サイボーグ
[Wikipedia|▼Menu]
機能追加を目的とする埋め込み型の機器に関しては、RFIDに代表されるID機能(カルテクレジットカードなど)の無線通信機能を持ったカプセル状機器の埋め込みが実際に行われているが、さらにブレイン・マシン・インタフェースのような、現在は道具を手などで操作しているものを直接的に身体の一部のように扱えるようにするなどの利便性を高めるものまでもが想定され、一部には以下に述べる非侵襲型のインターフェイスを備えた装置も開発・利用されている。
遠隔制御

人間以外の動物の脳や触覚を刺激することで遠隔制御する技術の研究が行われている[7]。特に昆虫は同サイズのロボットよりも省エネルギー(低消費電力)となるなどコスト面でも優れている[8] [9]
形態による分類
非侵襲型

人体の外部に取り付けて動作するタイプ。取り外し可能な義手や義足パワードスーツなど。侵襲型のような危険性がないため、比較的実用化しやすく、倫理面での問題もクリアしやすい。
侵襲型

人体の内部に埋め込まれて動作するタイプ。人工心臓やペースメーカー、人工眼球、人工内耳、脳深部刺激療法など。これらのタイプは、故障や誤動作の際に使用者に危険が及ばないように、十分な対策を取る必要がある。このタイプのものをインプラントと呼ぶことがある[10]。装置の接続のために人為的に人体を傷つける(侵襲)ため、感染や拒絶反応を起こす危険があり、技術的課題や倫理的問題が多い。
危険性や倫理上の問題

組織生体工学の発達により、生体の失った、あるいは弱体化した機能を補完するために、身体に機械を組み込んだ人間は今後とも増えるとみられるが、これはさまざまな危険性を抱えている。生体内の異物は感染のリスクが高く、一度感染すると重症化しやすく治癒しにくい。さらに、機械には自己修復性がなく、故障時は致命的事態になりかねないなどの問題があるからである。

また、脳刺激療法では患者の本来の性格を変えてしまいかねないという倫理的問題もある。素材そのものに対する危険性も否定できない。現段階では体内インプラントRFIDチップに発ガンの危険性が指摘されている[11]

これらの技術は人間の尊厳を犯す可能性が指摘されており、研究者達は倫理的な面でも議論を進めている[10]
軍事利用の可能性

アメリカ合衆国では、サイボーグ技術の軍事利用への研究もDARPAを中心にして活発に行われている[10]。兵士の身体能力を大きく強化する、戦闘において手足を失った兵士に義手義足を適用することで素早い戦場復帰を可能とする、ブレイン・マシン・インタフェースの導入により戦闘機パイロットの脳と戦闘機のコントロール機能を接続することで、反応速度の向上を図る、などが考えられている。

小動物の脳を制御し、遠隔操作で偵察・自爆を行わせたりする動物兵器への応用や、ブレイン・マシン・インタフェースによる無人航空機・無人戦車などの無人兵器(軍事ロボット)を遠隔制御する、などの研究も進められている[10]
フィクションとサイボーグ
日本での受容

フィクション作品(サイエンス・フィクション)ではしばしば好まれて用いられる概念のひとつであるが、日本では1970年代に入るまで、その概念は広く浸透していなかった。

SF作家平井和正豊田有恒が『エイトマン』(1963年)のシナリオを巡り、作中にサイボーグを登場させるか否かでつかみ合いの喧嘩になりかけた時、側でおろおろしているスタッフのメモ書きに「細胞具」と書かれたのを目にして脱力し、喧嘩が収まったとのエピソードがある[12]

日本で初めてこの単語『サイボーグ』を公に使用したのは、『サイボーグ009』等で著名な石ノ森章太郎である。

『サイボーグ009』が東映動画でアニメ化された際には、東映本社から「ロボットとか、もっと分かりやすいタイトルにしろ」という声があったが[13]、その後『サイボーグ009』や『仮面ライダー』シリーズ(特に1970年代から1980年代にかけての作品群)などで、ようやくサイボーグの概念が世間一般に広く浸透したといえる。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:67 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef