢印がつけられている(東京駅、2009年8月)
サインマニュアルの改訂(2007年?)
2007年に案内サインマニュアルが大きく改訂されている。JR東日本の5年にわたる調査研究により、サイン自体のデザインが大きく変更された。特に客を誘導するサインの中の矢印の付け方が大きく変わったのが特徴である。目標物の表示と矢印が離れすぎている場合を解消するため、この改訂では各目標物ごとに太線で区切り、それぞれに矢印が付けられている。この頃からLED照明式サインという新しいタイプのサインが導入されている。LED照明を利用しているため従来のものより薄型であり明るい。さらに蛍光灯と違い明るさにムラがなく寿命も長く、各駅で導入が進んでいる。
出典^ a b c d e f g h 厚木市公共サインガイドライン(1) 厚木市
^ 中西あきこ「されど鉄道文字 駅名標から広がる世界」
^ a b c 赤瀬達三 2013, p. 220.
^ a b 赤瀬達三 2013, p. 221.
^ a b c d e f g h i j イカロス出版 2023, p. 100.
^ a b イカロス出版 2023, p. 101.
^ イカロス出版 2013, p. 101.
^ a b c d サービスリクワイアメント(案)について 国土交通省

参考文献

桝澤剛・高井利之「 ⇒
案内サインのアクセシビリティ」『JR EAST Technical Review』No.4

JR東日本「 ⇒環境にやさしい駅をめざして~エコ薄型電気掲示器導入による駅の省エネルギー化の取り組みについて~」2010年2月2日

赤瀬達三『サインシステム計画額 公共空間と記号の体系』鹿島出版会、2013年9月30日。


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