小説以外の分野に目を向けると、SF的な要素を設定に取り込んだアニメはひきつづき多数製作され、2000年代後半には拡張現実を取り扱った『電脳コイル』(2007)や、夢枕獏のSFをリスペクトした『天元突破グレンラガン』(2007)、『時をかける少女』の細田守による『サマーウォーズ』(2009)といったSFアニメが登場した。 この節には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証し出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2012年7月) SFの道具立て(ガジェット)は、科学技術の進歩に伴って変遷する。 かつて現実味を持ちえた「もしも火星に知的生命体がいたら」などの仮定は、天体観測技術の発展・さらには火星探査機での調査により科学的には否定され、ファンタジーやパロディ的作品の設定として利用するか、その仮定を成立させるためのバックグラウンドの構築をともなうことでしか成立しなくなった。 逆に、手塚治虫らがSF的設定として描いた「人間の接近を感知して自動的に開閉する扉」は、現代では自動ドアとして日常的になっており、未来技術を演出するSFの小道具ではなくなった。どこにいても発着信・通話が可能な携帯電話などもまた然りである。また、コンピュータの進歩によってサイバースペースやAIを小道具に使ったり、バイオテクノロジーやナノテクノロジーなどの最新の研究やその発想を押し進めたSFも書かれている。 その一方で、タイムマシンや超光速航法、超光速通信、反重力などの架空の技術は、考案された当初は様々な架空理論による理論づけがされたが、現在では特別な架空理論を伴わずに、物語開始の時点で既に技術が確立され汎用化しているという前提をもって作品中で使用されることも多い。 SFと現実の科学技術の関係については、科学的知見がSF物語の創作材料となることが多いだけでなく、逆にSFが科学の発展を方向付けることもある。 その典型的な例がロボットである。日本にはロボットアニメの伝統があり、それらに触発されてロボット工学の道に進んだ日本人の技術者は多く、日本がロボット工学で世界の最先端にいるのはこれが原因だ、と分析する者もいる[37]。アメリカでも、「『2001年宇宙の旅』のHAL 9000を実際に作ってみたい」という動機で人工知能の研究を行っている研究者が多い。 ジュール・ヴェルヌの『月世界旅行』も、コンスタンチン・ツィオルコフスキーやロバート・H・ゴダード、ヴェルナー・フォン・ブラウンらのように少年期にこれを読んでロケット工学の研究に着手し、この分野で名を成した研究者がおり、彼らの手によってついには実際に月まで人間を運ぶに至った。一方、H.G.ウェルズのファンであった科学者レオ・シラードは、『解放された世界
道具立ての変遷
NASAの火星探査機ローバー
SFと科学技術
携帯電話、テレビ、潜水艦なども、最初はSFの世界で登場し、未来にはきっと存在するであろう技術として概念が普及し、その後に現実世界でも実現した。