サイコロ
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特に、最も数の差が大きい1の面と6の面が向かい合っているため、目の大きさが全て同一のサイコロは1の面側に重心が偏り、転がした際に6の面がもっとも上になりやすく、乱数発生に不都合が生じる。そのため、このことを考慮したサイコロでは、各面に刻む目の容積をその数に反比例させ、1の目が最も大きく、2はその半分、3は3分の1、…6は6分の1、という具合に徐々に小さくなるようにし、各面が失う質量を等しくすることにより、重心の偏りを避ける工夫がなされている。ただし、市販のサイコロの大部分はそこまで行わず、1の面の目だけが大きく他は同じ大きさといった程度である。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}この場合、最も上になりやすいのは5の面である。[要出典]

また、各々の面において目の配置が点対称あるいは左右対称なのも、配置による重心の偏りをなくすための工夫である。

さらに、カジノゲームのクラップスや競技バックギャモンで使われるダイスでは、少しでも重心の偏りをなくすため、目を凹ませた後に素材と同比重の塗料(もしくは本体と同材質異色の材料)で埋めてある。また角も丸められてはいない。これらをプレシジョン・ダイス(precision dice、精密ダイス)という。

また、各目に穴を空けずに塗装するだけのサイコロもある。もちろん、このようなサイコロには重心の偏りが少ない。

逆に、わざと重心を偏らせて特定の目が出やすいようにしたものをグラサイと呼ぶ。
各国のサイコロ
中国のサイコロ上から西洋式・中国式・カジノ用のダイス

中国には紀元前よりダイスゲームに相当するものがあったが、秦始皇帝陵から出土したサイコロは14面であった。代になると18面のサイコロが使われるようになった。南北朝時代にはこのようなサイコロを「(けい)」と呼んだ[3]。ほかに棒や木板を複数投げることもあった。その後、西域から双六が伝来・流行するとともに、正六面体のサイコロが使われるようになった。漢代中国の18面ダイス(煢)

中国のサイコロの特徴として、1と4の目が赤いことがあげられる。また2の目のつき方が西洋のものと異なる。全体的に目と目の間隔が狭い。4の目が赤い理由について、もとは1だけが赤かったのを、玄宗皇帝楊貴妃とダイスゲームをしていて、4の目で勝てたのを喜んで、4を赤く塗らせたという伝説がある[4]が、真偽不明である。同様の話が平治物語(13世紀)にも見えるが、こちらでは3と4の目を赤くしたとある。
朝鮮のサイコロ新羅時代の14面ダイス(酒令具・複製品)

朝鮮のサイコロは中国の影響が強く、伝統的なサイコロはやはり1と4の目が赤い。中国の煢と同様の、新羅時代の14面(切頂八面体を変形して各面の面積をほぼ同じにした形状で、正方形6面、六角形8面から成る)のサイコロが慶州市の雁鴨池から出土している。酒令用なので酒令具と呼ばれ、各目にはその目が出たときにする行為(罰ゲーム)が記されている。この酒令具の出土品(本物)は水分を取り除く保存処理のためオーブンに入れていたところ、温度が高すぎて燃えてしまったため現存しておらず、複製品だけが現存している[5]。近くからは六面体のサイコロも出土している。

板状のサイコロは現在もユンノリで使用されている。刻み目をつけた5面の棒状のサイコロはユンモク(輪木)と呼ばれ、スンギョンド(陞卿図)という出世すごろくの一種で使われる。
日本のサイコロ

1の目を「ピン」と呼ぶ場合も多い。

1926年和歌山県の業者が天を示す1の目を赤く塗った。他社との差別化のためだったという。これが広まって日本製のサイコロの1の目は赤く塗られるようになった。」と言われているが、これを裏付ける根拠は見つかっていない。他にも、日の丸を元にしたとする説もある。

また、遊戯用は1の目が赤く、賭博用は1の目が黒いとも言われているが、これはまったく事実とは異なる。任侠映画に長く携わってきた東映京都撮影所でも、「時代考証から云っても黒です。」としている。
アメリカ先住民

カリフォルニアなどに住んでいたチュマシュ族(英語版)は、クルミの実の殻にアスファルトを詰めて個数を決めた貝殻のかけらを入れて目を作った[6]
サイコロの雌雄日本製のサイコロ(天一地六東五西二北三南四: 雄)

サイコロの目の割り振りは、ほぼ「天一地六東五西二南三北四」(雌サイコロ)と決まっている。これは、日本だけの特徴ではなく、世界的な共通点である。ただし、「南三」でなく「北三」になっているサイコロもあり、「南三」を雌サイコロ、「北三」を雄サイコロと呼ぶこともある(異性)。サイコロの雌雄の見分け方は、1・2・3の面が集まる頂点を正面に置き、1→2→3の順に見たときに時計回りになるのが雄サイコロ、反時計回りになるのが雌サイコロである。舟になぞらえて「天一地六表三艫四面舵二取舵五」ともいう。
立方体でないサイコロロングダイス(英語版)のコレクション。

普通のサイコロは乱数の範囲が1?6に限られるため、用途によっては不適当である。そのため、立方体ではない形状のサイコロも存在しており、これを多面ダイス、または多面体ダイスと呼ぶ。ちなみに、これらと併せて用いる場合、通常のサイコロは六面ダイスなどと呼ばれる。目の数が多くなる程サイコロの形が球体に近づき止まりにくくなるため、出る目を判定できるようになるまで時間がかかる。

通常これらの多面ダイスでは目は算用数字で記されているため、6と9とを混同しないよう付点(6.と9.)や下線(6と9)が併記されている。

これらの各種多面体ダイスは、頻繁に乱数処理を行うテーブルトークRPGに代表される卓上ゲームに多用されることから、ホビーショップなどで入手可能な場合が多い。

多面体ダイスが一般に流布する以前の西洋では、一部のギャンブルゲームや兵棋演習にTeetotum(ティートータム)を独楽式の乱数生成器として用いるものがあった。また、ユダヤ教の祝祭、ハヌカーで子供達に配られるドレイドル(英語版)(Dreidel)は同じく独楽式の四面ダイスである。インドやネパールでも古い形態のサイコロである投げ棒(ロット)式のサイコロが現在でも使われている。
一般的な多面ダイス各種ダイス(4面?20面)サイコロの数々各種ダイス(左から四面、六面、八面、十二面、二十面、十面、十面(二桁))

四面ダイス - 形状は正四面体。1?4の目を出す。四面体の性質上、上を向く面はない。数値の読み方に二つのタイプがある。

各面の中央付近に3つの出目が振ってあり、そのうち床に接している数値を読むタイプ。

頂点の周囲に数字が振ってある。上の画像で手前に見えている面には、3つの数字1、2、4が書いてあり、このうち上の頂点に書いてある4が出目である。画像上背後に隠れて見えない面でも、上の頂点の脇には4と書いてある。このタイプのほうが後発であった。


八面ダイス - 形状は正八面体。1?8の目を出す。

十面ダイス - 十進数乱数を発生させるためのもの。1?10の目を出すものもあるが、0?9の目を出すものほうがより普及している。後者を自然数を生成する用途で用いる場合は、一般的に0を10と読み替える。

ねじれ双五角錐と呼ばれる、二つの五角錐を半分ずらして底面で貼り合わせたような形状。ホビーショップで通常手に入るものはこちらである。なお、後述のように、正ねじれ双角錐の形状により、さらに面の個数を増やした双錐体ダイスを作ることができる。

この形状で00, 10, 20...と目が振ってある二桁の十面ダイスも今日普及している。これは一桁の十面ダイスと組みで振る事で、90の目と0の目が出れば90、00の目と0の目が出れば100と読むなどし、1?100までの自然数を生成するために用いられる。


双四角錐台のもの(下節#非実用的な多面ダイスの画像を参照)。面の形状・面積が一様でなく乱数生成には適切でない。ゲーマーの間では「変わりD10」、「ダメD10」などと呼ばれる。このタイプが日本である程度普及しているのは「さんすうセット」教材に含まれている為である。

正二十面体の面に0?9の目が二つずつ向かい合うよう割り振った、上述2種よりも良い一様性が期待される「統計用乱数賽」が用いられることもある。しかし、ゲームの分野においては二十面ダイスとの混同を避ける為に独特の形状が好まれ、あえてこの形状のものを避ける傾向もある。


十二面ダイス - 形状は正十二面体。1?12の目を出す。

二十面ダイス - 形状は正二十面体。1?20の目を出す。過去には上述の「統計用乱数賽」で代用される事もあった。この場合、出目0?9の片方に着色するなどし、無着色の0は10、着色の1?9は11から19、着色の0は20、とそれぞれ読み替える。

稀な多面ダイス

14面、16面、24面、30面、60面、120面などのダイスも稀に見られる。いずれもサイコロに適した形状をしているため、実用に向く。ただし、ホビー用のサイコロはそれほど精度が高くない。

12面ダイス(菱形十二面体

14面ダイス(ねじれ双七角錐

16面ダイス(正双八角錐

24面ダイス(凧形二十四面体

24面ダイス(四方六面体

24面ダイス(三方八面体


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