サイエンス・フィクション
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雑誌媒体では、2011年には『SF Japan』が休刊となり[36]、SF専門誌はふたたび『S-Fマガジン』1誌のみとなった。その一方で2010年代からは、黒田藩プレスのホラー専門誌『ナイトランド』や電子雑誌『月刊アレ!』(2011-2013)のように、SF専門誌ではない文芸誌で国内外のSF作品・作家を積極的に取り上げたり、特集が組まれるケースも見られるようになっている。

小説以外の分野に目を向けると、SF的な要素を設定に取り込んだアニメはひきつづき多数製作され、2000年代後半には拡張現実を取り扱った『電脳コイル』(2007)や、夢枕獏のSFをリスペクトした『天元突破グレンラガン』(2007)、『時をかける少女』の細田守による『サマーウォーズ』(2009)といったSFアニメが登場した。
道具立ての変遷

この節には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2012年7月)
NASA火星探査機ローバー

SFの道具立て(ガジェット)は、科学技術の進歩に伴って変遷する。

かつて現実味を持ちえた「もしも火星に知的生命体がいたら」などの仮定は、天体観測技術の発展・さらには火星探査機での調査により科学的には否定され、ファンタジーやパロディ的作品の設定として利用するか、その仮定を成立させるためのバックグラウンドの構築をともなうことでしか成立しなくなった。

逆に、手塚治虫らがSF的設定として描いた「人間の接近を感知して自動的に開閉する扉」は、現代では自動ドアとして日常的になっており、未来技術を演出するSFの小道具ではなくなった。どこにいても発着信・通話が可能な携帯電話などもまた然りである。また、コンピュータの進歩によってサイバースペースAIを小道具に使ったり、バイオテクノロジーナノテクノロジーなどの最新の研究やその発想を押し進めたSFも書かれている。

その一方で、タイムマシン超光速航法超光速通信反重力などの架空の技術は、考案された当初は様々な架空理論による理論づけがされたが、現在では特別な架空理論を伴わずに、物語開始の時点で既に技術が確立され汎用化しているという前提をもって作品中で使用されることも多い。
SFと科学技術

SFと現実の科学技術の関係については、科学的知見がSF物語の創作材料となることが多いだけでなく、逆にSFが科学の発展を方向付けることもある。

その典型的な例がロボットである。日本にはロボットアニメの伝統があり、それらに触発されてロボット工学の道に進んだ日本人の技術者は多く、日本がロボット工学で世界の最先端にいるのはこれが原因だ、と分析する者もいる[37]。アメリカでも、「『2001年宇宙の旅』のHAL 9000を実際に作ってみたい」という動機で人工知能の研究を行っている研究者が多い。

ジュール・ヴェルヌの『月世界旅行』も、コンスタンチン・ツィオルコフスキーロバート・H・ゴダードヴェルナー・フォン・ブラウンらのように少年期にこれを読んでロケット工学の研究に着手し、この分野で名を成した研究者がおり、彼らの手によってついには実際に月まで人間を運ぶに至った。一方、H.G.ウェルズのファンであった科学者レオ・シラードは、『解放された世界(英語版)』に登場した原子力兵器に触発されて核エネルギーの開発に着手、結果として後年に日本への原子爆弾投下が実現してしまった[38]

携帯電話テレビ潜水艦なども、最初はSFの世界で登場し、未来にはきっと存在するであろう技術として概念が普及し、その後に現実世界でも実現した。このように、ある意味ではSFが科学技術へと影響を与えている一面があるとも考えられる。またNASAで最初のアフリカ系アメリカ人の女性宇宙飛行士メイ・ジェミソンスター・トレックに多大な影響を受けたと語っている[39]
SFの賞詳細は「SFの賞一覧」を参照

SF作品を対象とした文学賞のうち、英語圏においてもっとも有名なものは、ワールドコン登録者のファン投票によって選ばれるヒューゴー賞と、アメリカSFファンタジー作家協会(SFWA)に所属するSF作家・編集者・評論家などの投票によって選ばれるネビュラ賞の2つである。このほか、ファン投票によって選ばれる賞(ローカス賞など)、選考委員が受賞作を決定する賞(アーサー・C・クラーク賞ジョン・W・キャンベル記念賞フィリップ・K・ディック賞など)、特定の国・地域で発表された作品を対象とする賞(英国SF協会賞、ディトマー賞など)、特定の傾向を持つ作品を対象とした賞(プロメテウス賞ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞など)、新人・若手作家を対象とした賞(キャンベル新人賞など)、特定のサブジャンルを対象とした賞(サイドワイズ賞など)、翻訳作品を対象とした賞など、数多くの賞が存在する。世界幻想文学大賞ミソピーイク賞のように隣接ジャンルの賞をSF作品が受賞することもある。

日本においては、日本SF大会の参加者を中心としたファン投票によって選ばれる星雲賞や、日本SF作家クラブ会員の投票によって選ばれた候補作を選考委員が選考する日本SF大賞のほか、SFマガジン読者賞、公募新人賞などがある。

そのほか、ドイツ、フランス、中国、イスラエル、ルーマニア、ブラジルなど各国にそれぞれSFを対象とする文学賞が存在する。
SFの分類

便宜上、表現形式やテーマ、舞台などから共通する特徴を見いだしてサブジャンル的に扱うこともある。以下はその一例である。

ハードSF - 科学性に重きを置いた作品群。ハードコアSFとも。

スペースオペラ - 波瀾万丈の宇宙活劇。その基本となったのは西部劇を換骨奪胎したもの。

ニュー・スペースオペラ - 1970年代アメリカの、ラリー・ニーヴンなどを嚆矢とする、ハードSFを意識したスペースオペラ的作品がそう呼ばれた。また、1990年代イギリスを中心とし、シンギュラリティ思想やサイバーパンクの影響も見られる、ハードSFを意識したスペースオペラ作品群もそう呼ばれることがある。


ワイドスクリーン・バロック - ブライアン・オールディスがアルフレッド・ベスターやA・E・ヴァン・ヴォークトらの作品を評して使った言葉。

ニュー・ウェーブ - 従来の外宇宙志向SFに対し、心理など内宇宙に主眼を置く作品群。

サイバーパンク - 退廃的で混沌とし、ネットワークと濃密にリンクした世界設定を用いる。多くの派生ジャンルを生んだ。

SFコメディ - 『宇宙船レッド・ドワーフ号』『銀河ヒッチハイク・ガイド』など英国喜劇の影響を受けた作品や、日本では横田順彌のナンセンスギャグを主題とした「ハチャハチャSF」と呼ばれる作品群が知られる。

時間SF - タイムマシンなどによるタイムトラベルやそれによって発生するタイムパラドックス時間ループ、時間の速度を扱ったもの。

破滅SF - 壊滅的な大惨事、あるいは人類地球の滅亡を描いたもの。

ファースト・コンタクトSF - 異星人との初めての出会いの状況を描いたもの。


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